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○○公爵

「仲間の場所や他の部族たちの事を喋れば解放してやらんでも無いぞ」

「さあ殺せ、我は死してヴァルハラに至り永遠の宴に参加するのだ」

蛮族の捕虜は皆がほぼ同じ事を言う。

拷問しても懐柔しても薬を使おうとも結果に変わりはない。

これを凄い忠誠心又は同族愛として敵ながら賞賛に値するなどと思っていた自分が情けない。

「ところで、ヴァルハラには勇敢に戦い、戦死した者のみが昇る場所と聞いていたのだが、情けなくも捕虜(・・・)になって戦場以外で無様(・・・)に死んだ者がたどり着ける場所なのか?」

「・・・そんな馬鹿な事が・・・そこのおまえ、戦士ならば我を解放し戦え!」

こいつらただの馬鹿だったのだよ。

戦うことを条件に他の捕虜からもいくつかの情報を得た。

情報といっても蛮族どもが底なしの馬鹿だということだけだが。

ワシはこの情報を伝えるべく王太子殿下のいる幕舎に向かった。

幕舎の中に入ると殿下が側近たちと今後の対策を話し合っていた。

「蛮族どもの支配地域で大きな変化があったのだと思われますが、蛮族の戦士を捕虜にしても相変わらずまともに話も出来ません。危険やもしれませんが偵察隊を出して現状を確認すべきではないでしょうか?」

彼が言うことは教範上もっともで、それが定石であることは理解している。

だが・・・

「まどろっこしい!ワシがウジ虫どもに死の制裁をくれてやる!」

「「「「・・・」」」」

殿下以外は顔が引きつっている。

「グランシェン公爵、ただでさえそなたの顔はあれなのだからもう少し・・・いやまあ良い、なにか有力な情報が得られたのだな」

蛮族どもの行動を今まで色々と深読みしてしまって答えが出せなかったが、やっと適切な対処法を編み出すことに成功した。

ワシの笑みに他の側近たちの表情がやや引きつっていたが、まあいつものことだ。


ワシの考えた作戦はこうだ。

害虫どもはそれぞれ小さな部族ごとに分かれており、協力し合うということはない。

それに最近分かったことなのだが捕虜からまともな情報が得られないのは、部族に対する忠誠心とかではなく単に馬鹿なだけだった。

まさかと思うあまりこんな簡単な事実を見落としてしまっていた。

これはそれを踏まえての作戦で、まずは少し調子が悪くなる程度の毒を保存があまり出来ない食料に混ぜる。

それと酒を一緒に害虫どもの生息地域を少数で輸送させる。

害虫がやって来たら荷を放棄して撤退する。

すると害虫どもは巣に持ち帰った保存の利かない食料をその日のうちに食べようとする。

当然酒もあるので宴会になる。

そして荷車等に仕掛けておいた魔力反応をたどって集落を包囲し、動きの鈍った連中を皆殺しにして終わりである。

情けをかける必要などない。

害虫どもは狩りをして食料を賄っているが、足りなくなると国境を越えて村を襲撃し、人や家畜をさらっていくのだ。

それに人をさらっていくのは労働力を欲してのことではない。

それが証拠に飢えた同一部族ではない捕虜を同じ檻に入れたところ、翌朝には片方は人の姿を保っていなかった。

そんな奴らを人間として扱う必要などないのだ。


その後、数ヶ月の作戦行動は精神的には苦戦を強いられたが物理的(・・・・・)には被害も無く、広大な平野をグランケルト王国は手に入れた。





「あの糞豚が!!」

ワシの唯一の安らぎであるディーに手を出すとは!

「待つのだベルト・グランシェン公爵!無策で父王の所やコルト王国に乗り込んだところでアフロディーテの立場が悪くなるだけで何の解決にもならんぞ」

「糞が!!」

今すぐにでもあの豚を血祭りに上げてやりたいが王太子殿下が言うことも事実である。


事の発端は我らが軽蔑すべき国王陛下がアフロディーテ王女とコルトの王の政略結婚を決めてしまった事が原因だ。

だが、国外の平原で害虫駆除をしていた私たちはこのことに気づくことが出来ずに後手に回ってしまっていた。

王女が嫁いだのは五ヶ月前であり、既に相手国の王と結婚してしまっている。

普通は王女が他国の王と結婚するのであればかなりの時間をかけて色々と準備をするはずなのだが、王女が側室に似ず美しくないのは不義の子だからではないかと疑っていた国王はろくに準備もせずに少数の供を付けて王女を送り出したのだ。


「分かった、最短で我らが軽蔑すべき国王陛下の首を城門に掲げ、殿下を即位させてご覧に入れましょうぞ。その後、ディーの意向を確認した上で必要とあらばコルトの王も同じように」

「・・・待て、あののんびりしている妹のことだ、自分のために父が死んだとなれば気に病むかもしれぬ。何せあの状態で特に不満もなく楽しそうに生活していたのだから。それにコルトの王が我が国の王女を無下に扱うことなどあり得ぬから早まるな」

確かに王太子の意見にも聞くべきところがある。

天使のような心を持つディーは国王から嫌われているということに全く気づいていない。

「確かに、ワシの考えは短慮に過ぎたようじゃな。なるべく自然死に見せかけて殺さないと・・・」

「頼む、あれでも一応は私の父なのだ。殺さない方向でお願いする」

賄賂ばかりを取る宰相や側近を重用するばかりでなく、心優しいディーをあのようなところに閉じ込めた王のことなど・・・まてよ。

「我が敬愛すべき王太子殿下、あなた様の深慮遠謀に気づかず申し訳ございません。殺してしまえばその痛みは一瞬、離島にでも幽閉してじわじわといたぶってやりましょう。グゥアッハッハッハ」

「・・・生きているならそれで良い」

殿下の了承も得られたことだし、後は実行するだけだ。

一部への根回しがまだ終わってはいないが、今回得られた土地を餌にすれば十分対応できるだろう。

そんなことよりディーの様子を知るために、コルト王国に派遣するのは誰が良だろうか?

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