王宮動乱
王女(侍女)が来てからおよそ一年が過ぎた。
国内の現状は表面上は平穏だが内部はもう限界に達しつつある。
「東方の貴族たちはゲジット帝国と裏で通じている者が大半だと考えてください」
ゲジット帝国は異教徒の国だ。
東方の貴族たちは過去あの国に攻められた小国家がどうなったのか理解していないのか!
おそらく自分たちは改宗して見逃してもらう約束でもしているのだろうがそれ以外の者たちがどのように扱われるのかは歴史が証明している。
このままでは我が国はゲジット帝国の奴隷となってしまう。
幸いグランケルト王国が近い西側の貴族たちはこちらに協力的で北と南側は中立の立場を取っている。
もう力押しで解決するしかないが、帝国の介入を避けるために短期でけりを付けなければならない。
現在はルブラル侯爵が北の、オレビアル伯爵が南の貴族たちの説得をしてくれている。
「西の貴族たちは招集をかけてから到着まで何日かかる」
「おそらく十日で半数、二十日で全員が集まれるかと」
ドン!
ノックも無く、大きな音を立てて開いた扉に全員の視線が集まる。
そして半数が剣をぬき、残りの半数は腰をぬかして床に座り込んだ。
「ディメティクト王、その首もらい受ける」
入ってきたのは近衛騎士の格好に覆面をした者たちで、扉の前に居た騎士はすでに床に伏していた。
東の貴族たちは満足に兵糧を集められておらず挙兵はまだ先だと予想していたが、このような形で先手を打たれるとは・・・
戦いは苛烈を極めた。
人数は圧倒的にこちらが多いが半数以上は戦闘が専門では無い文官たちだ。
増援を呼ぼうにもこの会議室には窓が無く出入り口は敵の後ろ側だ。
襲撃者たちはかなりの手練れでありこちらは一人また一人と討ち取られていった。
「ディメティクト王、かくご!」
敵の刃が私に迫ってくるのがとてもゆっくりに見えた。
ここで死ぬのか・・・
「ぐっはっ!」
私は激しい痛みに膝をつく。
傷口など見ている余裕は無いが、かなりの深手を負ってしまったことは分かる。
だが気力で目の前の敵に向かって剣を構える。
丁度その時、出入り口から騎士たちが駆け込んできた。
~~とある部局長~~
「王宮の外周と国王陛下の寝室周辺だけに兵を配置して、守備兵が配置できない離宮や宿舎などは門を魔法で封印しましょう」
先日の近衛騎士団副団長の反乱により国王陛下は重傷を負われ王妃殿下も行方不明となった。
国王陛下は一命は取り留めたが未だ意識は回復していない。
王宮は宰相を初めとして多くの高官を失って大混乱のただ中にある。
しかし何で俺はこんなことをしてるんだろう。
嘆いても仕方が無いが俺は部局長と言えばそうなのだが農林部局の長であり、作物の品種改良や植林以外やったことが無いような研究者なのだ。
しかし長と名がつく者で今動けるのは俺を除くと料理長と侍女長くらいしか居ないので、仕方が無い事は分かっているが、早く誰か替わってくれないだろうか・・・いや替われ!
この混乱は陛下の叔父であるルブラル侯爵が王宮に戻ってくるまで続いた




