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ガイ・グレーム・クロイドンの黄金の五年間  作者: 水前寺鯉太郎


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よめる しるしと ちいさな いかり

4月 3日

  きょうも あおい くすりを のんだ。

 あたまの なかが しゃんとする。

 きのうまで ぼくの あたまの なかには まっしろな きりが かかっていた。

 でも きょうは その きりが すこしだけ うすくなって、 とおくの ほうまで みえる きがする。

パンやの かんばんを みた。

「ベーカリー・ギルバート」 と かいてある。

 いままで ただの 「もよう」 だと おもっていたけど、 きょうは それが 「じ」 だと わかった。

 ぼくは こえに だして よんでみた。

「べ、え、か、り、い……」

 ギルバートさんが おどろいて、 もっていた トングを おとした。

「ガイ、 おまえ、 じが よめるのか?」

「うん。 なんだか わかるんだ」

 ぼくが いうと、 ギルバートさんは すこし かなしそうな、 でも うれしそうな ふしぎな かおをして、 ぼくの かたを 大きな 手で たたいた。

おひるに、 また あの 三人の おにいさんたちが きた。

 彼らは いつものように ぼくを みて わらっていた。

「おい ガイ。 きょうは おつむの なかで お花が なんこ さいてるんだ?」

 ぼくは いつもなら 「いっぱい さいてるよ!」 といって わらうところだった。

 でも、 きょうは わらえなかった。

 彼らが いっている 「お花」 っていうのは、 きれいな 花のことじゃない。

 ぼくが 「なにも かんがえていない ばか」 だって いいたいんだ。

 それが きゅうに わかってしまった。

ぼくは 彼らの 目を じっと みた。

 すると おにいさんたちは 「なんだよ、 きもちわりいな」 といって わらうのを やめた。

 ぼくの 胸の なかが、 パンを やく オーブンみたいに あつくなった。

 これは たぶん、 「いかり」 っていう きもちだ。

 あたまが よくなると、 いやな きもちも たくさん わかるように なるんだ。

よる、 ギルバートさんに 本を かしてほしいと たのんだ。

 えほんじゃなくて、 もっと たくさん じが かいてある 本がいい。

 ぼくは もっと たくさんの 「じ」 を 知りたい。

 世界に なにが かいてあるのか、 ぜんぶ よめるように なりたい。

きょうは 「一」「二」「三」 という 漢字を おぼえた。

 あしたは もっと おぼえられるかな。

 おやすみなさい。

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