神頼み(3度目)
その後もレベル1の調理魔法を行使し続けること数分。
ユウの腕の中には、お菓子やら飲料水やら栄養剤やら、たくさんのものが溢れていた。
「……姉さん。これ、指定して取り出すことも出来るみたいだよ。[調理:う〇い棒]。」
「……それ、どうするの?」
「もったいないし、食べよっか?」
あきれるカノンと微笑むサキ。
「うおっ!?ウ〇ダーの味だ!!」
ユウから受け取ったウイ〇ーを飲んで、驚いたように声を上げるナン。
それに苦笑しつつ、うま〇棒を食べるサキ。
「モグモグ……。さっきカノンちゃんが言ってたけど、お腹は膨れないんだよね。だから、ちょっと残念かな?これでお腹も膨れたら、ダイエットが楽になるのに。」
「さーちゃん、ダイエットとかするの?」
「するよ?……最近の私の悩みは、ゆーくんの料理が美味しすぎることです。どうしても食べすぎてしまいます。どうにかしてください。」
「いや、それをいわれてもボクはどうにも……。」
ユウがそこで歩みを止める。
それにつられて、全員が歩みを止め、目の前にある黒いツヤツヤの壁を見て、呆然とする。
その壁が急に動き出し、頭をこちら側に向けた瞬間。
「「イヤぁぁぁぁ!」」
ユウは目にも止まらぬスピードで泣きわめきながらその場から逃げ出し。
ナンは、目の前の状況が理解できずにフリーズして。
カノンは無言で睨みつけながら漆黒の剣を引き抜き。
サキは、何も無いところから取り出したお祓い棒を泣きわめきながら振り下ろし、
「なんで特大ゴキブリなんかいるのよぉぉぉぉ!」
……そう叫んで、無意識のうちに、スキル[神頼み]を行使した。
すると、特大の魔法陣がゴキブリの背後に出陣し……。
光り輝く魔法陣から、一匹のさらに巨大な動物が出現した。
「……サキ、あんた、なんてものを引っ張り出してるのよ。」
「……あ。」
ようやく、自分が無意識で神頼みを使ったことに気がついたサキは。
目の前にいる、巨大ゴキブリの、その後ろにいる動物を、恐る恐る見た。
……そこには。
とてつもなく大きなカエルがいた。
そのカエルは、ゴキブリをその長い舌で一瞬で絡めとり。
ゴキブリすら反応できない速度で一瞬で口に放り込む。
そして、ゲゴっとカエルらしい鳴き声をあげて、フッと消えた。
「……何だったんだよ、アレ。」
呆然と呟くナン。
「……何だったのかしらね。」
同じく、現状に理解が追いつかずに唖然とするカノン。
「……もう、使わないって、決めてたのに……。」
サキは、がっくりと肩を落とす。
それに対し、カノンは先に笑いかけながら答える。
「でも、サキが神頼みしてくれなかったら、今頃ゴキブリにやられてたわよ?あたし達。だから、結果オーライってことにしましょ?ね?」
「そ、そうっすね。そうしましょうよ。サキさん。」
ナンも、カノンの言葉に同意する。
サキはため息を吐きつつ頷いた時、ようやく気がついた。
「……あれ?ゆーくん、どこ?」
「「……あれ?」」
3人は、ようやくユウがはぐれたことに気がついたのだった。
「……あれ?ここ、どこ?」
ユウは現在、暗い森の中をさまよっている。




