調理?
ナンが武器を受け取り、シャルの店を後にした4人は、第一の町に隣接する4つのフィールドのうちの一つである、始まりの森へ来ていた。
ザッザッと足音をさせつつ、ナンがユウに話しかける。
「しっかし、武器が持てなかったのは、ほんと、ドンマイだな。ユウ。」
「あはは。でも、ある意味それで良かったよ。武器なんて怖くて握れないし。」
そう言って苦笑するユウ。
話しながらも、目の前に出たゴブリンを綺麗な太刀筋で斬っていくナン。
その太刀筋に、ユウとカノンは目を丸くする。
「ナン君って、武道とかやってるの?」
「あ、それ、あたしも気になってた。かなり太刀筋が綺麗だったから。」
「ん?やってねーよ?システムアシスト的なのが働いてるからだとおもうぜ?」
そう言いつつ、ゴブリンを両断していく。
すると、ナンがふとユウの方を向いて質問する。
「ユウ、お前のスキルの中に、なんか使えそうなスキルねぇの?さっきから俺だけ仕事してて、お前ずっと眺めてるだけじゃん。」
「……うーん、支配、とか?あとは治癒魔法と調理?」
「調理?……この世界、食べ物とかの概念、あるのか?」
首をかしげるナンとユウ。
その疑問に、サキが答える。
「食べ物ならあるよ?料理人ってクラスがあってね。この世界でもご飯が食べれるよ。」
「それって、腹は膨れるんすか?」
ナンがもっともな疑問を浮かべる。
それに対し、サキは頭を横に振る。
「詳しいことは分かんないんだけど、味覚に働きかけて、味を誤認させるらしいよ。だから、お腹が膨れる訳じゃないみたいだよ。」
「……じゃあ、意味ってあるんすか?」
ナンがそう聞くと、サキは今度は首を大きく縦に振る。
「現実世界じゃ食べられないような味も、この世界にはあるんだよ!一度食べたら止められない、そんな味がね。」
「ボクにも、出来るのかな?それ。」
「今ここでやってみたら?調理のレベル1スキルならすぐにでもできたはずだよ?」
「うん、わかった。やってみるね。……[調理]」
ユウがそうつぶやくと、ユウのがら空きの右手に、ウ〇ダーの様な栄養ゼリー飲料が出てくる。
「……これ、調理?」
「……多分、広告的なヤツじゃないかな?」
「なんで、調理なのに完成済みの品がでてくるんだよwwww」
「こういう所、このゲーム、大雑把なのよね……。」
ユウは唖然として。
サキはそこはかとないメーカーの策略を感じて少し嫌な気分になり。
ナンは、お腹を抱えて笑い。
カノンは、呆れたように溜息を吐いたのだった。




