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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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罪な男

「お前も……罪な男だな」


 謎の間を置かれ、不思議に思った。


 モテる云々で言うなら、

 鈴木の方が相当にモテるはずだ。


 視力悪くないなら、

 眼鏡くらい外せばいいのにと言うと、

 まあいいかと彼は眼鏡を外していることが増えた。


 その頃からか、

 彼はクラスの女子に話しかけられるようになった。


 まあ、それだけじゃない気もするけれども。


 僕からすれば、鈴木の方がよっぽど罪な男だ。


 そうしてモテるのに、告白を受けることはないから。


「そうかな。


 それなら、鈴木の方がよっぽどだよ。


 そんなにモテるのに、どうして彼女つくらないの?


 興味ない?


 それとも、好きな人でもいる――」


 その言葉を口にすると、瞬く間に、

 彼の顔色が紅く染まっていった。


 ついでに、周囲の女子の声も小さくなった。


 どれだけ彼の「好きな人」は影響力を持っているのやら。


 黙りこくってしまった彼の代わりに、

 宮田が口を開いた。


「こいつ、

 隣の家の女の子と幼なじみなんだけど、

 その子の家はちょっとお金持ちで、

 私立の高校に通ってるんだ。


 ほら、藍蘭女子学院って有名な学校あるだろ」


「えっ、あそこって

 お嬢様学校にしたら学費はマシな方だけど、

 めちゃくちゃレベル高いらしいって聞いたけど」


「うん、そう。で、その子がこいつの――」


 咄嗟に鈴木が間に割って入り、

 宮田の口を両手で塞いで、こう言い放つ。


「自分で言うから! もう言うな」


 宮田の唇を押さえながら見据えて、そう言う鈴木に、

 近くにいた女子たちは急に倒れ込んだ。


 隠れ俺様キャラに、

 至近距離で囁かれるという

 シチュエーションを脳内で自分に置き換えて、

 萌えてしまったんだろう。

 

 本当に可愛くて男前だね、鈴木は。


「隣の家で同い年の、神崎立夏が好きな子だよ。


 もう何年も片思いしてる」


 凛とした表情で彼は恋模様を語る。


 僕は、それを羨ましく思って、

 気持ちの丈を訊いてみる。




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