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弱虫テイマーは今日も頑張る。  作者: 一兄
序章 ~始まりの空~
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クラス確認

サキをユウから剥がす一悶着の後。

サキ、カノン、ユウ、ナン、そしてクルシュハイトは酒場のテーブルに座っていた。


「……と、いうことは、そちらの少年は、カノンさんのリアルの弟ということですか?」


「ええ。そうよ、クルシュハイト。で、サキともリア友ってわけ。」


「なるほど……。しかし、サキ様、人前であのような行為に及ぶのはいかがなものかと……。」


「あなたにとやかく言われる筋合いはないです。」


ピシャリと言い放つサキ。

そんなサキの態度に驚いたユウは、クルシュハイトに質問する。


「あ、あの。クルシュハイトさんは姉さんやさーちゃんとどういう……。」


「おや?気になりますか?……そうですねぇ。いうなれば、私とサキ様は、運命共同た」


「気色悪いから黙ってくださいクルシュハイトさん。」


「そういうつれないところもいいっ!」


「……簡単にいえば、ストーカーだよ。ゆーくん。」


「えっ。」


「ストーカー!?失敬な!私はサキ様を影ながら見守っているだけで……。」


「で、カノンちゃんによく殺されてるって感じ。そろそろ迷惑ユーザーとしてGMに掛け合うかすら考え始めてるところかな。」


「あ、あははは。な、仲良くしてあげなよ、さーちゃん。」


「絶対イヤ!私の男友達はゆーくんだけでいいもん!」


そう言ってプイっとそっぽを向くサキ。

そんな仕草にクルシュハイトは悶えている。

さすがのユウも、気色悪くなって視界にとらえるのをやめる。

カノンは、先程からナンの質問に答えている。


「ということは、最初の方はひたすらムーラ砂漠でレベリングがオススメですか?」


「ええ。あそこにはえげつないモブは一種類しかいないから。砂の魔神にだけは敵対しなければ簡単にレベルが上がるからいいと思うわよ?」


「ありがとうッス。この後、早速行ってみるっす。」


「いいんじゃない?……あ、そう言えばクラスは?クラスによってはあんまりソロに向かないパターンもあるから。」


「「クラスってどこで確認するの(んすか)?」」


そう声をハモらせて質問するユウとナン。


「クラスの確認はステータスを呼び出せばすぐに見れるわ。右手を前にかざしてメニューって言ってみて。」


「あ、うん。メニュー。」


「メニュー。」


二人がそう言うと、右手の前に半透明ディスプレイが映し出される。

それをカノンは覗き込んで、指導を始める。


「上から三つ目のステータスボタンをクリックしてみて。」


「はーい。ポチっとな。」


そう言いながら、ユウはポチッとステータスボタンをクリックする。

すると、ユウのレベルとクラス、そしてスキルが表示される。




[プレイヤーネーム]︰ユウ

[1stクラス]︰調教師(テイマー) Lv.5/30

[2ndクラス]︰無し


[ステータス]

STR︰5《+0》

VIT︰5《+0》

DEX︰5《+0》

AGI︰5《+0》

INT︰5《+0》

TEC︰5《+0》


[スキル]

・指揮 Lv.1

・調理 Lv.1

・治癒魔法 Lv.1

・不器用 Lv.1[MAX]



「お〜、俺、サムライか。ユウ、お前は何だった?」


「うん、ボク?ボクはテイマーって職業だったよ?」


そんなやり取りをすると、クルシュハイトが驚いたような顔でこちらを見ている。


「クルシュハイトさん?どうかしたんですか?」


ユウがそう質問すると、カノンがその質問に応答する。


「大方、二人共ユニーク職だったことに驚いているんでしょうね。……そう考えると、すごい確率ね。24個しか存在しないユニーク職を引き当てるなんて。」


「……てことは、俺ってすげぇんすか?」


「みんな、喉から手が出るほど欲しがる逸材でしょうね。現在確認されているユニーク職のプレイヤーは、確か6人しかいないし。ちなみに、そこにいるサキもその1人よ。あたしは残念ながらナイトだったけれど。」


「え?さーちゃんのクラスって?」


ユウが質問すると、サキはその豊満な胸をそらして、えっへんと言いながら答える。


「私のクラスは、見た目通りの巫女さんです。……とはいえ、そんなに良いクラスとは言い難いんですけどね。」


「よく言うわよ……。街中にえげつない量の雷を落とした張本人が……。」


「あ、あれは忘れてください!」


「あと、レイドボスに隕石落っことして周りのプレイヤーごと吹き飛ばした伝説もあったわね。」


「……なにその天災みたいなクラス。」


「た、たまたま願掛けっていうスキルを使ったら起きた事故なんですよ!……雷を落として以来一度も使ってません。」


「そんなおっちょこちょいなサキ様もまたいい!」


恍惚そうな表情を浮かべるクルシュハイトを無視して、話を続ける4人。


「……で、話を戻すわね。公式曰く、24個のユニーククラスを用意してるそうで、どれも破格の能力を持っているそうよ。ユウのテイマーはちょっとわからないけれど、ナン君のサムライはとても強いんじゃない?」


「素直に喜ぶべきなんですかね?」


「一概にそうとも言えないわ。ユニーククラス持ちはどこのグループも必死に求めているから、とりあえずソロプレイは不可能になるわね。」


「うへぇ……。ソロで狩るの、結構好きなんすけど……。」


「……ユニーククラスに選ばれてしまった以上、ソロプレイは難しいかもしれないわね。ずっと秘匿しておくという手もあるにはあるけど、この男に聞かれた時点でそれは無理に等しいでしょうし。」


「失礼な!私は口の硬い男ですぞ!」


「サキのクラスを真っ先にばらした奴が何を言うか。」


「……何のことだか。」


そう言ってあらぬ方向を向くクルシュハイト。

それをジト目でにらんだあと、カノンは話を再開する。


「そんなわけで、今はギルドがないからいいけれど、今後実装されればユニーククラスは引っ張りだこにされるでしょうね。……サキは、あたしがよってくる人間全員をたたきつぶしてるから問題は無いでしょうけれど、ユウはともかく、ナン君、あなたは守りきれないわ。」


「……なんでボクはともかくなの?姉さん。」


「ユウにそういう目的で近づく人間はあたしが問答無用でぶっ殺すからに決まってるじゃない♡」


満面の笑みでそんなことを言われ、震え上がるユウとナン。


「そんなわけで、ナン君。あなたには三つの選択肢があるわ。一つ目は、人との関わりを極限まで絶ち、ソロプレイに徹するか。二つ目は、引っ張りだこにされる前に、自分から逆にグループを作るか。……そして、三つ目は、私たちと共に行動するか、よ。」


「……一つ目の選択肢は論外っす。……三つ目の選択肢も、とても魅力的なんすけど、俺はもう少し、このゲームを見てから決めたいっす。……だから、保留という形でいいっすかね?」


そう言って、苦笑するナン。

その言葉に、カノンは笑い、席を立つ。


「そうね。その選択が一番いい気がするわ。さ、じゃあ行きましょうか。」


その言葉にサキが反応し、立ち上がる。

ユウは、不思議そうな顔でカノンに質問する。


「行くって、どこへ?」


すると、カノンは綺麗な笑顔を浮かべて、


「戦いによ!」


そう言い放った。

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