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第15話:魔王城で「全自動・ピッチ会議」! 勇者が戦う前に、魔王を子会社化して合併(M&A)する

「アルス、本気なの!? 魔王城にたった二人(と一台)で乗り込むなんて、自殺行為よ!」

リーゼロッテが、俺の腕を掴んで必死に止める。

だが、俺は銀色の相棒『GR-J76』 の荷台に、大量の「提案資料(ホログラム盤)」を積み込みながら、平然と答えた。

「リーゼ。戦うのはコストの無駄だ。魔王軍が人間を襲うのは、彼らのドメイン(領土)における資源不足と、組織のマネジメント不足が原因だ。……なら、俺たちの商会が彼らを『買収』してしまえばいい」

「ば、買収……っ!? 魔王軍を!?」

俺たちは、魔力通信網エーテル・ネット のワープゲートを使い、一瞬で禍々しい魔王城の玉座の間へと降り立った。

「何奴だ、人間め! ここをどこだと思っている!」

玉座に座る絶大な魔力を放つ魔王と、その周囲を固める幹部たちが一斉に武器を構える。

だが、俺は彼らが動くよりも早く、指を鳴らした。

「ズドドドド……!!」

相棒のGR-J76が、魔王の目の前で巨大なホログラムスクリーンを展開した。そこに映し出されたのは、魔王軍の**「直近300年の赤字決算書」と、「兵站(物流)の非効率性による損失グラフ」**だ。

「魔王陛下。単刀直入に言いましょう。貴殿の軍勢は、あと数ヶ月で組織崩壊します。略奪に頼った収益モデル(ビジネスモデル)は、もはや限界です。……そこで、我が商会による『合併(M&A)』の提案です」

「な……!? 決算書だと!? 貴様、なぜ我が軍の内部機密を……!」

「俺の全自動ドローン が、空から貴殿の領地の物流をすべて解析済みですので。……提案はこうです。魔王軍は今後、弊社の『全自動・魔物派遣ギグワーク』部門として再編。人間を襲う代わりに、その強大な力をインフラ建設や警備に従事させ、対価として安定した『エーテル・ペイ』 を支給します」

呆然とする魔王と幹部たち。

彼らはこれまで、勇者との命懸けの戦いしか知らなかった。だが、目の前の人間が提示しているのは、戦いよりも遥かに合理的で、かつ「儲かる」未来だった。

「これにサインすれば、貴殿は『魔王』から『弊社・魔界支社執行役員』に昇進です。福利厚生として、最高級の魔力サブスクが使い放題になります」

俺が差し出した電子契約書。

魔王は、俺のシステムが弾き出した「100%確実に利益が出る予測データ」 に完全に圧倒され、震える手でそのボタンをタップした。

その頃。

魔王を倒すべく、決死の覚悟で魔王城の門を叩き壊した勇者一行は、そこで信じられない光景を目にすることになる。

「な、なんだこれは……!? 魔王とあの追放術師が……笑顔で握手して『契約締結』の記念撮影をしている……!?」

勇者が剣を抜く暇もなく、世界から「戦争」という概念が全自動で消滅し、巨大な「ビジネス」へと統合された瞬間だった。

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