第1話 『始まった世界』
ここはどこだ?
目を開いて飛び込んできた光景は信じがたいものだった。
(人が浮いてる!)
ほうきに乗った人やステッキを持っている人。見覚えがある帽子。そう魔女だ!でも自分が何故ここにいるのか、検討もつかなかった。必死に思い出そうとした。しかし頭に浮かぶのは何もなかった。ゆういつ思い出せるのは自分の名前だけだった。
「山内美紀・・・」
そうつぶやいた。するとある一人の女性に声をかけられた。
「あら、気づいた?」
声をかけてくれた女性は、近くにいた女性よりも歳をとってそうにみえた。その女性がいうにはこの世界を支配する有力者らしい。それからたくさんの疑問をその「デェーン・トランペット」と名乗る女性にぶつけた。
どのくらい時間がたっただろうか。疑問の回答や話を聞く限り、僕の身には不可解な現象が起きているらしい。まとめてみると…
何らかの事情で人間界(もともといた世界)で殺され、いくつかの偶然で魔法界に引き込まれたらしい。
分からないことばかりだ。デェーンさんによるともう一人、人間界から引き込まれた女の子がいるらしい。どうせすることがないだろうし、その女の子に話を聞いてみようと思った。
「デェーンさんによるといつもこのあたりにいるはずなんだけどな・・・。」
その子に話を聞こうと、たいていはこの場所にいるという場所を教えてもらったが、誰もいない。
「タイミング悪かったな」
そう呟いて、戻ろうとしたとき声が聞こえた。
わ…私をさ…探しているの?
「え??」
振り向いても誰もいない。
辺りを見回し、もう一度その場所をみると、女の子が立っていた。
僕は大声をあげてしまった。