【11】
“ご懐妊騒動”は、半日で終わりを告げた。
単なる二日酔いが、どうなったら、懐妊、妊娠ってなるのよっ?
全く、こんな奴等が国家を支え、政治活動をしてるなんて頭が痛くなる。
診断の結果は“ご懐妊の兆候無し”
当たり前でしょうがっ!!!!
ワルターはあまりの落胆に、その日一日寝込んでしまった。
私のせいではないからね!そっちが勝手に急上昇して、急降下しただけだから!
でも、ワルターはナディルと恋仲になったと思い、何かと結婚させようと張り切っている。
公務の時間も以前より減らしてもくれる。
しかも、“おめでたい事は重なれば、喜びも倍増するものです。
空いた時間はナディル殿ともっと仲睦まじく――”
ワルター…、何を考えてる…、それって、暗に子供を作れと言ってるのと同じではないかっ!!
子供ね。 サイラスと…、成り行きとは言え、ナディルとも…。
………。
私、もしかして、節操無し?
あの夜を最後にラスとは会話はしていない。
何も言って来ないところを見ると、イルミナと上手くいってるんだろう。
私も聞きたいとも思わない。
ただ、私の姿を見る度に、怒りの炎を宿した榛色の瞳で睨みつけてくる。
私がそんな簡単に怯むとでも…。
か弱い女なら、泣いて許しでも請うのだろう。でも私はそんな女でもない。
私は女であるより王なのだ。
誰よりも強く、気高い存在であるべきなのだ。
そう! そう思えば、独りでも生きていける。 私は初めから独りなんだと、思えば――。




