第三話 「伯爵とサーシャと裏切りと……」
スキルは単純に特定の技術や戦法、資格の呼称です(正拳突きとか背負投げ、簿記三級とかと同じ)
クラスは、特定のスキルを所有する。つまり、そのクラスに相応しい能力を持った者に与えられる呼称です(柔道家や弁護士などの肩書きと同じ。ただし、クラスと職業は別。また、複数のクラスを持つ多彩な人もいる)
自称も可能ですが、普通は身分証(冒険者証も兼ねる)に能力に応じて、自動的に記載されます。
つまり、クラス固有のスキルとかは無く。逆に特定のスキルを使えるからこそ、そのクラスを名乗れるといった形になります(職業は自動記載されず。クラスと違い、スキルの有無とは無関係に名乗るものです。ですから、クラスと職業が一致してない場合、能力を疑われることがあります)
身分証は、戸籍だけでなく、能力に応じたクラスの表示や、称号や職業、賞罰なども記載され、所謂、キャッシュカードのような使い方も可能です(ただし、キャッシュカードとして使えるのは、大きな街のそこそこ大きな店のみです)
身分証は身元のハッキリした人しか入手できないので、持ってるだけで、ある程度は信用されます。
ただし、偽装技術も存在してるので、完全に信用を得れる程ではありません。
ビーコンやGPS的機能もありますので、無くしても探すのは容易で、個人認証もあるので他人に勝手に使われる心配も(原則的に)ありません。
頑丈なので破損はめったにしませんが、再発行(初回は無料)にはかなりの大金が必要なので、壊さないように注意してください。
イリスの場合は、職業が冒険者。クラスは神殿戦士。保有スキルは剣術初級、神託魔法初級、と、なります。
あの事件の後、デルミスに戻ってから二日後。この日、グラッドおじちゃまにお使いを頼まれました。
「この書簡を、デルミスにいる“マクガイア伯爵”に届けてくれないか?」
もちOK。でも、ちょうどこの時期は、デルミス方面はモンスターが出やすくなるそうで、しかも今のところ2人ほど別の用事で不在・・・そこでグラッドおじちゃまの紹介で、二人の助っ人が同行することになりました。
不在の2人、グラシア君は魔術ギルドで奉仕活動。ミュッカにいたってはふらっと出かけて行方不明(ハーフリンクはそう言う種族)
そして、助っ人二人は、1人は大柄……って言うより背の高い女性の“スティンガー” 偽名?
もう1人はまさに外見ヤンキー兄ちゃんの金貸しソーサラーの“ステイ”。
ついでに、ステイはちょうどデルミスの自分の店に帰る途中だったらしい。
「帰り道なんで丁度いい。よろしくな!」
「あたいは、戦士ってことになってる。名はスティンガーさ。よろしくね」
「冒険者なんて、みんなそんなものだと、精霊も言っています」
「精霊って物知りなんだね~。僕は戦神の神殿戦士のイリス! よろしくねー」
「嬢ちゃんは何時でも、正常運転だな。ゲイルだ、よろしくな」
さて、今回は5人で冒険だ~♪。途中、モンスターに会うこともなく、のんきに街道を歩いてたら森の方から女性の悲鳴が聞こえてきた!
駆けつけてみると僕と同じくらいの女の子が狼の群れに襲われている所だった。
「ありがとうございました。討伐隊の方ですか?」
「いや、通りすがりの冒け「巨人族」です」
「おいー!?」
「え? ああ、そうなんですか?」
「いや、だから通りすがりの冒険し「クマさん」です」
「だから、おい! ちゃちゃいれんな!」
「冒険者だと、報酬を要求する義務が発生するので、ただの旅人の方が良いと、精霊は言っています」
「お・ま・え・ら……、ああ、分かった、分かった。このお人好し共。俺は通りすがりの旅人。これで良いな?」
「えー、巨人でしょ?」
「クマさん……」
「ふむ、一度、商人の息子的に、語り合う必要があるな……主に拳で」
「きゃー、わー」
「クスクス。面白い方々ですね」
とりあえず狼を追っ払い、女の子を助けた。女の子は“サーシャ”。集落のお婆ちゃんが発作を起こして危ういので薬草を採りに行った。その帰りに狼に会ってしまったらしい。
サーシャを集落まで送ると「ささやかですが、お礼をしたいので、暇な時にでも来てください」と言われた。とりあえず、目的地はすぐそこの街なので、書簡を渡すべく伯爵に会いに行くことにした。
そうして伯爵からは、グラッドおじちゃまへの返信の書簡と、報酬を貰った。ついでに頼み事もされた(依頼だ~)
依頼の内容は「“レネ”と言うエルフの女性を見つけて欲しい」とのことだ。でもこれがまた情報が少ない。
分かってるのは“エルフ”で“レネ”って名前。そして、デルミスのどこかにいるはず。
たったこれだけ……。
「まあ、とりあえず宿を……」とのいうことになったら、ステイが自分の店に泊めるてくれるそうで、さっそく移動。
しかし、その店は閉鎖されていて、差し押さえられてた。ハァー!?
「なんじゃこりゃー!」
「ふむ。差し押さえだな。この張り紙も、正規のものだ。この印章は見たことが有る」
「どこで見たの?」
「……国は違うが、親父がたまに使っていた」
「やっぱり悪徳商人!? 僕、売られるのー?!」
「だ・ま・れ」
どうやら、留守中にトラブルがあったらしい。やさぐれてるステイを残して、僕らは冒険者の宿に……。
冒険者の宿に入ると、そこには一週ちょこっとぶりの人が!
「おや? お前達もモンスター狩りに来たのか?」
楽しそうに騒いでるカーライル兄ちゃんがいた
なんでも、仲間とともに、ここデルミスで定期的に行われているモンスター狩りに参加するために来たそうです
でも、ここにいたのはカーライル兄ちゃんだけで、他の三人はいませんでした
とりあえずレネのことを聞いてみたけど「知らんな」といわれた。ガックシ……。
それが昼すぎの話で、宿を取った後、僕らは夕方まで別行動となった。
僕&フェイル君の組-中央広場にクレアさんがいるらしいのでそちらにも当たってみることにした。
クレアさんは演奏中。でも僕たちがついてしばらくすると歌が一段落したので聞いてみたけどやっぱり知らないそうで、広場にいた他の人も同じで、夕方まで辺りの商店なんかで聞いてみたけど知ってる人はいなかった。
ゲイル&ステイの組-ステイに店を任せていた大商人の“ベルギス”氏に会いに行った。
聞いた話によると、ベルギスの後援者であるマクガイア伯爵が援助を止めたので、資金難となりステイの店を潰すことになったらしい。
(後で分かったことだけど、その館には“ラートリー”と言う犬使いの傭兵が雇われてたそうです)
単独のステインガーさん-地下ギルドで情報集め。そこで言われた……というより買った情報が「レネと言う女性についての情報には、緘口令がひかれている。それが情報だ」と言われたらしい。
夕方、皆で宿に集まって話し合った。話し合った結果、僕、スティンガー、ステイの三人で伯爵の館に向った。
緘口令のことを話して、レネさんと伯爵の詳しい関係を尋ねてみた。
「レネのことを隠されたのも、ベルギスの援助を止めたのも、時代の流れだ。そもそも異種族だからと言って軽んじる風潮自体が間違っていたのだよ。まぁ、今更の話では有るがね……」
ようするに、レネさんと伯爵は元々恋人同士だった。しかし、異種族と同士ということで親に反対され別れた。でも、その親も死んで、家督を継いだので、改めてレネに会い、守れなかったことを謝罪したい、とのことです
(ベルギスへの援助を打ち切ったのも、ベルギスが異種族排斥派である“貴き血の会”の重鎮だからだそうです)
話を聞いた後、とりあえずこの日は宿に帰って寝ることに……
翌日。レネさんを探し初めて二日目の早朝。エルフ兄ちゃん(ブローク)が尋ねてきて、レネさんについてそっちでも調べてくれるそうです。なんでも「お前達には借りがあるからな……借りたままってのは性に合わないんでね」だそうです。らっき~♪
「ほっほっほっ、荒事は若いもんの仕事じゃよ」
「ならなんで、爺さんは荒事が本業の冒険者を続けてるんだ?」
「ほっほっほっ、それは内緒じゃ」
「これは訳ありだと、精霊が言っています」
「いやまて、精霊に聞くまでもなく分かるだろ」
「これだからジジイは……魔法だけじゃなく、戦士としても、結構良い腕してるんだがな、めったに動こうとしないから困る」
「おじいちゃんは、魔法戦士なの?」
「剣も使える、ただの老いぼれ魔術師じゃよ? ほっほっほっ」
モンスター狩りには、カーライル兄ちゃんとクレアさんの二人で行ったみたいで、魔術師のおじいちゃんは留守番だそうです。
この日、皆でサーシャの家に行ってみた。これと言った情報は無かったけど、楽しかった♪
(お礼に、外傷に効く薬草を煎じた塗り薬をもらった)
そして昼に街に戻ってみると、何故か首切り事件が起きていた。ものすごく鋭い切り口だったそうです。それから、夕方まで、また個別に行動開始。
スティンガー&ステイは首ちょんぱ事件について地下ギルドに、僕もその護衛としてついて行った(あんまり役に立たないけど)
そいでゲイル&フェイルは伯爵の館に聞き忘れた事を聞きにいった。
「ふむ。確かに動きが怪しいな。最近、娘を使った政略結婚が流れ、資金繰りが行き詰まったと聞いている。良からぬことを企んでなければ良いが……」
ステイ組-僕はギルドには入れないので入り口で待機。二人は中に入り、首ちょんぱ事件について聞くと、被害者はそこのギルド関係者で、その被害者が何をしていたかや、共通点は無いか?などの質問は「企業秘密」の一言で却下された。
犯人像としては、切り口の鮮やかさから魔法の剣を持った一流の戦士か、邪司祭である可能性が高いそうです(邪司祭は闇の傷で鋭い切り傷をつけれるらしい)
ゲイル組-緘口令と伯爵の資産、貴き血の会について色々聞き出してきたそうです。後、伯爵は“石英病”にかかってるそうで、すでに片腕が動かなくなってるので、後半年程度で死ぬそうです。ミャア……。
(石英病。緩やかだが、確実に進行する死に至る難病。身体が少しずつ透けて、水晶のように硬化していく。治療には通常、特殊な薬草が必要)
さて、夕方。集めた情報で色々と話し合い。今夜はどうするか?
「今日は、サーシャの家でお泊り会♪」
「楽しそうだね」
「うん! 良い、お友達になれそう」
女二人組(僕とスティンガー)はサ-シャの家に泊まりこみ。残り三人は街で情報集め。
そいで、サーシャの家の方に街道をテクテクと歩いてると、街道に見た顔が……!?
「なんでここにいるのかな?」と、街の門の所にグラシア君がいました。なんでも、魔術ギルドのお仕事で、届け物のためにこの街に来て、その用も終わったので帰ろうとしてたそうです。ちょうど良いので、グラシア君もつれてサーシャの家に。
さて、サーシャの家。グラシア君を紹介してお話。でも、スティンガーのサーシャ素性を探るような質問に、同席してた近所のおばさんが激怒。実はサーシャは孤児で、親の顔も知らないそうです……。
とりあえず、夜も遅くなったので、スティンガーがグラシア君を、案内がてらに街の宿まで送りに行った。
そして、二人が宿の戻ると、エルフ兄ちゃんが戻って来てて、レネについての情報を教えてくれた。そして、その情報を聞いたグラシア君とゲイル達は、伯爵の館に行って。スティンガーはサーシャの家に戻った。
(その情報は、レネと言う女性は未婚のまま、5年ほど前に亡くなって。何故か子供がいたけど、10年ほど前に色々な事情が重なり子供を手放したらしいってことで。そこで、伯爵に、その子供を捜すかどうかを尋ねることになったらしい)
そして、グラシア君&ゲイルたちが宿に戻って、それぞれの情報を検討した結果。サーシャがレネの子供で、さらに伯爵の子でもある可能性が浮上。
そのころ、サーシャの家にいた僕は、家の中の様子をうかがう怪しい人物に気づき、サーシャをドアから離れさせ、戦闘態勢をとった。
それから数分後にスティンガーが来て、足跡を調べた。すると、二人分の足跡があり(争った形跡)そのまま足跡を追跡していった。
足跡追跡中のスティンガー。街に近づいた所で、二つの影が見え、一つは地べたに引きずられ、もう一つはそれを引きずってる者で、片手に怪しげな曲刀を持っていた。顔を見ようと近づくと、横からいきなりダガーが飛んできて、その影は飛んできたほうに駆けていった。
その影が消えてから、残った引きずられてた影を確認。見事に首ちょんぱ!?
スティンガー姉さんはその盗賊っぽい男の死体と去った影の男の姿を忘れぬようにしながらサーシャの家に戻ってきた。
(僕はサーシャと一緒に待機中♪)
そのころ、グラシア君の推理を聞いたゲイルは、盗賊たちのターゲットがサーシャであると確信。即時に宿の主人に馬を借りて、町外れの集落にあるサーシャの家に向った。
同時期。サーシャの家にいた僕は、不審者にそなえて鳴子を設置して、中で待機。そこに“馬に乗ったゲイル”が!!そして鳴子が鳴り響き、驚いた馬が暴れだす、集落の住民も騒ぎを聞きつけ集まり大騒ぎに!……あるぇ?
この騒ぎは後に“暴れ馬事件”として集落に語り継がれたとかなんとか……。
結局、この日は襲撃もなく、男四人組は宿に戻り。女二人はサーシャの家に泊まって一緒に眠った。
翌日の昼前。集落に衛兵が来て、僕とサーシャとスティンガーは詰め所に連行された。とりあえず事件(殺人)について聞かれるけど、特にやましいことないので、すぐに釈放。でも、スティンガーは、変な風に嘘ついてごまかそうとしたため、本格的な取調べを受けることに……。
だ、だいじょうぶかな…?
そして、昼過ぎ辺りに、冒険者の宿にいたゲイル、グラシア、フェイルも詰め所に呼び出され尋問。でもすぐ終わる。
(ステイは、地下ギルドに言ってたので尋問なし)
さらに翌日。ステイは皆に促されて衛兵の所に出頭(変に疑われないために)
グラシア君はレネの娘の情報探し。ゲイルは宿でスティンガーにお説教(軽率な言動や行動について色々と……)
フェイルはサ-シャの護衛で、僕もそのお手伝い。
ついでに僕はサーシャに、薬草の事とか色々教えてもらった♪
詰め所から帰ってきたステイ。手近な酒場に憂さ晴らしに寄ると、カウンターで二人の男が言い争いしているのを目撃。片方は例の曲刀を持った男で、もう1人はベルギスの館で見かけた人で、曲刀の方はすぐに店を出てって、残った方と少し話しをしたらしいけど、詳しくは教えてくれなかった。
それで、同じ頃にグラシア君が、エルフの兄ちゃんから新情報を教えてもらったらしい。
「時期的に―――となって―――でだ、その娘ってのは孤児としてどっかで育ってるはずだ。それと、名前はサーシャと言うようだ。これで、借りは返したからな?」
ここで、サーシャが伯爵の娘であることが決定的となった。
その同時刻、僕とフェイルはサーシャの家でのんびりとお茶を楽しんでました。そこに窓を割って何かが投げいれられた。一緒にいたフェイル君とサーシャは何かの煙(後に語ったグラシア君いわく、速攻性の眠り薬)で寝てしまった。
かろうじて起きてた僕はドアから入って来た悪漢三人と戦闘に!でも、その中の1人がサーシャをかっさらって逃げて、それを追うようにもう一人も出てって、後の1人は僕を足止め!。そのまま、逃げられたー!?
その直後に、首ちょんぱの犯人っぽいのが来た。
「く、遅かったか……」
その人の名はローガ。サーシャに命を助けられたので、恩返しに、影ながら守ってたらしい。
「官憲や衛視に事情を話したら?」
「国家とは関わりたくない。正規の手段で入国できる身分では無いのでな……だからこそ、恩には報いたかったのだ」
「訳ありっぽいね」
サーシャを探そうにも完全に見失ない。しかたないのでフェイル君を担いで宿に向った。ローガさんは指名手配中なので、連絡先を教えてどこかにいった。
宿について、皆に説明をしたところで、フェイル君も目を覚まし、さらにカーライル兄ちゃんとクレアさんもモンスター狩りから帰って来た。
そこで、カーライル兄ちゃんに怪しい三人組を見なかったか聞いたら、高級住宅街に向う裏路地で、何か大きめの袋を担いだ三人組を見たらしい。
「よくわからんが、無茶するなよ?」
「ほっほっほっ、ひよっこには荷が重いようじゃな」
「良いだろう。こんどはこっちが貸しを作る番だ。手伝ってやるよ」
兄ちゃんたちと別れて、とりあえずそれらの報告も兼ねて、皆で伯爵の所にいった。伯爵に出来る限りの助力を頼み、それからゲイル&ステイ組とグラシア&スティンガー組。と単独行動のフェィルと僕の4手に分かれて、夕方まで情報集めに向った。
ゲイル組-ベルギスの館にいって調べた。ベルギスさんの話は実のあることはないようでした。けど、マジックアイテムを持っていたのが印象的だったそうです
(マジックアイテムは「守り石」。薄い障壁が常時展開されるペンダント)
グラシア組-宿にいるカーライル兄ちゃんのパーティーの人たちに良い知恵を……とのことで、向った。
そこの宿に何故かグラランのミュッカがいた。そしてミュッカはグラシア君に捕獲(笑)された。
戻ってきたカーライル兄ちゃんたちに尋ねたけど、これといった収獲はなかったそうです。
でも、殺人事件の続報は聞けたそうで、なんでも貴き血の会の人がまた殺され。連続殺人は5人目となったって。
単独フェイル-衛兵に助力を頼みに行った。でも断られた。しかも、ローガさんが指名手配されてることと、そのことについて何か知らないか逆に聞かれた。
単独の僕-教わった隠れ家に行って、ローガさんに助力を頼んで見た。とりあえず殺人は自重してくれるとのことでした。
あと、僕が来た時は血を拭ってる途中でした。
そして、教えても大丈夫な情報を伝え、いろいろ聞いた(事件と関係ないことばっかりだけど……)
「ふうん、でもそれってローガさん悪くないよね?」
「いや、悪いさ。要領が悪い。もう少し上手く生きられたらと思うこともあるが……やはり捨てられない」
「その曲刀。なんか綺麗だね」
「ん、ああ。これは“刀”だ。力ではなく、業で切る。そう言った代物だ」
「へー、ローガさんって剣士なの?」
「少し違う。できれば、刀剣士と呼んで欲しい」
「サムライ?」
「旧世界の呼び名ではあるが、これが一番合っているのでな……」
「へー、うん。分かった!」
さて、皆で宿に集合。弾丸ボーイ作戦(ミュッカ1人でベルギスの屋敷に忍び込む)を図案中。
「悪徳商人でも、商人は商人だからな、忍び込めばこっちが悪人だ」
「なら、そういうしがらみの少ないのに任せれば良いと、精霊は言っています」
「みゅ?!」
「ハーフリンクなら、見つかっても大丈夫じゃないの?」
「イリス。神官が犯罪行為を薦めるのは、どうかと思う。だが、悪くない手だとも思う」
「おいら! おいらの意思は!? 無視? 無視なのかみゅ~!?」
「ハーフリンクの神出鬼没は有名だ。それに潜入に向いた技術持ちだろ?」
「な、なんのことみゅ~?」
「体捌きで分かる。そういった仕事人は、実家での付き合いで、何人も見てるからな。なあ、スティンガー?」
「―――なんで、そこで私を見るのかな?」
「さあな」
「うみゅ~……分かったみゅ。ちょっと見てくるみゅ」
「がんばれ(一同)」
「あれ? でもさ、ベルギスって亜人排斥主義者じゃなかった?」
「ミュッカー?!」
「やっぱ、やめたみゅ。ただいまみゅ~」
「チッ」
「なぜ、舌打ちしたみゅ!?」
その頃、ステイはなんとなく自分の店に向ってみた。すると、自分の店の前にいかにも用心棒な方がいるのを目撃。直感的に「ここだ!」と悟り、急いで宿に戻ってきて報告。 報告を受けた僕らは、皆で向うことに(ここでリトルボーイ作戦を正式に中止)
「心を霧で満たせ、束の間の安息を与えん。眠り霧!」
「俺の店を返せー!!」
「いっくぞー!」
「だから嬢ちゃん。前に出過ぎだ!」
「そーれ、とつげきみゅー!」
「だから、邪魔だから俺の前に出るなと!?」
「まあ、たまには正面突破もいいか、今は戦士だしね」
「迷うなら、飛び込め。なんとかなるさ!。と精霊が言っています」
「それ本当に精霊か? 聞こえちゃいけない類の声じゃないのか! ええい、もういい。俺も混ぜろ!!」
扉を守る奴を倒したら(眠らせたら?)扉を開けて(ゲイルが蹴破って。ステイが嘆いて)中に入って見ると大きな犬が五~六匹いて、その少し奥に犬笛を持ったラートリーさんがいた。
ラートリーはローガさんの目的を知っていて、なおも僕らの邪魔をするとのこと。ローガさん知ったら怒るだろうな~。んで、犬どもとバトル。
援軍がきたけど潰しながら(ゲイルは本当に踏み潰しました)闘ってると、ラートリーは奥に逃亡。それをスティンガー姉さんが追いかけていくと、別の道からローガさんが! うそでしょー!?
「賊か?。ラートリー、手伝うぞ」
顔を知られてる(味方と分かってくれる)のは僕だけ。でも、遠い……。全力疾走!。
その間にスティンガーはローガの攻撃を食らい昇天!?
「切り捨て御免」
「あ、私、死んだわ、これ」
「むっ?(床に凹みに足を取られ、剣閃が僅かに逸れた)」
い、いや神様ありがと~! 運良く攻撃はそれて、壁に!……って、剣が折れるどころか、石壁を切って捨てるって……。
「ちょっとまってー! その人味方、味方!」
「「――イリス?」」
とりあえず、僕が来たこと(いること)に気づいて剣を納めてくれました。スティンガー姉さん危うすぎ!!
(ラートリーはローガさんと入れ替わりに逃亡した)
「そうか……そう言うことか……おのれ!」
さて、ラートリーのことをローガさんに話すと、大激怒。急いでサーシャを探す。
ある部屋にサーシャがいたけど薬で眠らされてたので、ミュッカにクレアさんを呼びにいってもらった。その間にローガさんにこれからどうするかを聞くと、とりあえずこの街をから出るとのこと。そして、脇差?を詫びに置いて彼は去っていった。
クレアさんの力でサーシャは目覚め、ローガの特徴を話すとどんなことがあったか話してくれた(森の中で、毒を受けて倒れてる所を偶然見つけて手当てしたことがあるそうです)
その日のうちに伯爵の館に向うことにして、その途中で、グラシア君がサーシャと伯爵の関係を説明してあげてた。
そして、感動の対面。その日は朝まで二人で話し合ってたけど、僕は疲れのために待合室で寝てしまった。
二日後に街を出た。その二日間の間、皆はぐっすり休んで(グラシア君はギルドで調べ物してた)僕はサーシャのお手伝いをしていた。
その後、ステイはこの街に根を下ろし、伯爵の援助で商売再会。スティンガー姉さんは何処かへと旅立っていった。
そして、伯爵はハーフエルフ保護のための寄付を行い、首ちょんぱ事件は迷宮入りに……。
「じゃあな、あまり無茶すんなよ!」
「後先考えずに突っ込むとはな……これだから素人は怖い」
「ほっほっほっ。びぎなーずらっく、とやらじゃろう」
「素直に称賛してあげたらどうです? 無茶するのはあなた達も同じでしょう?
―――では皆さん。また、いつか何処かで、お互い無事に会えることを祈りましょう」
「「「「勇ましき冒険者に、栄光あれ!」」」」
そう言って、兄さんたちも別の町へと流れて言った。
それで、ベルギスは、サーシャを助け出した翌日に殺されて、何かを(守り石?)を盗られたらしい。「ローガかラートリーの仕業だろう」と、くまさん(ゲイル)が言っていました。
……とても疲れた。長いよ。考えるのいやん♪……サーシャ……好き……♪
ミッション終了。これからどうなっていくの……かな?なんとかなる……かな?
登場人物
マクガイア (男)資産家の伯爵で、ベルギスの後援者
ベルギス (男)大商人。アンチ異種族組合”貴き血の会”の一員。 娘を使った、芸術の都“バーミオン”の有力貴族との政略結婚に失敗して、資金繰りに難儀している。
サーシャ(女) 薬草師。近くの集落に住む薬草売りの少女。ハーフエルフ。
レネ(女)マクガイア伯爵の探し人。エルフ
ローガ(男)異郷より来訪した刀剣士。独特の剣と戦法を使い、めちゃ強い 。妖刀持ち。
ラトリー(男)犬使いの傭兵。 獣使いの多い、アルビスタ群島出身の犬使い。