第一章 第二話 ~銀色の二人組~
~6月4日 午前7時 第八の街の酒場にて~
こんばんは、みなさん。ユウです。
今日は土曜日なので朝からログインしてます。
正確には、ログインを余儀なくされました。
なぜかと言いますと……
「……で、あれが何か、教えてもらおうか。坊主。」
助けた相手から、朝から酒場で尋問されてるからです。
「あんな魔法、見たことないです。なんて魔法か、教えてもらえますか?」
しかも、いかにもちょっと怖そうな青年の方だけでなく、銀髪の少女からも。
……おかしくない?
少しの感謝の言葉もなく、ずっと質問って。
……はぁ。
内心ため息をつきつつ、返答する。
「だから、さっきから言ってるじゃないですか。あれは僕の召喚獣のスキルだって。」
あながち間違いじゃない。召喚はしてると言えばしてるし、ランしか使えないスキルだから。うん。嘘じゃない。
「……何度か召喚士とパーティーを組んだことがあったけれど、あんなスキル見たことがありません。」
銀髪の少女、ユズと呼ばれているその子がそう答える。
……ごまかせなかったか〜。ていうかそんなに違うのかな?召喚士と飼育師って。
しかし、困ったなぁ……。どう答えよう。
「だから僕の子はちょっと特殊で……」
……これも嘘ではない。
まあ僕自身が特殊なわけだけども。
「だから、その特殊の内容を教えろって言ってんだよ。」
今度は銀髪の青年がそう聞いてくる。
……なんでそういうこと聞くかなぁ……。本人が渋ってたら普通は引くのが対人関係の基本じゃないの……?コミュ障の僕がいうのもアレだけどさ。
「……できれば言いたくないんですけど。」
はっきりそう言ってみる。
……まあ、これで引いてくれるなら、ここまで聞いてこないよね……。
「言え。」「言いなさい。」
……はぁ。
内心でため息を吐いて、諦めて答える。
「……僕はユニーククラスなんです。これでいいですか?」
そう答えると、青年の表情がすこし緩む。
「そうか。やっぱりな。」
そう言って、少女と青年は顔を見合わせる。
なんか小声で話してるっぽい?
「……ユウ……だったか?お前。」
「え?あ、はい。」
返事をすると、青年は意地悪く笑う。
「取引をしようぜ。お前、今ソロプレイだろ?」
「……まあ、そうですけど。」
否定する理由もないので頷く。
すると、青年はますます口角を吊り上げる。
「で、大方、ここのストーリークエストの受注条件に困ってると見た。」
「ま、まあ、そうですね。」
……なんでわかったんだろ?
「だから一つ取引をしよう。俺達の目的に協力してくれたら、お前のストーリークエスト進行を手伝ってやる。もちろん、第八の街だけじゃなく現在行ける最後の街、第十の街のクエストをすべて完了するまでな。」
「……」
ここから第十の街のクエストすべてを一人でクリアしようと思ったら、三日以上は最低でもかかる。
それに、この先のクエスト難易度はどんどん上がると聞く。
正直、この提案は出来ることなら飲みたい。
しかし、二人の目的がわからない限りは……
「……あなた達の目的次第です。」
「私たちの目的は、昨日のあのダンジョンの攻略です。」
「……?」
どういうことだろう?
「えーと、ダンジョンってあの洞窟のことですよね?」
「はい。そうです。」
少女が肯定する。
……あの洞窟を攻略したい……?
それって……僕の力、必要なのかな?
「……そちらの現在のレベルは?」
「私が26で、兄さんが30です。」
……え?
「……そんなに難しいんですか?あのダンジョン。」
その問には、青年が答える。
「難易度そのものはさほど高くねぇ。お前の聞きたいことはわかる。別にお前を誘う理由なんてない、ってことだろう?」
青年の言葉に頷く。
僕一人を誘うよりも、よっぽど野良パーティーを作って入った方がマシなはず。
そこでようやく思い出した。
昨日の死骸のことを。
もしかして、この人も、僕と同じ……
「もしかして、あなたは……」
「……ああ、そうさ。」
青年は顔を伏せ、苦虫を噛み潰したような表情をして、続けた。
「お前と同じ、ユニーククラスさ。……最悪のな。」




