第七話 「人を追う、その先に……」
そんなこんなでギルアネス付近。ここの近くに僕の育った村があるけど……行く?「無問題」ってのでテクテクと故郷に向う。
その道中、すっごく懐かしい方が! でこっぱ !?
「こんにちわ~」
どうしたんですか? 村に用がある? 村の誰に? ゲラルド? はい? それ僕のおじいちゃん。
何か伝えとく? いいやと断わられる。
「彼に会えなかったのは残念だよ……事を成す前に、一度、会って話をしておきたかったのだが……」
そいで、おじいちゃんは今は村にいないとのこと。
まあ、何はともあれ、立ち去るヴァイスを見送って、村に向う
(ジョージは別行動。湾岸警備隊に報告がてら、一足早くイルガルドに。ゲイルが置いてきた軍馬を取りに行ってくれるそうです)
村~。あそこに見えるのはカーライル兄ちゃん! どうしたの? おじいちゃんに用事?
おじいちゃんは隣の村に行ったらしいです。で、兄さん達もとなり村に行くって。
僕らも行こうかな?
ここで、でこっぱこと、ヴァイスさんの事を、カーライル兄さんに聞きました。
そして、明らかとなる事実。彼は隣村の住人でした……まじですか?!
「意外と近くにいたね……」とグラシア君
なんでも、彼には妹がいて、でもその妹は、人間同士の間に生まれたエルフ……忌み子だったらしく、不幸なことに彼の村は僕の村と違って、異種族差別の意識が強く、つらい思いをしてたそうです。
さらにそのうち、妹さんが病に伏せて、でも村の人はぜんぜん協力してくれない。ゲラルドおじいちゃんは協力していたそうですが、時すでに遅く妹さんは亡くなったそうです。
そんで、彼は今日、もの凄く久しぶりに帰って来たそうで、僕らが会ったのは、その帰りのようです。
もしかしておじいちゃんを逆恨みして村に?!……へ?……違う? よかった~。
「外見は変わったが、あの目つきは変わってない。そう、何か強い決意を秘めた鋭い目がな……」
「クレイの奴……ん?、そうか、今は傷と名乗っているのか……」
「エミリアちゃんもかわいそうにな。ゲラルドじいさんが戦友の神官を連れてきたが、もう手遅れっだったらしい……。せめて、施術師がついていればな……」
まあ、話し終えた後、カーライル兄さん達は隣村へ。
僕らも行こうとしたけど、「お前らはやめとけ」って止められた。なんか危ないことがあるらしい。
「それでも行くもん!」と言い張ったら「手におえないようならすぐに退けよ」と許してくれました。
そうして、カーライル兄さんたちは隣村に出発。僕らは旅の疲れが残ってるのでここで一泊して、次の日の朝にとなり村へ。
翌日。となり村。おじいちゃんいない。カーライル兄ちゃんいない。しょんぼり……。
何処へ?と村の人に聞くと、この村の娘がギルアネスの悪い男(地下ギルドの構成員?)にたぶらかされて連れて行かれた。それをおじいちゃんが追っていって、さらにそれをカーライル兄さん達が追っていったとのコト。
……とにかく、僕らもギルアネスに向うことに。
で、その道中。空からゲイルの上にポトリと何かが降ってきた。ころころころころ~。
「ミュッカ?」
とうとう空飛ぶ酒樽になってしまったか!?
そんで。何があったか聞いてみる。サーシャの方に護衛として行ったんじゃないの?
「サーシャがローガでみゅ、伯爵とスティンガーが採集してて、護衛が伯爵で、散ってたのが・・ふぁsr」
「まず。落ち着け」
変な回答が返って来たが、神託魔法行使的な意味で、落ち着かせると普通に説明してくれた。
ミュッカいわく。護衛して森を進んでると後ろから低い呻き声が上がり、振り返ると、ローガが伯爵をドサッと気絶させ、血迷ったかと他の護衛(傭兵ズ)が切りかかったけどあっさり返り討ち。
スティンガーとおいらの方に退けと言ったので、一つ二つ質問して退いて行った。
「マクガイアに話がある」
「それは、お前等に答えることではない」
「サーシャには危害は加えない……加えさせない」
それだけは信用できそう。そいで、ミュッカにスティンガーが―――
「このことを皆に伝えるんだよ。私はローガを追うから」
―――と言って、こっそり追いかけてった。
その後、バーミオンに戻ってジニアス君に相談。で、大柄で目立つゲイルを目安に探査の魔法を使って確認して、その場にテレポート。
(探査の魔法は、誘拐事件の時は、妨害されてたけど、僕らにそれは無いから、普通に使えた)
だから、唐突にポトリと落ちてきたようです。
それで結局、サーシャの件は、追っていったスティンガー姐さんの連絡待ちとなり、そんなことを聞いた後、落ち込んでる僕をグラシア君が気遣ってなぐさめてくれました。
スティンガー姐さんのことは置いておくしかないので、とりあえずギルアネスに向う。
ギルアネスに到着したけど、どうするべきか……?
ミュッカとフェイル君は宿を回って情報を集め。ゲイルは泊まるための宿の確保。
ついでに、ここで馬を連れて戻ってきたジョージと合流。グラシア君と僕の三人で神殿を尋ねることに。
ゲイルが向った先の冒険者の宿には、じじいこと、クローフィスさんがいて。息抜きにチェスで遊んでいるようです。
ミュッカとフェイル君が回った宿の一つには、カーライル兄さんとクレアさんがいて、お話を聞いた後、ミュッカは地下ギルドへ。
でも「今、ギルドはごたついている。面倒事は起こすなよ!」と釘を刺されただけでギルドでは収穫無し。
フェイル君は、先に宿に戻ろうとして路地裏に迷い込み、そこでブロークさんと遭遇。色々と裏話を聞けることに。
戦神の神殿。ゲラルドおじいちゃんのことを聞くと、友人だと言う神殿長様と謁見。いろいろ聞いてみる。
「ワシはカイラル。カイラル=クリス。ゲラルドとは昔一緒に冒険をしてたことがあるぞい」
「心配することは無いじゃろ、2、3日で事は終わるはずじゃ」
「タテロール? ……ハロルド……グランドリアの貴族のことかの? この街に来ているのは確かだが、何をしているかまではわからないぞい?」
「……この件はゲラルドに任せるのじゃな。お主らでは荷が重いじゃろうな……」
とりあえず、ジョージは宿に戻り。僕はグラシア君と一緒に魔術ギルドに行く。
魔術ギルドの中には入れてもらえたけど、その先の資料室には入れてもらえなかったので、ロビーで聞き込み。
しばらくすると、中から見たことあるような人が~。ま、気のせいでしょ。
少しして、グラシア君が出てきて「ノートリスが居た」って、
……じゃあさっきの人が?……
なんでもギルアネスの王城跡にある、幻想庭園(文化遺産的な庭園。警備が厳しい)の資料を見ていたらしいのです。それをゲイルに伝えてくれと言われました。
ゲラシア君は戻らないの? 私的な調べモノがある?じゃ、先に帰るね~。
宿に戻ると、クローフィスさんと、ゲイル、フェイル、ジョージの三人がチェスで勝負。
「ほっほっほっ、弱いのぉ」
「ガッー!!」←×3
皆、ボロ負けしてた……。
で、夕方頃、グラシア君お帰り~。んで、情報交換。
現在、ギルアネスの地下ギルドは二つの勢力に分かれている。
親バラスト派とそれに反対する、反バラスト派である。
そいで、ゲラルド爺は、その対立に思いっきり巻き込まれたそうです。
(楽園島“バラスト” 枕詞に悪党の、とか、盗賊の、とかが付く、治安最悪の都市。行政機関は飾り。地下ギルドが全てを支配している)
ただ、救いなのは、おじいちゃんが敵対している(らしい)親バラスト派は、半数でなく、3分の1程度だということ。
それと、ノートリスの動向。
グラシア君いわく「坑道を数箇所チェックしていた。かなり気になる」とのこと。
これからどうするの?……下見に言ってみる……。僕はおじいちゃんを探したいな~。でもとにかくノートリスが気になるからって、皆の下見に連行。ガーン!?
途中。あれ?、あれは怪しい露天商の人?
「この呪われそうな、ボロい人形はなんだ?」
「身代わり人形です。持ち主に、幸運が降りかかった時に、それを身代わりに受けます」
「不運は?」
「そのままです」
「やっぱ呪われてるじゃねーか!」
「幸運の身代わりになる度に、段々と人形は豪華になって行きますよ? 後で高く売れますよ?」
「……ミュッカ。突然だが、プレゼントをやろう」
「わーい、と言うわけないみゅ~!? いらないみゅ~」
「チッ」
「武器はないみゅ?、おいらでも使える武器は!」
「そうですね。切った傷跡が強制的にZ字になる“不殺のレイピア”とか、振り回す度に賛美歌が流れる木刀とかありますけど?」
「魔導技術的には素晴らしいが、ろくな物がないな、おい!?」
「技術の無駄使いみゅ~、もっとやるみゅ~」
「ん? そのデカイのはなんだ?」
「それは“魔人の鉄塊”です。とある酔狂な剣匠が、技術の粋を凝らして作った、観賞用の銀の大剣ですよ」
「……実用性は?」
「あります。ただ、見ての通り人間用ですが、その規格外な重量のため。実質使い物になりません」
「巨人族が使うには、柄が小さすぎるみゅ」
「つまり、巨人並の膂力を持った、人間なら、普通に扱える訳だな?」
「そうなります……試してみますか?」
「……やってやらあ!!」
クマさんでも、最初は剣に振り回されてたけど、しばらく振ってるとコツを掴んだのか、自在に操れるように!
……良かったね。ぴったりの武器があって!
「突然ですが、急用ができたので店じまいです。お買い上げどうも~またどこかで会いましょう!」 スタタタタッ!!
「こら! またキサマか! そこを動くな!!」
「お勤めご苦労様みゅ~」
さて気を取り直して、合流。そして、坑道内。進んで行くと、チェックしてた場所の一つに到着。分かれ道、適当に選んだ道に……。
で、進んで行くと、奥から話し声が……。ミュッカ、忍び足~。
「……ここは、ハズレのようだな」
タテロール! って、ここは外れですか? とぁ! 後ろから人が!! 挟まれたー!?
端っこに寄って、グラシア君の姿隠しの幻影呪文で皆でかくれんぼ~。
「むこうがアタリか……ゲイルはどうしている?」
「庭園へのルートが確保出来たそうです」
「ふむ。なら私もそちらに向うか……ここは任せる」
ゲイル? ゲイル兄さん? 違う? 同名の別人?
で、タテロールは盗賊っぽい人たちを残して引き返す。
残るは見張り数人……。スリープミスト~。眠った。ロープでグルグルと縛って……って、もう帰って来たー!!
「うぉ!? なんだてめえら!!」
「冒険者か?」
「官憲……にしちゃ、変だぜ?」
「そんなことよりおうどん食べたい」
「お頭! どうしやす!」
「おい、コレ持って先に行ってろ……」
盗賊がひーふーみー……6人も! で、さらにめっさ、もさい奴が……ゲイル?……モンスターゲイル。有名な野盗らしい。こいつか!!
何か持ってる……袋? 部下に渡して……でぇ!!逃げ出した!!
「まてー!!」
「だから、勝手に突っ込むなと!?」
「おおっと、ここは通さないぜ? 通りたけりゃ……この、モンスターゲイル様を倒してから行くんだな!!」
僕は先に逃げた部下……盗賊を追いかける! あとはゲイル兄さん達にお・ま・か・せ♪
……ゲイル兄さんとモンスターゲイル……どちらが上かな?
「こんなのと同名かよ…凹むぜ。ええい、邪魔だ潰れろ!!」
「おおっと、化け物じみた一撃だったが…この、円形盾と柄付星型鉄球の鉄壁は敗れねーぜぇ!」
「こいつ、受け流し技術が半端じゃない!?」
「みゅー!? 背面攻撃も止められたみゅ~!?」
「あの二品、魔法の品っぽいね…。しかたない、イリス。先にいけ! 魔力よ! 集え!」
逃げた盗賊の退路を守る下っ端2人にグラシア君がお得意のスリープミスト。ドサーっと倒れた所を飛び越して追いかける僕。
その後ろでは、、モンスターゲイルに呪精束縛を決めているフェイル君の姿が……勝負あったね。
「剣が効かぬなら、魔法を使えと、精霊は言いました。」
「くっ、卑怯な!!」
「強盗には言われたくないみゅ~」
「強盗山賊は縛り首が基本! だったら加減は不要!! そぉぉぉりゃ!!」
グシャ
「みゅー……」
「……ゲイル。せめて原型は残そう」
「すまん、調子に乗った。次からは悪党相手でも手加減するわ……」
「「「おかしら~!!?」」」
それでも、残った手下を一人一人、ゲイルが新品の大剣でゴスゴス殺ってく音を背中で聞きながら追跡。
くねくねした道を走る僕。トロッコだ! 乗りやがった! まてー! 僕も乗った! 降りた! 僕も降りた! シュン!? って、いちち……毒矢?
ふらふら~解毒できない(僕はまだ解毒使えない)~でも、追いかける! 飛びつく! 結構手ごわいぃぃぃ!! ローガさん直伝の剣技で、凌ぐ! 凌いだ!!
でも、早く誰か~!! 毒が~ へるぷ~!?
「イリス! 下がれ! 動けばその分毒が早く回る!」
「こいつはオイラに、まっかせるみゅ~!」
援軍のグラシア君到着。逃げる! 盗賊!! さらにミュッカも到着。 多対一は戦略の基本~! 取り囲んでザクッと成敗!!
「……これも魔法の品だ」
「おたからみゅ~」
「回収は任せた。イリス、肩を貸そう、歩けるか?」
「う……な、なんとか~、でも、目が回るるるぅ?!」
ミュッカが持ち物あさって袋に入った七色七組の燭台発見。
僕らは……とにかく外に……あぅ……毒が……回復光!!……痛みで発動失敗。モウダメ~?
いやいや、落ち着け私! 気を取り直して掛けなおす。成功! これでまだ動ける!!
外だ~。神殿に駆け込む~。司祭様た~す~け~て~!!
「おお?! これは酷い……死者蘇生!!」
「え? 僕もう死んでるの?! 違う、生きてるよー!?」
「ワシもまだレイズは使えんよ」
「え?」
「え?」
「司教様、冗談はそこまでにして下さい。また手遅れになったらどうするんですか? 誤魔化すの大変なんですよ?」
「まて!? またなど、誤魔化さねばならんほどの失敗をした覚えはないぞい!? それに、ほれ、すでに治療は終わっとるじゃろ?」
「……あ、ホントだ、もう苦しくない」
「そうじゃろそうじゃろ、快癒を…「死ねば楽になる、と言うみゅ」使ったからのぉ……」
「え? 僕やっぱり死んじゃった?!」
「イリス……。残念な人を亡くした……」
「…それ、残念の使い方違うよね?」
「死因は頭みゅ? 胸みゅ?」
「それは、宣戦布告とみなしますよ? みなして良いんですね? みなしましたよ?」
「敬語になったみゅ!?」
「本気で怒ると敬語になるのか……」
「みゅ~!?」
「ローガさん直伝! 一辻目ノ太刀っ!!」
やいのやいの
「さすがはゲラルドの孫じゃな、本気で死にかけたのに陽気なものじゃ」
「最高位の治癒呪文である、快癒を使わねばならない程、危険だったんですか?」
「あと数分遅ければ、手遅れじゃったよ」
「なら、冗談など言わなければ良いでしょうに……」
「死にかけた恐怖に負け、リタイアする冒険者は多いからのぉ……、じゃが、不要じゃったようじゃな」
一方。ゲイルたちは? 帰ってこないね~?
そこに「大変だー!」って、ブロークさんが駆け込んで来て、僕らを見て――
「なんでお前らがここにいる?」
「はい?」
「捕まったんじゃないのか?」
――どゆこと?
王宮跡の幻想庭園から、備品盗んだ容疑で逮捕? ゲイル兄さん? モンスの方じゃなくて? えええ!?
どうすればいいのかな? 司祭様? 疑いを晴らすためにはどうすれば? 真偽裁定の魔法? 高位の魔術師にコネ……あったかな?っと考えているところに、バターンと扉が開く。
「家の奴がドジって捕まりやがった、悪いが手を貸してくれ!!」って言って入ってきた人は……おじいちゃん?
扉の前に立てってグラシア君が……了承。で、おじいちゃん、司祭様に言った後きびすを返して―――
「すまないがどいてくれ」
―――といって、僕を避けて外に……で、2、3歩いたところでピタリ。
「…………なんでここにいる?」
反応遅っ!? で、説明する。で、移動しながら色々と聞く。
タテロールこと、グランドリア貴族のハロルドは、親バラスト派に協力していて、娘を使った取引の仲介人らしく、すでにバラストに向ったらしい。
そんで、おじいちゃんは、昔のコネを使って魔術師を見つけ、僕らのことを頼むと、カーライル兄さん達と一緒にバラストに行っちゃった。
「あの街は危険過ぎる、主らは、ここで待っとれ」
おじいちゃん……ごめん。僕らも行かなきゃ。仲間が解放されたら皆と一緒に向かうから。
ところで、高位の魔術師……。って、あなたはグラシア君の師匠。ローゼン師!! 用事があってギルアネスに来ていたらしい。
……え?……燭台? これの事? 永遠の灯火? ふ~ん……。
とにかく盗られなくてよかった。で、誓いの短剣も関係してる? でも僕らが持ってた方が良い???
とりあえず、仲間たちの弁明と釈放をお願い。燭台の返却と正式な貸し出し。とゴタゴタを解決。
それから数日。仲間も釈放されたので、バラストに出発……かな?
……・サーシャ! スティンガー姐さん~!!
登場人物
ゲラルド=ティンファ (男)勇戦士。イリスの祖父。元冒険者で、顔が広い。
カイラル=クリス(男)戦神の高神官。ギルアネスの教会の司教。ゲラルド現役時代の戦友。
クレイ(男)エミリアの兄。両親は他界。現在はヴァイスと名乗り、放浪中。異郷の月神の高神官。
エミリア(女)隔世遺伝の忌み子。本来治るはずの病で、病死。