四殺目 宴会
鑑定をしたその日の夜、
道場「流拳技」では過去最大規模の宴会が開かれていた。
普段は健康に気を使っている弟子たちも、この日ばかりは浴びるように酒を飲み、腹が千切れるほど飯を食っている。
ある者は泣き叫び、ある者は大声で喜びを表し、またある者は悔しがりながら吐いていた。
なぜこんなにも盛り上がっているのか——
「この度、私アビト・ハーライドは、師匠のスキル『流拳殺技』を引き継ぎました!!」
「うおおおおぉぉぉぉぉッ!!」
「よくやったアビト!!」
「くそぉ、俺が引き継ぐつもりだったのにッ!!」
そう、俺が継いだのだ。
誰も継げなかった、師匠以外には発現できないと言われていた。
師匠・ガイト・ハーライドのスキル「流拳殺技」を。
——だからこそ、この日の宴会は狂気じみていた。
まず師匠が酔っ払った。泣き喚きながら酒瓶片手に暴れまわる。アースドラゴンよりも怖かった。
「良かった、本当に良かったぁ」と泣きながら、弟子の頭を酒瓶でかち割る。
弟子も弟子で、頭から大量に血を流しているのに「師匠が努力され続けたからですよ!!」と叫びながら抱きついていた。
——何だこの絵面は?
ババァはババァで兄弟子たちを襲っていた。
酔っ払ったフリをしているが、回復魔法使いは状態異常耐性が高い。
ましてや元トップクラスの回復魔法使いであるババァが、酔うはずがない。
つまりシラフだ。
酔ったフリをしたシラフババァがムキムキのマッチョを襲っているのだ。
……前から思っていたが、一番イカれてるのはこのババァではないか?
そしてその時の俺はというと——
「太ももぉぉぉ!! 太ももはどこだァ”ァ”ァ”ァ”!!
色白ムチムチ太ももお姉さんを連れて来い!!」
……めちゃくちゃ酔っていた。
数分後——泣きじゃくりながら、
「太ももぉぉ……太ももを……ひっぐ、ひっぐ……触りたいだけなんだよぉ……触らせろよ……揉ませろよ……ハムハム、ペロペロさせてくれよぉぉ」
さらに数分後——
「あー膝枕したい。うつ伏せで膝枕して……顔面で太ももを感じながら寝たい。できればそのまま死にたい」
また数分後——
「あ゛あ゛!? 太ももが一番エロいに決まってんだろッ!! 舐めたこと言ってんじゃねぇぞ!! ぶち殺すぞッ!!」
さらに数分後——
「いやぁ〜分かりますよ。脇もエロいですよねぇ。うん、うん、熟女もいいですよねぇ、エッチですもん。 でも一番はやっぱり太ももですよね!!」
そのまた数分後——
「だからぁぁ!! 一番は太ももだって何回言えば分かるんだ?! やんのか!? かかってこいよ!! お前ら全員このガーターベルトの錆にしてやるッ!!」
そしてさらに数分後——
「一番は満場一致で黒髪魔女ですよね〜。一番いい、一番可愛い。黒髪魔女以外ありえない!! だってみんな大好きだからッ!!」
そして最後は、
「黒髪魔女ッ!! 黒髪魔女ッ!! 黒髪魔女ッ!! 黒髪魔女ッ!!」
……こうして、「アビト流拳殺技引き継ぎ宴会」は幕を閉じた。
こんにちは、マクヒキです!!
やっぱり、太ももですよね(*´▽`*)