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あしたのスイーツ  作者: 自 悠翔 /Onozu Yuto
6/6

いざ直接対決。その先のグランドフィナーレへ。


京香きょうかに強引に連れてこられた鑑三かんぞうが5人の前に現れた。

「わしは何があろうと“スイーツ”は食べないからな。」

と言ってはばからない鑑三を無視し、作り続ける時任元克ときとうもとかつ、通称『三中』。今回はチョコケーキのようだ。その理由は…


「お父さん、チョコケーキの味が一番嫌いなの。あれがキッカケで平成スイーツが消えることになったの。だから、見直してほしいの。」

と目の前のとんかつを挟んで聞かされた話しを受けて、一度元の時代に戻って材料を買いに行った。そもそも、スイーツが腐れ果てたこの世界では現地で材料を手に入れることは難しい上、質の良いものが手に入るわけではない。ならば“平成スイーツの総決算”と言える『オール平成』で材料を揃えた。

ちなみに、35年後にタイムスリップした時に5人が老けてないのと同じで、材料は賞味期限や消費期限が全て切れていないものとなっている。ご安心ください。(?)


「さぁ、食べてもらいましょうか。“平成スイーツ”の真骨頂を。」

若干Sが滲み出てきた三中が鑑三の元に歩み寄る。

「や、やめるんだ。若造!近寄るなぁぁぁぁぁ」

そう言った鑑三は本能で左手で三中お手製チョコケーキを落としてしまった。

「おい…おまえ…」

「お父さん、やめてよ!」

その場に緊張感が走った。

「おやおやお父さん。僕のケーキ落ちちゃったじゃないか。どう責任とってくれるのかな?」

小3なのかと思ってしまうほどのドSぶりを発揮してしまった三中。この怖さを誰よりも知っている拓海たくみは震え上がっていた。


「ふんっ、若造が変に近寄ってくるからだ。自業自得だな。俺はもう帰る。」

テレビ局のヘリの音で聞き取りにくかったが煽られたのは誰もがわかっていた。

鑑三がその場から去りかけたとき、

「おい、そのまま帰ったら怖いぞぉーー」

と棒読み演劇かよとツッコミたくなる気持ちを抑えていただきたいが、翔太しょうたが鑑三を煽りかえす。

「じゃ彼ら召喚するか。」

ゴレンジャーのテーマが流れたと思ったらナゾの6人組が出てきた。それも平成で見たことある人たちばかり。どうやら再就職した模様だ。

最後の関門が見える。赤の洗車機ブラシのマスコットと緑のチャレンジでお馴染みの恐竜の2人をどう掻い潜っていくか。悩んでいた。そしたら、まさかの拓海、翔太、恭平きょうへい浩樹ひろきがゴレンジャーもどきを取り押さえている。


「いまだ!行け!俺らのことは気にすんな!」


仲間の言葉を信じ、三中は走り出した。取り押さえきれなかったあの○ックとガチャ○ンをうまく掻い潜り懐からラップのかかったチョコケーキを取り出した。ラップを華麗に外し、フォークですくい、鑑三の口に向かう。

「チ!ヨ!コ!レート!!」

驚いて口を開けた鑑三はその隙を突かれチョコケーキを一口パクリ。


鑑三の目には涙が浮かんでいた。

「三中くん、君の言う通りだ。私は勘違いをしていたようだ。」

鑑三の誤解が解けた。そのことに全員は涙をこぼしていた。

「あ!あれ!」

翔太が指差す方向にはタワーの屋上にいる三中らが映っていた。ニュースで生中継されていたようだ。

「平成スイーツ、広めてくれますか?」

と言う三中の問いかけに鑑三はこう答えた。

「あぁ、もちろんとも。」



あれから3年後、元の世界では平成の時代が終わり、新たな時代に皆、すでに慣れていた。

拓海は中学2年生。もちろん写真部だ。翔太に恭平、浩樹もいる。

元克は小学6年生。スイーツに対する愛は以前より暴走ぎみになっている。

あの後、タイムマシーンは貰ったが、ずっと行ってない。せっかくなので久々に行ってみようとなったので行ってみた。


35年後の「ネオマネーシティ」は駅ビルにスイーツの店、タワーの麓「ネオマネソラマチ」にはパンケーキにケーキにティラミスの専門店もある。

「よっしゃ!35年後スイーツ、食ったるでー!」

パクパク食べる三中の様子からして美味しいのはわかる。でも、一個一個味わって食べて欲しいなと思っていたが、すぐに忘れることにした。

「やればできるじゃーん」

笑顔絶えない三中を見てつい嬉しくなっちゃう兄なのでした。


鑑三はあの一件から1年半後に肺がんのため亡くなった。1980年に生まれて、74年の生涯に幕を下ろしていた。

鑑三が亡くなる前こんなことを言っていた。

「三中くんのケーキをまた食べたい」と。

三中のケーキは時空を超えて未来へ伝わっていくのである。ただ本人はその自覚がない。それこそ三中らしいな。と思うのであった。


時任兄弟の冒険は一旦完結。またどこかでお会いしましょう。では。


『あしたのスイーツ』は今夜でラストです。

6話という短い物語でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

連載にあたり、原作「大長編リスクのカミさん 超時空!嵐を呼ぶスイーツ大合戦!」(そのままクレヨンしんちゃん)を読み返したのですが、物語がぐちゃぐちゃで、質素で、面白味のかけらもない。短いので、物語を読み込んでストーリーの流れを崩さず、原作にない要素を追加していく。そうして『あしたのスイーツ』は作られていきました。

私は次の話に関しては考えていません。ですが、平成のうちにもう一回戻ってきます。お待ちください。

『あしたのスイーツ』を読んでいただき、ありがとうございました。

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