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ユニットバスから出たら、そこは異世界でした。  作者: 真弓りの


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初めての異世界料理

ノロノロと体を起こし、採取した植物やキノコを手早く洗う。荷物からライターを取り出して焚き火をするために扉を開けるとーーーまだ蛇っぽいのが横たわっていた。


……あれ、死んでるのかな。



恐る恐る近づくと、蛇っぽいのの首のあたりがかなり陥没しているのが分かる。


……パニックになっていたとはいえ、扉で力いっぱい締め付けたもんなぁ。


しかし図らずも、自力で手に入れるのは無理だと思っていたタンパク源をゲットしてしまったんじゃないだろうか。


……蛇か。


贅沢言える立場じゃないのは分かってるけど、蛇か…。


いや、虫はムリだけど、蛇ならいけるか…?


幸い上司のご好意というか悪ふざけで、ワニは食べた事がある。ワニの唐揚げは後味に少しだけ癖があったものの、基本鶏肉みたいだった。あの系統だと思えばいける。むしろカエルとかより遥かに私的にはハードルが低い。


……いける気がしてきた。




自分に洗脳を施しつつ、焚き火の準備をする。幸い枯葉も小枝も豊富にあるし、焚き火の材料には困らなかった。


炎が安定したところで、戦利品の果物・植物・キノコの半分を大きなバナナっぽい葉っぱで包んで火に投入する。ナベもないし、基本は焼くか、こうして蒸し焼きにするか、ワイルドに生でいくかの三択で…得体の知れないキノコや植物たちを生でいく気にはなれなかったんだもん…。


果物は半分は残して、生食含め食べ方を模索してみることにしよう。ミカンみいに生の方が美味しい物もあれば、リンゴみたいに蒸したりしても美味しい物、柿みたいに干したら甘みが出る物もあるかも知れない。女子に甘味は不可欠だから、最優先で研究したいところだ。


果物への期待を膨らませつつ、野菜&キノコの残りの半分を、焚き火の中に仕込んでおいた石が焼けた頃を見計らって石の上で焼いてみる。


うん、匂い的にはいい感じかも。


そしていよいよ、ラストは蛇っぽいの……うう……怖い。


焚き火を囲むように小枝で丸く支えを組んで、蛇っぽいのを置いたら速攻で焼きあがったキノコたちを持ってユニットバスに避難。


近くで蛇っぽいのが焼けるのを見守るなんて怖過ぎる…!もしも死んでなかったら怖いじゃない…!


ユニットバスの扉から時々顔を出して、様子を窺う。蛇っぽいのがのたうちまわるような悪夢も発生せず、なんとか普通に焼き蛇が出来上がった時には安堵で体中の空気全部出すレベルのため息が出た。

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