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二十一殺目 ごめんじゃん


これ試してみるか!!



奥から、全身の毛が金属光沢を放っている少し大きめの銅色オオカミが現れた。



「なにあれ〜、初めて見たー」





「ク゛ア゛ア゛アァァァァ!!!!」


銅の色をしたオオカミ、アイアン・ウルフが唸りを上げながら、アビトの体を鋭い爪で切り裂く。




だが、



「ワァウッ?!」


アイアン・ウルフの強靭な爪が、デニム生地のエプロンによって受け止められていた。




「おぉッ!! すっげ。傷が付くどころか、攻撃受け止めちゃったよ」




「アウッ?! アウッ?!」



このオオカミめちゃくちゃ動揺してるな


エプロンを爪でツンツンしてるもん





ずっとエプロンをツンツンして、疑問の表情を浮かべているオオカミ目掛け、拳を振る。




「ごめんね〜。君じゃこのエプロンには勝てないみたい」




―――ギャウッ!!






その後も襲ってくるモンスター相手に、胸を張って攻撃を受けるが何の異常もない。


さすが、Sランクの付与エンチャントエプロンだ


それに、全然汗かかない。嬉しすぎて泣きそうだ





目から汗を流しながら歩いていると、一際強い殺気を感じだ。





殺気を感じる方まで行ってみると



「ん? これどこだ?」



殺気の気配は感じるが、どこにあるか分からなくなった。



集中させて、殺気の出処を探る。




「これ……俺?」


俺から?




いや、違う!!




「下からだ!!」





あーなるほど。俺の真下にボスが居んのか。そいうことね。だから一際強いし、俺の位置から感じるのか



お? 待てよ? これ……ショートカット出来るのでは?







殺意を流し込み、地面を目掛けて拳を構える。



「ダンジョンだから結構硬いはず。だから……」




さらに殺意を


体力の半分くらいを流し込め


そして極限まで圧縮して、質を高めろ!!









―――そこからアビトは十分間ほど、目を瞑り全神経を集中させ、拳に殺意とエネルギーを流し込み、質を高めていた。




拳からは今まで以上の殺気、光、恐怖を纏っていた。











ニヤリと笑い、目を見開く。





「よっっしゃ、キタァァァァァァ!!」













「殴殺ッ!!」










─────ドッッッッガーーーーーーーーーン!!!!!!!






「アッハッハッハッハッ!! 本当に穴空けれたわ!!」


道場に居た時も、流石に地面破壊してショートカットするやつ居なかったからな〜



辺りをキョロキョロと見てみると、一階層、二階層とは違い、一つの大きなドームのような場所だった。






奥にはおそらく二階層と繋がっているであろう階段があった。








そして真ん中には腰を抜かし、ガクガク震え、股から液体を垂れ流している巨大なクマが居た。



「ハワッハワハワ」







あー、ダンジョンボスが腰抜かして失禁しちゃってるよ。ずっとハワハワ言ってるし……



クマに向かって歩み始めると、


一歩進む事に、


「ハウッ」




進む事に、


「ハウッ」




に、


「ハウウウウッ」




どうしよう、可哀想になってきた。


でも、こうなるのはしょうがないか


いきなり天井がぶっ壊せれて、そこからデニムエプロン着てる奴が来たら怖いもんね



ごめんね





腰を抜かしたクマが頑張って立とうとするが、足が震えすぎてて、全く立てていない。



これ以上、醜態を晒させないように、殺してあげよう



クマの正面まで歩いて行き、拳を振りかぶる




「殴殺」



―――ズドーーーンッ












「うっし。Dランクダンジョン『彷徨う獣』攻略成功ぉぉ!!」



ボスを倒し、魔石も回収し、飴玉用の壁を回収し終えたのでダンジョンを出てきた。


なんか可哀想なことしちゃったけど、まぁいっか!





「次は〜どこに〜行こっかな〜」



C級ダンジョンは何個かあるもんな〜


バレないように街から離れたところ……




地図の中から、近くに街や村がないダンジョンを探す。




「ここいいじゃん!! 周りになんもない!!」



ここから四十キロほど離れた場所にある








「『囁く霊廟ささやくれいびょう』に行こう!!」



そうと決まれば、そこに行くための準備をしよう!!













─────「シニィさん、ただいま!!」


必要な物はここで買うか、聞くかすれば大丈夫だろう



「え?! 少年?! 再会が早くないかい!?」



シニィさんが目をパチクリさせながら驚愕の表情を浮かべている。



うん。それはごめんなさい



「昨日、良い感じの別れ方したのに……なにしに来たの?」



「『囁く霊廟』に行こうと思ってて、その準備を。あと僕が魔石を売却すると怪しまれちゃうから、シニィさんにやってもらいたいなって!!」



「え〜あそこに行くの? もの好きだね。遠いし、薄気味悪いし人気ないじゃないか。それにちょっと寒いし」



「だから行くんですよ。エプロン着けた料理人がC級ダンジョンに居たら、騒がれるでしょ? だからさっきも、人気がない『彷徨う獣』に行ってきたんですよ」




「そういうことか、なるほどね。分かった必要な物は私が一緒に選んであげよう。それに魔石も任せな」



おぉ〜。頼もしいな



「君はマァリの息子なんだ。特別だよ」








―――その後、俺とシニィさんは買い出しに出かけた


「少年、馬は買ったかい?」


「僕馬乗れないんで、徒歩で行きます」


「徒歩?! すっごい脳筋だね……」







―――「シニィさん見て!! でっかいカニ!!」


「あんなの一日で食べれないだろ。すぐ腐るよ」







―――「少年!! 見て!! 新発売のチョコがいっぱいだ!!」


「チョコは溶けるでしょ」







―――「シニィさん!!」


―――「少年!!」


―――「シニィさん!!」


―――「少年!!」








―――数時間後


「これ……買いすぎでは?」



シニィさんが顔をポリポリと掻き、照れくさそうに言う。


「そ、そうだね。歳柄にもなく、はしゃいでしまった」



そういえばこの人、40代くらいか……確かに、はしゃぎすぎだな



パンパンに膨れ上がったバッグを見つめ、はぁ〜とため息をつく



これ持って四十キロはちょっとしんどいな






そんな事を考えていると、シニィさんが、


「あッ!! 忘れてた!!」


と言い、裏の方に行く。




また、エプロンみたいなやつ買わされるのかな?









裏から戻ってきたシニィさんの手には、銀色の四角いバッグがあった。



「少年、これは私からの餞別だ」



餞別?



「このエプロンが餞別だって言われてましたよね?」



そう言うとまた照れくさそうに、頬を掻きながら、



「確かに言ったけど。あの後、そういえば少年がお金出してちゃんと買ったやつだったって思い出しちゃって……」



あれ本当に忘れてただけだったの?! てっきりそういうボケだと思ってた……



「ありがとうございます!! ちなみにこれはなんですか?」





俺に問いに対して、シニィさんがフハッハッハと笑い、


「少年よ!! これは『拡張鞄マジック・バッグ』だ」



「え?! 拡張鞄っていっぱい物が入るやつ!?」


拡張鞄ってめちゃくちゃ貴重だよな? え、いいの!? 貰っていいの!? やったぁぁぁ!!






すると、シニィさんのフハッハッハッハが更に大きくなり、両手を腰に当て、仰け反りながら叫ぶ。



「驚くのは早いぞ、少年!! これは保存魔法も掛かっている、『保存鞄ストレージ・バッグ』だ!!」




「うえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?!!!!!!?」





え? なんで?! なんで?! 怖い! 逆に怖い!!





「売ったら数千万ゴールドはくだらないぞ!! アヒャヒャヒャヒャッ!! ウヘウウッッヘヘヘヘ!!」




この人泣きながら笑ってる……絶対渡したくなかったでしょ……




「い、いや!! 貰えないですよ!!」



断るが、シニィさんが穴という穴から液体を垂れ流しながら答える。



「いいんだ少年!! これは私からの気持ちだ。私は最近、冒険に出る数が減ったから使う機会が少ないんだ。だから私より少年が持っておく方が良い」





シニィさんが、涙と汗と鼻水で、ヌルッヌルにテッカテカになった顔で無理やり笑顔を作っている。



「それに、元々はマァリさんの物だ。少年が持っていた方が一番良い選択に決まってる!!」







―――俺はヌルテカさんとバイバイし、『囁く霊廟』に向かった。

こんにちは、マクヒキです!!

今更スターバックスにハマりました



反応していただけると嬉しいです!!

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