表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

王女の身代わり(後編)

今日も身代わりの彼女を伴って夜会に出た。

彼女はいつも通りに私の隣に座ったまま臣下たちからの挨拶を受けている。

「あまり離宮からお出にならない王妃殿下のお心をお慰めしようとお誘いしましたのに、先日のお月見会にご臨席いただけず誠に残念です。来月は観楓会を催す予定ですのでぜひご臨席いただけましたら幸いに存じます」

そう言って彼女に笑いかけたのは証拠こそ無いが、輿入れの際に王女を襲撃したと思われるカナレス領主のアレンシア侯爵だ。

この男はぬけぬけとなにを言っているのだ。

裏では色々と噂の絶えない男だが、女性からの人気は高い。

今もこの男の顔に騙された令嬢たちが熱い視線を向けている。

私は色々な意味でこの男が気に入らない。

彼女がこの男に興味を持つ前に誘いを断ろうとしたが、彼女の方が私より先に口を開いた。

「分かりました。陛下にご予定を聞いてからご返答しますね。それと、ごめんなさい。あなたはどなただったかしら?あまり特徴(輪郭)の無いかたのことはまだ覚えていませんの」

彼女の言葉にアレンシア侯爵の顔が引きつった。

もう何度か言葉を交わしたことがあるのに、まさか女性に自分が覚えられていないなどと思わなかったのだろう。

なんだか分からないが少しだけ気分がスッキリした。

何度か言葉を交わしたことがある相手に対して、彼女の対応は随分とお粗末であるが今回は許そう。


愉快な夜会も終わり離宮への回廊を進んでいると正面から見知らぬ男が歩いてきた。

「これはお初にお目にかかりますディメティクト王、そしてお久しぶりでございますアフロディーテ王妃殿下」

王妃と面識があるかのような態度にグランケルト王国風の衣装

こいつが王妃との面会を求めていたグランケルト王国の使者か。

色々な理由を付けて断っていたのだが、どうやってこの離宮のエリアに侵入したのだ。

どうする、このようなところで声をかけ名乗りもしない相手ではあるが、さりとて今の国内情勢でグランケルト王国の使者を問答無用で切り捨てることも出来ぬ。

だがこの男はアフロディーテ王女と面識があるようだ。

身代わりがばれる可能性が高い。

私が悩んでいると隣に立つ彼女が嬉しそうに口を開く。

「その声はハイデマリン子爵ですね。お久しぶりですわ。今日はお兄様はご一緒では無いのかしら?」

「残念ながら主は大変忙しく、代わりにわたくしがこちらに参りました。代わりに色々と贈り物を預かってまいりました。明日にはそちらに届くと思います」

「・・・そうなの、”ありがとう存じます”とお兄様にお伝えください」

私は状況が理解できず呆然としてしまった。

「ディメティクト王よ、先ほどは名乗りもせず失礼をいたしました。グランケルト王国で子爵位を授かるオットー・ハイデマリンと申します。アフロディーテ王妃殿下に関する噂を確認するため、このような不作法をいたしましたことをお許しください」

状況は理解できていないが今回は身代わりだとばれなかったようだ。

「今回は不問とする。だが次は無いと心得られよ」

これ以上話を長引かせて墓穴を掘る必要も無い。

使者との話を早々に終わらせ、私は彼女と離宮へと向かう。

ばれなかったのも幸いだが、彼女が使者に助けを求めるのではないかとヒヤヒヤした。

しかし、この状況で助けを求めないとは、ビットルはどのような条件で彼女の協力を取り付けたのだろうか。

だがそれよりも王女が行方不明である現状をどうするか。

文官では無く身分のある貴族を使者に立てて贈り物とご機嫌伺いをさせるくらいだから王女と王太子との仲は良好なのだろう。

このことがばれたらゲジット帝国だけではなくグランケルト王国とも戦争を覚悟せねば・・・

もう時間が無い。

最悪でも国内の掃除だけは済ませておかないと東西の二正面作戦などどうやったところで勝ち目は無い。

事を急がねばならぬようだ。


~~ハイデマリン子爵~~

俺は去って行く王と王妃を見送った。

これでやっと任務完了だな。アフロディーテ様が一応は無事であることを知ればあの方も少しは落ち着いてくれるだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ