不器用
お店の奥に案内され、高そうな黒いソファに座らされる4人。
ドアを閉めて、シャルも向かいのソファに座る。
「さて……カノン、さっきの話、本当なの?」
「うん。この2人は正真正銘のユニーククラスよ。ユウ、ナン君、自己紹介。」
「あ、はい。ユウです。クラスはテイマーっていうクラスらしいです。……こんな感じでよかった?姉さん。」
「うん。次はナン君。よろしく。」
「あ、ハイっす。ナンです。クラスはサムライっすね。よろしく!」
そう言って恥ずかしそうにはにかむユウと無邪気に笑うナン。
シャルはその2人に自己紹介をし返す。
「じゃあ、私も。シャルです。クラスはブラックスミスよ。」
「ブラックスミスって言ったら……、鍛冶師ってことっすか?」
「ええ。武器を作ることをメインとして、たまに戦闘に出るみたいな感じね。私のプレイスタイルは。」
「へー。楽しそうですね!」
「で、カノン。あんたの用件はこの2人の武器よね?ナンの方はともかく、ユウの方は何を用意したらいいか分からないわよ?」
「適当にいろんな武器を握らせてあげて、気に入ったものをって感じでいいんじゃない? 」
「……また適当な……。……はぁ。わかったわ。そうしましょうか。」
そう言ってユウの方を向くシャル。
「ユウ、着いてきて。ナンの方は刀を用意してあげるから安心しておきなさい。」
そう言って奥へ歩き出す。
少し遅れて、ユウが慌ててシャルに着いていく。
その背中を、微笑みながら見守るサキとカノン。
ナンは、武器を作ってもらえることに嬉しそうににやけていた。
案内されるがままに、鍛冶場に入ってきたユウ。
シャルは振り向いて、悩むような素振りをする。
「さて、何からすべきかしら……。とりあえず、これでいいかな。ユウ、このナイフを振ってみて?」
「あ、はい。」
そう言って、ナイフを取ろうとすると……。
《※スキル[不器用]によって、あなたは武器を握ることは出来ません。》
そんな表示が出た。
その表示に、目を丸くするユウ。
「は、はぁぁぁぁ!?」
シャルの声が、鍛冶場に響き渡った。
「……そんなわけで、ユウは一切の武器が握れない、と。」
「……そんなスキル、あってもいいんすか?」
「テイマーって、モンスターを従えて戦うから、武器を握れないように設定されてるのかも知れないね。」
あっけらかんと、そんなことを言うサキ。
シャルは未だにブツブツと考え込んでいた。
「あの、シャルさん、気にしなくてもいいですよ?」
ユウがシャルに声をかけると、シャルは怒ったように目を釣り上げ、声を上げる。
「……あんたがよくても、私がダメなのよ!絶対あんたでも握れる武器を作ってやるんだから!」
「……あ、ありがとうございます?」
「あんたの為じゃないんだからね!私のプライドが許さないからなんだからね!勘違いしないでよ!」
「天然ツンデレ娘シャルちゃんキタァァァァ!」
カノンがそんな声を上げる。
「あの、でも、ボク、どうせ握れないと思いますよ?」
「な、何でよ?」
「だって……、その……。」
もじもじと恥じらうユウ。
その姿を恍惚そうな顔で眺めるサキ。
鬱陶しそうな目で見るシャル。
「ボク、武器なんて怖くて握れませんし……。」
「……はぁ?」
シャルは、呆れたように声を上げるのだった。




