退屈、そして退屈
ザクザク
軽快に地面を掘り起こす音が聞こえる。
「ふうっ、こんなものかしらね」
私は耕して作った畝を見ながら呟いた。
なぜ畑なんか作っているのかというと暇だからである。
三食昼寝付の生活は終わったけど、現在も三食(自炊)昼寝可の状態である。
私が王妃になるのは両国の友好の為だそうだけど、やることが無いというのは困ったことだ。
そんな時に図書室で面白い本を見つけたのだ。
”簡単料理 原材料から作るライベクーヘン”
まあ、ジャガイモ以外は難しそうだったので諦めたけど、ジャガイモは芋を埋めるだけで良いらしいので私にも出来そうだった。
離宮に持ち込まれる食材はなぜか数人分の量があったので日持ちしそうな物は地下の倉庫に保管していた。
当然ジャガイモも余っていた。
フンフフン
鼻歌を歌いながら芋を埋めていく。
「だけど埋めただけで三ヶ月もしたら何倍にも増えるなんて本当かしら?」
本にはそう書いてあったけど、まるで魔法みたいだ。
今日も離宮は平和である。
一ヶ月がたったが離宮での暮らしに変化はない。
「暇ですね・・・」
今は五月で先月植えたジャガイモの収穫は来月である。
「何か面白い事は無いかしら」
思い立ったが吉日という言葉もある。
私は図書室に向かった。
ザクザク
今回植えるのは落花生である。
その理由は他に種が無かったからだ。
門を守る騎士たちに話しかけても相手にされないし、外に出ようとすると止められる。
食材として持ち込まれた物以外はここでは手に入らないのだ。
干し肉を植えたらお肉が生えたらよかったのだけど、本からの情報によるとどうやら植物以外の肉や魚は植えても生えてこないらしい。
これからは来年のために種がある植物からは種を取っておくことにしよう。
しかし、王妃というものは社交や謁見などをしなくてはならないらしいけど、私はしなくても良いのだろうか?
仕事が無いのは当面問題ないけれど、何れ図書室の本も読み尽くしてしまって暇になってしまうかも。
まあそれもいつものことである。
取り敢えず落花生を植えよう。