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弱虫テイマーは今日も頑張る。  作者: 一兄
序章 ~始まりの空~
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優が次に意識を取り戻すと、自分がひんやりとした石畳の上に寝ていることに気がついた。

そして起き上がり周りを見渡して、自分が白塗りの壁で囲まれた部屋の中にいること、そして自分の周りにも人がいることに気がつく。


「……あれ?ここ、どこ?」


「……どこだろうな?」


優は、独り言に返事が来ると思っておらず、ビックリして声のした方を見る。

するとそこには、ボサボサの焦げ茶色の髪の少年が優と同じように座り込んでいた。

その少年が優の視線に気がつく。


「……どした?なんかしたか?俺。」


「い、いや。まさか答えてもらえると思ってなかったから……。」


「ビックリさせちまったか?わりーな。」


そう言って苦笑する少年。

そして優はようやく立ち上がる。

その様子を見ていた少年が優に声をかける。


「わりぃ、足に力が入らねぇから、ちと引っ張ってくれねぇか?」


そう言ってまた苦笑する。

それに対して優も苦笑を返しつつ、手を差し出す。

すると、その少年も優の手を取り、優に立たせてもらう。


「ありがとよ。俺の名前はナンだ。よろしく。」


そう言って、今度は少年、ナンが笑いながら手を差し出す。

その手を見て、少し躊躇しつつも優はおずおずと手を差し出す。


「こ、こちらこそよろしく、ナン君。ボクの名前はほし……じゃなくて、ユウです。」


そして、握手する2人。

周りのプレイヤーもその様子を懐かしそうに眺めるのだった。






「で、俺達はこのあとどうしたらいいんだろな?」


「……さあ?とりあえず、この部屋の外に出てみる?」


そう言ってナンとユウはドアに向けて歩き出す。

ドアの前まで行って、ドアを押して開くと、そこには中世っぽい、いわゆるファンタジーな建物が沢山あった。


「おぉ……こりゃすげぇな。」


「うん……。本当に別の世界に来たみたい。」


そんなことをつぶやく2人。

その様子の2人を見て、クスクスと笑う声。

その笑い声を不快に思い、ナンは笑い声の方向を睨むように見る。

睨まれた、笑い声を上げていた男は、降参したように両手を上げて、未だに口元を歪めたまま2人に近づく。


「ああ、すまない。ここに最初に来た人はみんな決まって同じような反応をするのでね。少し面白くて笑ってしまっただけだよ。」


「そーかよ。そーいうあんたはどうだったんだ?」


「私かい?そんな反応、この私がするわけないじゃないか!」


そう言ってハハハと笑う男。

その態度にまた顔をしかめるナン。

そして、その状況に慌てふためくも何も出来ない優。

そこで、男の後から声がかかる。


「……へ〜?クルシュハイト。あたしがあんたをここで最初に見た時、あんた同じ反応してたと思うわよ?その子達と。」


そういったのは、黒く重そうな鎧を身につけた少女。

クルシュハイトと呼ばれたその男は、舌打ちをしながら後ろを振り向く。


「チッ……。今日は珍しいですねぇ、カノンさん。βテスターでも屈指のプレイヤーであるあなたが、こんなところにいるなんて。」


カノンと呼ばれたその少女に対して、皮肉をいうクルシュハイト。しかし、その後ろにいる人物をみて明らかに態度を変える。


「……おや!サキ様も一緒でしたか!これはこれは。ご機嫌麗しゅ」


「ゆーくぅぅぅぅん!」


クルシュハイトが挨拶をしてくるが、それを思いっきり無視して優の方へ走りよってくる巫女服を着た少女。


「ちょ、さーちゃん待っ!」


優の静止の声も虚しく、いつものように優に抱きつく巫女服少女、サキ。

そしてその後ろでため息を吐いて苦笑いしながらやってくる黒い鎧を着た少女、カノン。


「姉さん!さーちゃんをとめて!ねぇ!無視してないでさ!」


そんないつものやり取りをする優と花音と咲に、全くついていけないクルシュハイトとナン、そして周りの人々。

いつの間にか、五人の周りには人だかりが出来ているのだった。

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