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体調がぶっ壊れたせいで確認作業無しで投稿してます。治り次第、細かい箇所を修正するかもしれません。

「ただいま〜。」


「お帰りなさい、アナタ。ご飯にする?お風呂にする?それとも」


「もう、それは良いって。…全部もらうから、準備してくれ。俺はまだ仕事が少し残ってるんだ。」


「うふふ、分かったわ。…それよりアナタ、今日寝室に変な手紙が置いてあったわ。」


「変な手紙?」


「ええ、赤い封筒に入ってて、裏側に帝旗?っぽいデザインのハンコが押してあったわ。今日の朝には無かったから、アナタが一度昼に帰ってきたのかと思ったけど、違うわよね?」


「何!?赤い封筒だと!?それは、陛下からの手紙だ!!どこにある!?直ぐに見せてくれ!!」


「はい、これよ。にしても、皇帝陛下も面倒な真似するのね。城で働いているアナタに態々手紙を出すなんて。」


 奪い取る様にして手紙を受け取ったその男は、急いで手紙のハンコを確認し、それが本物であることを確認した後、封を開けて中身を確認する。


「…間違いなく本物だ…中は……何だこれは…明日の正午に伝えたい事だと?何故態々手紙で…玉印までお使いになるとは…」


「ねぇ、そんな事より早くご飯食べましょ。今日は貴方の好きなハンバーグよ。」


「…そうだな、仕事は一旦明日にしよう。それに、ハンバーグが好きだったのは小学生の頃だと言ってるだろう?」


「あら、それじゃあ今は嫌いなのかしら?」


「そんな事はないが…まぁいい。」


 男はそう言って鞄に手紙を丁寧に入れ、ダイニングまで向かった。しかし、15年間城に勤め、若くして大臣になった彼ですら、その手紙に押された玉印が偽物である事には気付けなかった。



ーー次の日の正午ーー


「君も陛下からの手紙を受け取ったのか。手紙が自宅に届く事など、何年ぶりか。」


「そうですね、官僚試験の合格通知以来でしょうか。それにしても、見る所…軍部に関係する人以外の全ての大臣たちが集まっていますね。どこかの国と小競り合いでもあったのでしょうか。」


「さぁ、失踪した両殿下の事かもしれん。…おっ、陛下がいらっしゃったぞ。」


 その会場に集まった大臣たちの前に現れたのは皇帝だった。大臣たちが臣下の礼を取ると、皇帝が手を挙げて楽にせよと合図する。

 全員が皇帝に注目する中、皇帝が話し始める。


「皆、本日はよく集まってくれた。それぞれ忙しい中、皆の忠勤に感謝する。さて、早速だが今日集まってもらったのは余の意思ではない。これを見よ。」


 そう言って皇帝が懐から出したのは、大臣たちの家に置いてあった手紙だった。皇帝はそれを徐に開け、中を読み上げる。


「今日の正午、帝国城の玉座の間にて大切な話がある故、全ての大臣たちは定刻までに参上せよ。…とな。大臣である貴殿達であれば、この手紙が余のモノであると思ったであろう。しかし、この手紙は今朝、余の寝室に置いてあったモノである。無論、余はこんな手紙など全く知らぬ。貴殿たちの家にあった手紙についてもな。」


 それを聞いた大臣たちはざわめきだす。それでも皇帝は続ける。


「今朝確認したら玉印が使われた形跡も盗まれた形跡も無かった。専門家に確認させたら、これは誰かが筆を使って描いたモノである可能性が高いという結論が出た。……もう、分かるな?余が何を言いたいのか。」


 皇帝の言葉を理解した大臣たちは戦慄する。


「まさか………ユーファス殿下か!!」


「いや、ありえぬ!!玉印を筆で再現するなど!!それに、あの筆跡は間違いなく陛下の字だった!!」



「皆が疑うのも無理はないが、これは事実だ。そうでなければ、余が誰かに操られているとしか考えられぬ。…はぁ。昔、描いた絵を見せてもらった事があったが、あまりにも写真のようだったから、揶揄われていると思って無視した事があったが、あれは絵だったのだな……絵の才能まであるとは…」


 皇帝が溜息を吐く中、1人の男が部屋に飛び込んでくる。


「はぁはぁ…報告します!!帝都内で、玉印の押された謎の箱が大量に発見されました!!」


 息を切らした男に、1人の大臣が問いかける。


「謎の箱だと?中身は?」


「はい。全ての中には紙が一枚入っていたそうです。」


「…何が書かれていた?」


「……はい。『爆弾』と一言だけ小さく綴られていました。」


 そして、皇帝がその男に問いかける。


「その箱は、ここにいる大臣たちの家にあったのではないか?それと、この城にも。」


「は、はい!陛下の仰る通りでございます!!まだ、全てを回収できてはおりませんが、その殆どが大臣の皆様方の家の敷地内で見つかっております!!」


 それを聞いてその箱の意味を理解した大臣たちは戦慄する。つまりそれは、その箱に爆弾が入っていれば、殺せたという挑発に他ならない。


「バカな!!家の周囲は私服の護衛たちで固めてあった筈だ!!そんな箱を仕掛ける事など出来るはずがない!!」


 そんな中、1人の大臣が思い出したかのように声を上げる。


「いや、昨日息子が言っていた。雇っているメイドの挙動が少しだけおかしかったと…」


「まさか!一体何のために、そんな真似を!!」


 命の危機を感じた大臣たちが混乱する中、皇帝が話し出す。


「何のためにだと?決まっているだろう。いつでもお前たちを殺せるというヤツのメッセージだ。おいお前、城内の箱は何個あった?」


「…はい。現在発見されているモノだけで156個でございます。」


「なるほど、安物のプラスチック爆弾でも容易にこの城を破壊できるな。発破解体であれば、もっと少ない数でいけるな。……それと、今気付いたのだが、何故大将軍を始めとした軍部の奴等がいない?誰か知っている者はいるか?」


「………」


 混乱していたと言う事もあるが、その場にいる大臣たちは何も知らない様子で手を挙げなかった。


「ふむ……軍人たちだけ集めなかったのか……まさか!!」


 皇帝の嫌な予感は直ぐに的中した。再び部屋の扉が開き、もう1人の男が入ってきた。


「失礼します、陛下。至急、お耳に入れたい事が。」


「よい。この場で全員に話せ。」


「はっ!では、失礼して…『大将軍』ゼスヴァンを始めとした帝国軍に所属する軍人たちが反旗を翻しました。現在、東西南北からコチラ側に向かって前線を構え、開戦の準備に入っているとのことです。」


 混乱していた大臣たちは更に混乱の絶頂に落とされる。


「な、何を言っているのだ貴様!!軍部が裏切っただと!?そんな訳がないでは無いか!!」


「そうだ!どうしてこんなタイミングで!!」


「はっはっは!!」


 その瞬間、皇帝が大笑いした。


「へ、陛下?」


「まさか、軍部まで掌握しているとはな!!余の予想は当たっていたな!!やはりヤツを敵に回せば国が滅ぼされる!!我が息子ながら、とんでもない男よ!!はっはっは!!」


「へ、陛下!笑っている場合ではありません!!即座に軍を編成して…いや、軍ではなく陛下直属の近衛兵を動かすべきです!!帝国六傑を!!」


「そうです!!即座にユーファス殿下を討伐せねば、国が滅びます。今こそ、彼らの力を使う時です!!」


 帝国六傑とは、帝国に存在する6人の武人の事を指す。皇帝自らが選んだ一騎当千の実力者たちで、普段は普通に生活していたり、文官に紛れたりしていて、皇帝しかその存在を知らない。それでも、皇帝には大小様々な忠誠を誓っているモノたちで、皇帝の指示で仕事を請け負う。


「はぁー。ゴホン!すまなかったな、少し笑いすぎた。そうだな、いくら息子とて、ここまで余をコケにされたらヤツらを使わざるをえないな。それにユーフがこの展開を予測できない筈がない。おそらく、六傑との戦闘も想定内、それどころかヤル気マンマンと言ったところか。では、コチラもヤツと相性が良いのを仕向けるとするか…

ベフラとナユエを呼べ。2人にユーフの暗殺指示を出すぞ。」


 そう言って皇帝は、懐から豪華な携帯を取り出すと、とある場所に電話をかけた。




ーーとある学校ーー


「ここの公式は覚えるのでは無く、導出して…ん?……ああ…先生、ちょっと大事な用事が出来ました。今日は全員自習にしてください。それとナユくん、君は私と共に来てください。」


「……うん……」


 そう言って教室の隅にいた女は先生について行ってしまった。2人がいなくなった後の教室では彼女の話題で持ちきりだ。


「おいおい、ナユのヤツ何やらかしたんだろうな。」


「さぁ…アイツ美人だけど根暗だからな。実は裏でかなり遊んでるとか?」


「あの女、いっつも1人でいるけど、たまぁにこうやって呼び出されるよね。」


「うんうん、前もベフル先生に呼び出されてた。あの2人もしかしたら…」


「うわ、キモっ!!だとしたら、引くわー。」




「ナユエ、陛下からの勅命です。第一皇子殿下を暗殺せよと。」


「……分かった…ナユも…いや、私も頑張る。」


「おや?一人称を変えたのですか?」


「……クラスの子が…自分でナユって言うのはダサいって……私も…みんなと…」


「そうですか、ですが貴女がすべきはもっと話しかけたりする事だと思いますよ。顔は整っているのですから、適当な男に話しかければ一撃で落とせますよ。女子には逆効果でしょうが。」


「…男を……落とす……っ!!」


 ナユエは顔を真っ赤にして立ち止まってしまった。困り果てたベフラは大きなため息をついた。


「はぁ…そのすぐに上がる癖、直してくださいね。陛下を困らせたら承知しませんよ?帝国六傑としてね。」


 ナユエが正気に戻ると、2人はとある場所へ向かった。




ーー城内のとある部屋ーー


「クソッ!!クソォオ!!」


 豪華な席に座る男は苛立ちで机の上を思い切り叩く。その男、バチラス卿は先程の会議が終わり、自分の部屋に戻ってきていた。


「ハァハァ…クソッ!不味い!本当に不味い!!会場にいた大臣たち全員に手紙と箱が送り込まれていたが、私だけ何も無かった!!ここまでやるあの男がそんなミスをするワケがない!!これは脅迫だ…俺の口から今回の事件について語らねば、俺の命を奪うと宣言しているに違いない!!どうする!?」


「失礼しますわー。お兄様、声が外まで漏れていますわよ。お兄様ともあろうお方が、どうされたのですか?」


 そう言って無断で部屋に入ってきたのは、バチラス卿の妹にして、現皇后陛下であるシンファであった。しかし、恐怖で錯乱するバチラスの様子は変わらない。


「うるさい!!今、大事な事を考えているんだ!!俺の命に関わる事だ!!早急に両殿下を見つけねば、お前も殺されるぞ!!」


「落ち着いてください、お兄様。冷静さが俺の取り柄だと昔から仰っていたではありませんか。言葉遣いもめちゃくちゃですよ。どうか、この私にも話していただけませんか?」


 そう言うシンファの顔は、まさに何も考えていない様だった。バチラス卿がいつまでも呑気なシンファに対して大声を上げようとしたその瞬間、シンファの背後から聞き慣れた声が聞こえる。



「誰に殺されるというのですか、伯父上、母上。」


「あ、アナタは…」


「け、ケーリちゃん!!」


 なんと、シンファの背後に立っていたのは失踪していると思われたケーリオンだった。その顔を見た瞬間、シンファはケーリオンに抱きつく。


「ケーリちゃん!!無事だったのね!!ああ…私の可愛いケーリちゃん!!心配したのよ!!」


「…うん、ただいま母上。」


「はーい、おかえりなさい。うーん、チュッ!!」


 シンファはケーリオンの頬にキスする。しかし、その顔を正面から見ていたバチラス卿は気付く。その顔が以前のケーリオンとは違い、覚悟を決めた目をしている事に。


「け、ケーリオン殿下…何故、ここに?…ユーファス殿下は?」


「それは後だ、それより母上。一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」


「ん?なぁに?」


「……兄さん…兄上を殺す様に指示を出したのは、母上なの?」


 ケーリオンの真剣な表情は抱き合っているシンファには見えていない。


「ええ、そうよ。ぜーんぶケーリちゃんの為なんだからね。あの男さえ居なくなれば、ケーリちゃんが幸せになれるはずよ。だから、私がお兄様に頼んで…」


 しかし、その話を聞いていたケーリオンのその表情から何かの危険を感じたバチラス卿が咄嗟に声を上げる。


「い、いや!!ユーファス殿下を殺害したのは私だ!!妹は関係ない!!全てこの私の一存なんだ!!」


「何言ってるのよ、お兄様。元々は私が……え?」


「……ごめん、母上…僕が無能なせいで母上を助けられなかった…ごめん…」


 そう言って涙を流すケーリオンの手にはナイフが握られていた。そのナイフの切先はシンファの鳩尾を深く貫いており、背中まで貫通していた。シンファの赤いドレスは更に紅く染まり、地面に血が滴る。


「え?…嘘?……ゴフッ!!……け、ケーリ…ちゃん?な、何してるの?…なん…で……こんな…こと……」


「シンファ!!」


「…ごめん、母上…でも、これは僕がやらなくちゃ…立派な皇帝に…兄さんも認める皇帝にはなれないんだ……うぅ!!ごめん!!ごめんよ母さん!!僕、立派な皇帝になるから!!」


「け…けーり…ち…やん……わ…たし……ぁっ…」


 そう言ってシンファからナイフを抜いたケーリオンは、そのままシンファの首を刎ねた。


ボトッ!!


 シンファの首が無情にも地面に落ちる。後ろにいるバチラス卿はあまりの衝撃的な光景に身動きが取れなかった。それをやった張本人であるケーリオンは、落ちたシンファの首を丁寧に抱き上げる。そして、服が汚れる事など気にせずに、精一杯抱きしめた。


「母上…うぅっ!!……地獄でまた会おう……次は道を踏み外さない様に僕が導きますから…」


 ケーリオンはその場に膝をついて泣き崩れた。


「……坊ちゃん…貴方は御立派でございます……シンファ様の分まで、立派な皇帝になりましょう。うぅ……」


 いつの間にか背後にいたエルナがケーリオンの背中をさする。


「な、何をしているのですかケーリオン殿下!!皇后であり、実の母親である皇后を殺害するなど!!」


「伯父上…やはり貴方は知らないようですね。皇族の掟を。」


「掟?」


「ええ、皇太子であり次期皇帝となる皇族は、即位するまでにやらねばならない事が一つあるのです。それが、【二等親以内の家族を自らの手で殺害する事】。これをやらねば、何があっても帝国の皇帝になる事は出来ません。建国からの掟なのです。」



 帝国にはいくつかの掟があった。これもその内の一つ。自らの手で家族を殺害する経験をする事で、情に流されず冷酷な判断を下せる皇帝になる為に作られた掟であると言われている。この掟は皇太子にしか知らされておらず(ユーファスは過去の文献から気付いていた)、殺害された皇族は表向きには病死という扱いにされていた。この為に、ユーファスはケーリオンに敢えて一度殺されたワケであるが、それでは足りぬと覚悟を決めたケーリオンが、今回の件の責任を取らせるという意味も含めてこの殺害に打って出たのである。


「まさか、そんな掟が…二代前の皇后様が病死したと言うのは、まさか陛下が…」


 国の秘密を知って唖然とするバチラス卿に対して、泣き止んだケーリオンが話しかける。


「さて伯父上、次は貴方だ。僕についてきてもらおう。」


「……ハッ!!次は私を殺そうと言うのか!!そんな事はさせんぞ!!衛兵よ!!出てこ…グハッ!」


 バチラス卿が大声を上げる前にエルナが気絶させた。前のめりに倒れるバチラス卿をエルナが支える。


「気絶させました、坊ちゃん。では、参りましょうか。ユーファス様の元へ。」


「…うん。そうだね、エルナ婆。行こうか。」


 気絶したバチラス卿を抱えたエルナとケーリオンは、部屋を出てとある場所へ向かった。無惨に地面に転がる母親の遺体を背にしながら。

細かいツッコミどころは見逃して欲しいです…気付いてない訳じゃないんです(気付いてないのもある)

分かり易さを優先してます…

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