とんかつを挟んで聞かされた真実
タイムマシーンに案内された場所はネオマネーシティの観光名所、「ゴッドマネーツリー」。近くには川が流れていてツリーの麓には「ネオマネソラマチ」がある。
「うわー金色だなー」
シャッターを切りまくる翔太に対して冷静を保っているのが兄弟。
「ネオマネソラマチっちゅーところにもスイーツは腐り果てて置いてあるんだろうな。」
という三中の意見には2人も同情。
「おーい、乗り込めばいいんだよな?」
とタイムマシーンに聞くと
「ネオマネソラマチの『とんかつ和膳 四朗』に寄ってください。オーナーが待ってます。」
と返ってきたので向かうことに。
一方、残された写真同好会は東京駅をパシャパシャ撮っていた。
「ねぇ、ほんとにあいつら未来に行ったんか?」
「4次元の世界でフヨフヨしてるだろ」
とかなんとか話していたら、そのうちの一人、恭平が何か拾ったのであった。
「とんかつ和膳 四朗」で待っていたのは『上灘 京香』という、このツリーのオーナーの娘、だそうだ。まずは、お近づきの印にとんかつをご馳走になった。
四朗はとんかつ業界最強と呼ばれ、揚げものグランプリとんかつの部で殿堂入りするなど、異色の経歴を持つ店。
ここがいわゆる、本店で全国各地に展開しているらしい。
「おいしいかな?」
と京香が言うと
「ネバーエンディングまいう〜」
と翔太が返す。
「あっ!それ『石塚英彦』っていう人のやつだよね?まいうー知ってるよ!」
と予想外の答えが返ってきたので聞く。
「ここでの石塚さんの存在って?」
「グルメリポート業界のGODよ」
「ほほう」
「食レポで石塚さん意識してない人なんていないわ。それくらいよ。」
そうなんだー。初耳。
ドテッッ
「イッタイなぁ、もう!」
浩樹が恭平に対して言う。
「しらねぇよ。ってここどこ??」
有難いくらいのテンプレートリアクションいただいたところで早速タイムマシーンが話し出す。
「みなさんこんにちは。」
うわぁぁぁぁしゃべったあぁぁぁぁぁぁ
という、こちらもテンプレリアクションいただいたところで、タワーに向かえと命令される。
「平成スイーツを取り戻す!!?」
単刀直入に言われてもよくわからない。
「平成の頃のスイーツはとても美味しかったって小耳に挟んで、平成のスイーツの人間に作ってもらえたら父と考え直すかなって。」
時任兄弟がいる35年後の世界からおよそ25年も前のお話。
2028年のことだった。
平成が終わり、「平成生まれスイーツ」がしばらくは東京、のちのネオマネーシティに多かった。
転機はその年の秋、京香の父の『上灘 鑑三』は自ら育てた上灘財閥の力で東京を変えていった。
スイーツ嫌いの鑑三はスイーツの店に対して次々に閉店命令を出し、ヤンバル街に追いやった。
甘党の京香は何度も訴えたが、聞く耳を持たなかった。
京香は最終手段として2018年、平成スイーツ最盛期のこのときから人を呼び込めるように2つタイムマシーンを置いて行った。
「ん?2つ??」
「俺らは1つしか持ってきてないぞ。」
と返すと、
「もうひとつは東京駅を眺めるところ?に置いていったんだ。」
このとき、時任兄弟は知らなかった。このあと、この先の人生で経験しないであろう、展開が待っていたことを。
続く