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徐々に行動範囲も広がって

夕べお風呂でたくさん泣いたからか、目覚めは意外にスッキリしていた。


僅かばかりの期待を込めて扉をそっと開けてみたけど、やっぱり外には鬱蒼とした森が広がり、鳥がうるさいくらいにさえずり、3つの太陽が朝の優しい光をおくっている。


…やっぱり、まだ異世界かぁ…。


脱力と共に、体中からギシギシとした痛みを感じる。まぁ、お布団じゃないから体はそれなりに痛いけど、横になって、猛獣とかの心配をしないで寝れるだけでもありがたいのかも。




それからの3日間は、初めて森へ出た日をなぞるように行動した。


油断した途端に扉が消えたらと思うと心配で、相変わらず大きな荷物を背負い、蛍光色の入浴剤を撒きながら探検する。


扉から出てまっすぐはローズの香りのピンク、右はラベンダーの香りの紫、左は森の香りのグリーン、そして今歩いている…扉の反対側は柚子の香りのオレンジ色。


昨日ようやく川を見つけたから、今日は川下に向かって歩いてみようと思ってるんだ。海に出れば貝とか海藻とかあるだろうし、きっと塩だって手に入る。


食べられる植物がある程度分かったからには、やっぱり塩と砂糖が欲しくなる。だって本当に味気ないんだもん…。


ポテチやチョコが大好物だった私には、今の生活は辛過ぎた。せめて蜂蜜でも…と思うけど、もしも蜂っぽいのを見つけたとしてもぶっちゃけ蜂と戦う勇気はない。


確かメープルシロップは楓の樹液だったと思うから、虫が樹液にあつまってる樹は樹液を恐々舐めてみてるんだけど、今のところ私的に甘いと思える樹液なんかない。


かくなる上は、せめて塩だけでもゲットしたかった。


それに…海辺ならもしかしたら色々流れついていて、文明とかを感じられるものに出会えるかも知れないし。


異世界に迷い込んで6日目になる。獰猛な猛獣にも会わない代わりに人にも会わない。誰とも話せずこのままずっと暮らしていくなんて耐えられない。


私はとにかく人に会いたかった。そう、文明を持った、友好的な「人」に会いたい。



考えながらも黙々と歩を進め、川に突き当たったらまずは罠をしかける。


すばしっこい魚なんか私に捕まえられる筈もなく、夕べ愛する我が家ユニットバスに戻ってから、一生懸命考えたんだ。


洗濯ネットに蛇もどきの干物を入れて緩やかな流れの中に置くだけという、なんともへっぽこな罠だけど…何もしないよりずっといい。


…お魚食べたい…。

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