俺の伝説が始まらなさそうで困る件
「さて主よ……しもべとなったからには、どのような要求にでも応じよう。
我に何なりと申し付けるがよい!!」
大げさに胸を張り、誇りに満ちた表情で……人の姿となり、野分と名付けられた古竜『暴風雨』はフンスと鼻息を荒げていた。
応じてワダヤマヒロシは、疲れたような微笑を見せる。
「うん、好きな所に行ったらいいと思うよ。
帰ってこなくてもいいし」
BASSARI。
世界のどこかからそんな音が聞こえてぐらい、ハッキリとワダヤマヒロシは突き放していた。
「な、なんと!!」
言いながら野分は、がぁん、とばかりに半身を引き、片手の甲を口に当てて驚きを表すボディランゲージを見せる。
「な、何という事じゃ……古竜の力を手にするという事は、大陸を制覇しうるという事。
悠久の昔に現れた勇者は古竜の力を持って魔王を討伐し、この国の建国王も、大陸を制覇するのに古竜の力を借りたという。
それを手にして、無欲を貫くとは……なんという御仁か。
そして手放すことも辞さないとは……何という慈悲か。
この野分、感服した!!
乞われるまでは辛抱しようと思って負ったが……もう辛抱堪らぬ!!」
そういうと野分は……いそいそと着衣を脱ぎ始めていた。
「………。 何やってんの?」
疲れた様子で問いかけるワダヤマヒロシ。
応じて野分は、もう一度フンスと強い鼻息を見せる。
「決まっておろう!!
卵だ、卵を作るのだ!
主と我の、愛情と尊敬の結晶を!!」
そう言いながら野分は、最後の一枚を、スポーンと脱いだ。
その潔さ……なるほど、ドラゴンは肉食を旨とする肉食系であるらしかった。
健康的な……実に健康的で、大変よろしい裸身が晴天のもとに晒される。
ぷりーん、とな。
「………」
それをしばらく眺めていたワダヤマヒロシ……ふいに両掌で、顔を覆った。
それは、いやーんノビ大さんのエッチー、と言う為ではなかった。
不意にワダヤマヒロシの、肩が震えだしていた。
ワダヤマヒロシは……小さく嗚咽していた。
「うぅ……情けない。
まるで……購入した女の子フィギアを 脱 が してるみたいだ……。
そしてそれを見て……少しでも『おっ?』と思ってしまった自分が……情けないいい!!」
……『おっ?』って思ったんだ……ワダヤマヒロシの絶叫は続く。
「異世界まで来て、恥ずかしすぎる!!
オタクは無双転生してもオタクに過ぎないなんて……神様は、残酷だああ!!
ああああ、すみません!
レッサーヒューマンのオタクが、来世ならちゃんとできるなんて思ってすみませんんん!!
高望みしてごめんなさいいい!!!」
どういう思考の迷宮に嵌まり込んだのか……ワダヤマヒロシは、結構ガチな泣きかたをしていた。
「おおおお落ち着け、主! どうしたんじゃ、気を確かに。
えぇと……ほーら、おっぱいですよー?
…………。
……い、いかん! 主がマジ泣きし始めた!?
なぜじゃ? 人間はこれが好きなんじゃなかったのか!?」
いや、確かに大好きですけれども。
ワダヤマヒロシは……まるでフィギアのような女の子に気を使わせて、さらに下ネタ一発芸みたいなことをさせている自分に、絶望しているのであった。
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その一〇数分後だった。
すでに大泣きの波を越え、子供のようにヒックヒックと嗚咽するワダヤマヒロシ。
すでに着衣しなおし、困ったようにワダヤマヒロシを眺める野分。
と。
「ん? あれは……」
野分は不意に、遠くから土ぼこりが近付いているのに気付いた。
それは……人馬の列だった。
三十人ほどの人の列。 対して馬は数頭だった。
彼らは一様に金属製の鎧をまとっていた。
それも……少し古びているが、儀礼用のものと思しき装飾。
表敬訪問か、外交団と思しき一行であった。
おそらく、身分の高い者が馬に乗っているのだろう。
実際、馬に乗っている者の一人に……どう見ても王女様、という場違いな服装をしたものがいた。
といっても馬に跨っているのではなく……『サイドステップ』という、自転車の二人乗りで言う女の子座り用の特殊な鞍に座っていた。 何というか…鞍の上に、足置きのついた椅子がある感じ?
スカートをはいた婦人用の馬具で、一応、海外の馬術大会でもサイドステップ部門というのもあるらしいから……まあ、異世界にあっても不思議ではないだろう。
一行は、ワダヤマヒロシの近くまでくると……おお、と静かな歓声を上げていた。
その中の一人、伝令と思しき男が、不意に大きな声を上げた。
「ハンガー王国第一王女、ご到来であーる!」
その言葉に、野分は小さくつぶやく。
「ハンガー王国? ああ、あの……五〇〇年ほど前、この草原は我の狩猟場であったのに麦畑など作ろうとするから、殲滅してやった国か。
滅びたと思っていたのに、生き残りがいたんじゃのう……」
「………。 おまえ、えげつない事するんだな……」
あきれたように言うワダヤマヒロシに、鼻高々のフンスを見せる野分。
いや、褒められてはないからね?
と。
ハンガー王国第一王女エーリカ・ハンガーが、跪いたおつきの衛士の肩に足をかけ、すとん、と地面に立つ。
すとん、そして、ぷるん。
ボクシングのグローブみたいな胸が、大きく揺れる。
古来より日本ではこれを……パイお使いデー、と呼ぶ。
そしてエーリカは……ワダヤマヒロシを見上げ、元気な声で言うのだった。
「お初にお目にかかります。
ハンガー王国第一王女、エーリカ・ハンガーと申します。
古い伝説に従い……『偉大なる勇者』のもとに、輿入れに参りました。
す、す……末永く、可愛がってくださいませ!!」
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「「お前もかあああああ!!??」」
「ひいっ!!??」
超巨大な『偉大なる勇者』と一八〇〇年を生きる古竜。
その二人に同時に絶叫され、エーリカは、チビりかけた。
ていうか、ちょっとチビった。
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「それではこれより、『暴風雨』討伐を記念し、祝典を設けることとするー!!」
その言葉に……昔の軍隊で言うラッパ兵が、簡易の管楽器で、短かくも御目出度そうな曲を演奏した。
それは、大草原の風に乗って……やがて拡散していった。
それが終わると……いかにも近衛隊長、と言った感じの中堅指揮官が、言葉を続ける。
「続いて、第一王女エーリカ・ハンガー内親王殿下より、祝典開始のお言葉ー」
その言葉に、草原に急きょ設えられた演台の両脇に、メイド服を着た女性が二人立つ。
そしてその間を通り抜け……名前の挙がったエーリカが、これまた急きょ設置された絨毯の上を、しずしずと歩いて、登壇する。
演台の中心でそのままゆっくりと顔を上げ、ワダヤマヒロシを…ハートマークの目で眺めた。
「『偉大なる勇者』。
あ、あのっ……。
わ、私、頑張りますから!
こ、こ、子供は何人ほs……むきゅ」
「いっ、以上、第一王女エーリカ・ハンガー内親王殿下より祝典開始の御言葉ー」
その言葉と同時に両脇に控えていたメイドたちが……まるで暗殺者か誘拐犯のようにエーリカの口を押え、半分に折って連行していった。
「続いて、ハンガー王国当代国王、ユークリッド・ハンガー国王陛下より頂いた、祝辞の御言葉を読み上げるー!」
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「……なんだ、この茶番……」
ワダヤマヒロシは、目の前で繰り広げられる奇妙な光景に、思わず呟いていた。
その、学校の始業式か終業式を思わせる光景。
せめて入学式か卒業式ぐらいの盛り上がりが欲しかった。
野分もまた、無意識に苦笑していた。
「主……まあ、仕方なかろう?
人間とは、そういう茶番が大好きなんじゃ……無論、やりたくてやっている訳ではなかろうが。
冠婚葬祭の催事……例えば、葬式。
葬式とはな、故人の為ではなく、生き残った人間の為にやるもんじゃ。
この家の跡継ぎは立派な葬式を出す甲斐性があるぞー、人の並みの事ができるぞーという、言わばパフォーマンスじゃな。
そして他の祭事や慶事もそうじゃが、お前の時やってやったんだから我の時もやれよ、という、いわば『脅迫』……その呪われた連鎖じゃな」
ドラゴンのくせに、妙に世情に通じている野分さんであった。
野分はなんと、ワダヤマヒロシの左ポケットの中にいた。
その中で……ハンモックに寝ているような体勢で、ワダヤマヒロシの言葉に応じていた。
本人曰く、なかなか落ち着く、とのことだった。
「ふぅん……そんなもんかねえ……」
ワダヤマヒロシは草原に胡坐をかき、どうでもいい偉い人の御言葉を聞き流しながら野分の言葉に応えていた。
どうでもいいとか言いつつもちゃんと聞いているふりをしているのは……日本の学校教育の成果であった。 ある意味、洗脳されているのかもしれない。
祝典は、続いていた。
それをぼんやり眺めていたワダヤマヒロシ。
と。
司会の近衛隊長が、気になることを言っていた。
ワダヤマヒロシは、素直に野分に問いかけていた。
「……なあ、野分」
「なんじゃ、主どの」
「金貨一〇〇〇〇枚を下賜する、だってさ。
俺、通貨単位がよくわかんないんだけど。
どれくらいなんだ?」
「そうじゃな……しばし、待て」
そういうと野分は、スキル『主従の誓約』を使った。
これは、『主』と『従僕』同士、『誓約』を交わした者との『記憶』や『スキル』を共有できるものである。 無論、表層的なものだけであるが。
つまり野分は、ワダヤマヒロシの記憶を覗いて……物価や彼の経験から、交換レートを計算しているようであった。
しばらく検索した後に……野分は静かに言った。
「……ふむ。
主の国は不可思議な世界じゃのう……ほほう、異世界と言う奴か。
馬のない車が走ったり……おお、これは鉄の塊が空を飛んでいるのか!?
おい、主!
こ、これはいったい、どうなっておるのじゃ!?」
むふーと鼻を膨らませ、口調を急変させながら、興味津々、と言った感じで問いかける野分。
表層的な記憶しか覗けないので、自動車や飛行機は見えてもその構造や理屈までは分からないようだった。
「……質問に質問で返すなよ。
いいから、レート。
金貨一枚、どれくらいなんだ?」
「……ふむ。
では、試算してみるとしよう。
金貨一枚、一〇万円と言ったところかの」
「じゅっ………!!!???」
相場や物の価値など全く異なるこの異世界で何を基準にしたのかは彼女しか分からないが……野分の言葉に、ワダヤマヒロシは完全にフリーズしていた。
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金貨一枚、一〇万円。
……他のテンプレ転生ものの金貨のレートも、だいたい同じものが多い。
おそらくは……『江戸時代の慶長小判一枚、だいたい十万円』という俗説に由来しているのだろう。
それより下の貨幣は……交換レートは、作品によって様々だ。
一:四であったり、一:一〇であったり、一:一〇〇であったり。
きっと、それぞれの異世界において、金属の価格が違うのであろう。
ちなみに……江戸時代の日本においては、金貨である小判(一両)と銀貨である一分銀(一朱)の交換レートは一:四。
重さや合金比率の問題があるので一概には言えないが……当時の日本においては、それほど金の価値が低かった、という事である。
なぜなら日本は……『黄金の国』だったから。
金の産出量が異常に多かったから、金が安かったのである。
ゆえに……開国後、外国人たちはこぞって大判小判を国外に持ち出した。
『金』として転売したり、再鋳したりして、大儲けできるからである。
いわゆる、『金の流出』というやつである。
おかげで文明開化後、明治新政府は『金との交換を保証した紙』である『兌換紙幣』の、交換用の『金』を大量に用意できかった。
そのため『円』は国際信用力を得ることができなかった……その頃には、国内の金の採掘量が激減していたのだ。
それは、『兌換』を一時停止した一九七一年の第二次ニクソンショックまで続く。
そもそも金は……極超重核融合でしか生成できない元素。
通常核融合である恒星の中心では鉄までしか生成できず、超新星爆発では中性子不足でほとんど生成不可能、『中性子星同士が衝突する』レベルの激レアイベントでしか生成できない重金属。
いくら『異世界』と言う言葉が便利でも……そんなイベントがそうそうある世界に、生命など生存できないだろう。
『金本位制』『貴金属』と言う言葉の通り、金とはそれほど希少で、貴重な金属なのである。
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「じゅっ……ジュウマンエン!?
じゃあ一〇〇〇〇枚で、一〇億円!?」
「おお、主は計算が早……ひゃあ!」
ふいに、ポケットの中の野分が、可愛らしい悲鳴を上げる。
それは……ほとんど自由落下に近い勢いで、ワダヤマヒロシが土下座をしたからであった。
その落差を一メートルとして……野分にとっては一〇メートルの自由落下だった。
「ははー。 キンカイチマンマイ、ありがたく頂戴仕りますでございますですー」
近衛隊長に向かって平身低頭するワダヤマヒロシ……そこに、プライドも何もなかった。
近衛隊長、超びびる。
「お、お、お待ちくだされ!
は、話を最後まで聞いて下さらんか……」
「……え? (まさか今さらキャンセル!!?)」
近衛隊長の言葉に、ワダヤマヒロシは表情を凍らせた。
そのまま、勢いよく上体を起こす。
「ふひゃああああ!!」
ポケットの中の野分が(以下略)。
激烈に不安そうな顔を見せるワダヤマヒロシ。
それに、近衛隊長がビビりながら応じる。
「我が国は小国ゆえ……い、一度に金貨一万枚はさすがに……。
よ、よって……一〇年分割でお支払いいたす」
その言葉に、ワダヤマヒロシは大きなため息を付いていた。
「(はぁ……まあいいか。 それでも年収一億円だもんな。
十年だけだけど……さすがに年間に一億ぜんぶは使わないだろうし。
贅沢はちょっとだけにして、どうせ来る寄付のお願いとかも全部蹴っ飛ばせば……一〇億もあれば、一生遊んで暮らせるじゃん!!)」
にへらー。
ワダヤマヒロシは、緩み切った笑顔を見せるのだった。
と…その時だった。
「待たれよ、使者殿」
ポケットの中に隠れていた野分が、ぴょこん、と顔だけ出しながら、近衛隊長に大きな声をかけていた。
「……御婦人、なにか異議でも?」
ポケットの中に人間が入っているとは普通思わないだろう……驚いた様子で、それでも平静を装いながら、近衛隊長は応じていた。
野分は、続ける。
「我……じゃなかった。『暴風雨』か。
この金貨一万枚は……『暴風雨』討伐の報奨金、と言うことじゃったな?
これは、この国からの報奨金という事で、間違いないのじゃな?」
「い、いかにも」
その言葉に……ワダヤマヒロシは、ふと違和感を感じた。
野分は、ただ単に事実確認をしているだけなのに……近衛隊長は、なぜこんなに焦っているのだろう、と。
野分は、続ける。
「では……他の国でも『暴風雨』討伐に報奨金を出しているところがある。
我々が近隣の国すべてを回り、『暴風雨』討伐をふれまわって報奨金をせしめても構わぬ、という事じゃな?
また……この国にも冒険者ギルドというものがある。
そちらでも『暴風雨』討伐に賞金はかかっていたはず。
そちらに……当方が顔を出しても構わぬ、という事じゃな?
よもや……他国の報奨金を『うちが払っとくから預かろう』などと言って、ネコババするつもりではなかろうな……?」
「モ、モ、モロチン、である」
……ネコババする気満々だったとしか、思えない返答であった。
おそらく……野分が言ったように、冒険者ギルドや他国に対して報奨金や賞金受け取りの窓口になり、自分のところは支払いをごまかすと同時に、下手をしたらピンハネぐらいはやらかすつもりだったらしい。
野分の言葉に驚いた様子で、ワダヤマヒロシは声をかける。
「お、おい野分……いくらなんでも、がめつ過ぎるだろ、それ……そんなの、後で良いじゃねーか……」
日本人は和を貴ぶ。
急に金のことで座をバッサリ割る野分を、ワダヤマヒロシは……浅ましいと感じてしまっていた。
その反応に……野分は大きなため息を付いていた。
「あと、まぁ……主を、この国に一〇年は縛り付けておこうという意図もあるのかもしれんな。
そして自国民として、内外に表明するつもりやも。
それは良いとして……はぁ、謙虚なことでよいことだな、主。
転生したばかりとはいえ、何を勘違いしておるのか。
主、よく考えよ。
そなたは……今の我やこの人間どもの、約一〇倍の身長であるな?」
「えぇと……まあ、だいたいそれくらいかな?」
「では……『胃袋』は、人間どもの何倍じゃ?」
「ふむ、単純計算では、容量一〇〇〇倍だな……あれ?」
その瞬間……ワダヤマヒロシの顔が、青くなっていた。
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「あ、あれ?
単純に一食一〇〇〇円として、一〇〇〇倍……俺、一食あたり一〇〇万円、金貨十枚かかるってこと?
それに住むところも、一〇〇倍の面積と一〇倍の高さと一〇〇〇倍の収容能力がいるってこと?
服だって、材料費だけで……あ、これは計算式が違うか。
単純に角柱の表面積と考えて……約二〇〇倍強!?
……俺、もしかして……コストパフォーマンス、最悪じゃねーの!?
じゃあ報奨金の金貨一〇〇〇〇枚……の十分の一、一〇〇〇枚貰っても…一食あたり金貨十枚だから、一〇〇食分!?
三三.三日間、約一か月分の食費に消えるじゃねーか!?」
ワダヤマヒロシは思わず立ち上がる。
その姿に、野分は、おう、と短く応じる。
ワダヤマヒロシ続ける。
「ちょっと待て!!
じゃ、じゃあ……日本の平均年収がざっくり四〇〇万円(まあ俺は収入なんてなかったけど)として……俺がこの世界で同じだけ稼ぐとすれば……年間四十億円稼がないといけないってこと!?
年間維持費四〇億円て、どの国の戦闘艦!?
金貨にして四〇〇〇〇枚!?
そんな……いったいどうすれば……」
絶叫しながら頭を抱えるワダヤマヒロシ……野分は、冷静に続ける。
「……ふむ。 では、小さくなるしかないの。 一〇分の一に。
……何か、方法はあるのか?」
そう言いながら……野分は自らもスキル『古竜の叡智』を使用し、検索してみる。
しかし……『星の巨人』というユニークスキル。
この世界の誰も知らないスキル……その攻略法もまた、誰も知らなかった。
ワダヤマヒロシもまた、共有したスキル『古竜の叡智』を検索する。
何度も何度も検索していた……が、所詮は同じライブラリ。
結果は同様のはずだった。
ワダヤマヒロシが魂の絶叫を見せるのは……正確にこの一〇分後だった。
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