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15/22

【15】

私はどうやって城まで戻ってきたのか、記憶は朧げだった。


私が居なくなったのを知ってるのはごく一部の者だけで、しかもこんな風に姿を消しては翌朝にはフラっと戻ってくるなんて事は今回が初めてではない分、大事にはならなかったようだ。


毎回「このような事は!!」と必ず長々とお説教するワルターなのに、彼だけは何も言って来なかった。


ただ、たった一言「女王陛下はお疲れのご様子。しばらくご静養して頂きます」と。


不必要に誰も私に会いに来る者はいなかった。


まるで腫れ物にでも触るかのよう。


きっと、多くの者を失望させたはず。私の次に王位を継ぐものが居ないから、仕方なく私を王に据えてるだけ。


自然と涙が溢れてきた。


誰かが言ってたっけ?泣きたい時は泣いた方が良い、と。


この歳になってまで、私は何をしてるのだろう?


恥ずかしくて情けなくて、私はあまりにも愚か過ぎて…。


ちゃんと謝ろう。 許して貰えなくても 。


誰も私を見てくれなくても、選んでくれなくても、嫌われても、許してくれなくても。


今更だけど、もうこんな事は二度としないと約束する。


だから、ここに居させて、他に行く場所が無いと知ったのだから…。












静養中の身という事で自室から外に出る事が出来ない。


半ば軟禁生活、それももう1週間は経った。


この部屋に来る人間はカルティナと薬師のみ。



「陛下、ご気分は如何ですか?」



この1週間、カルティナとはこの言葉から会話が始まる。


返事する日もあれば、無視する日もあった。


でも、今日は―― 「いつも、ありがとう…カルデナ。――ごめんなさい…」と、小声でそれだけ言うと、カルデナの目は柔らかくなり声色も一段と優しいものに変わる。



「陛下、誰もが不安になるものです。特に初めての時は…」

「…?」

「ご懐妊されてます。先ほど薬師がそのように申しておりました」

「……」



先日は、兆候は無しと言ってた薬師は、今度は懐妊と言う。


いい加減なものだと苦笑する。


私が妊娠してるのは『霊獣』から聞いてるから、知っている。


でも、『霊獣』から聞いたとは言わない。


言ったら私が封印の神殿に行ったというのがばれてしまう。


言わない方が良いに決まっている。


『霊獣』の為にも大巫女の為にも。


何故なら、霊獣は封印なんてされてなかったし、誰にでも簡単に入れるような神殿では問題視される。


私が押し黙ってるのを気遣いながら侍従長は「何も心配はございません。妊娠すると情緒不安定になり意味も無く泣いたり怒ったりする場合もあります」と、色々と話してくれる。


カルデナにはすでに成人した子供が二人居る。


自分が当時経験した話を話してくれる。



「……カルティナ」

「はい」

「この子を産みたいの。手助けしてくれる?」

「勿論ですわ」



そして、決意する。 私の中に芽生えた命の為に――生きる事を。



「カルティナ。――サイラスを呼んできて」


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