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十六殺目 新たな街へ


「アビト分かってるな?」


「はい、もちろん」



「一つ、サキュバスに出会ったら?」


「感謝を」



「一つ、サキュバスに変身してもらったら?」


「感謝を」



「一つ、サキュバスにシてもらったら」


「心からの感謝を」



ソミスさんが、ニカッと笑い親指を立てる。


「よし、完璧だ!! 行ってこい!!」



「はい、行ってきます!!」


ソミスさんたちに手を振り、スレイバスを出る。


ソミスさんたちは笑い、レナさんや人妻さんは苦笑いしながら見送りをしてくれた。



俺は、スレイバスの全男たちの思いを背負い、ルーシェ・ナイトウィルに一撃ぶち込むために旅を出た。



まぁそれは建前で、そう言った方が後腐れなく、惜しまれなく、旅に出れると思ったからだ。


殴るのは殴るけど。



とりあえず、俺は帝都を目指しながら色んな街をブラブラするつもりだ。



次は、プロワセって街に行こうかな〜


プロワセはここから南に少し行ったところにあるらしい。


近くにいくつかダンジョンがあるみたいだしなー


それに最近、危険なモンスターの報告が多くなってるって言ってたし。



「オークキング」とか、「サキュバス」とか、「人喰い」とか、「ゴーレム」とか、「サキュバス」とか、「引きずり牛」とか、「サキュバス」とか、「サキュバス」とか、



そんな危険なモンスターたちと戦うために行くのだ!!












────数時間後


「あーあ。またやっちゃったよ」



俺はまた道に迷っていた。



どうしよう、なんもないじゃん。どこを見てもひろ〜い草原しかない。学習してないじゃん!!


まぁ食料はいっぱい持ってきたからいいんだけど




スレイバスを出る際、沢山の食料や調理器具を持って出てきたのだ。そこはちゃんと学習した。



「とりあえず野宿かぁ。もう暗いし」




スレイバスで買った"コンロ"という魔道具をバッグから出す。

これは、火の魔法が付与されている物らしく、つまみを捻ると火が出てくるのだ。



カチッ、ジリジリジリジリ、ボッ!!



「うっわ、本当に火着いたよ。さすが五十万ゴールド」


しかもこのボディ。火に当てながら、フライパンを安定して置ける。さらに、火力調整もできる!!



素晴らしすぎる。興奮しちゃうなぁ



俺はフェンリル討伐に最も貢献したとして三百万ゴールドを貰って、すぐさま魔道具店でこれを購入した。



「グへへへへ、今日はムニエルだ」



ルーシェさんが報酬を受け取るのを断ってしまっため、俺に全額入ってきた。


総額五百万ゴールドだったが全額貰うのは気が引けたので、ソミスさんパーティー、コールデンスに百万ずつあげた。








────翌日


「お? あれ、村じゃね?」



朝からまた数時間頑張って歩いた甲斐があった。



見た目は〜うん。エコキャルみたいな感じだな。

スレイバスに比べたらちゃっちい。



「宿屋あるかな〜。ベッドで寝たいし、プロワセまでの道聞きたいし。行くか」





村の入り口には田畑が広がっており、じいちゃん、ばあちゃんたちが農作業をしていた。



「こんちわ〜」



手前で休憩していたじいちゃんに話しかける。



「おぉ〜、旅人かい。兄ちゃん若いなぁ、タニテン村へようこそ」



「料理人です!! ちなみにここって宿屋とかあります?」



じいちゃんが笑顔で答える。



「あぁ、あるよ。一階は村で採れた野菜を作った料理を出す食堂があるから食べてみるといい。村の真ん中の方だよ」



「ありがとうございます! 農作業頑張ってくださいね」



あのじいちゃんたち結構歳いってるのに良く頑張るな〜




じいちゃんに言われた通り村の真ん中に行くと、他の家より二回りほど大きな建物があった。



「これかな? こんちわ〜、ここって宿屋ですか?」



「はい、そうですよ!! いらっしゃいませッ!!」



おぉ〜これは、これは、素晴らしいな



そこには、茶色の髪の毛に緑色の目をした可愛らしい女の子二人がいた。


「ようこそ、野花亭へ!! 私はロナ、この子は妹のフィパ。よろしくね!」


「よ、よろしく、お願いします。」



ほぉ〜姉妹か素晴らしいな。同い年くらいだな



「こんにちは、料理人のアビト・ハーライドです!」



さっきから料理人と自己紹介しているが、Bランク冒険者と言うとまた騒ぎになりかねない。

なので、スレイバスでただの料理人アビト・ハーライドという身分証を作ってもらったのだ。


ちなみにこれは、人妻さんの提案だ。

五十万ゴールドもするコンロを持っているなら誰も疑わないからだそうだ。




しっかし、この二人めちゃくちゃ似てるな。肌はお姉さんが日焼けして色違うし、髪型もお姉さんがボーイッシュで、妹さんがロングだけど、顔立ちとか似すぎじゃない?


もしかして、




「もしかして、双子ですか?」



ロナさんが明るく答える。



「そうだよ!! よく似てるだろ? 性格は正反対だけどなッ!!」



すげぇぇぇ!! 本物だ!! 本物の美人双子だ!!

漫画でしか見た事ないぞ!? しかも、性格は正反対って.....まんま漫画じゃんッ!!



「お、お客様? なんで、ニチャニチャされてるん、ですか?」



やっべ。顔に出てた



「いえ、なんでもないですよ! 一泊できます?」



歪んだ顔を元に戻しながら聞く。



「はい! もちろんできますよ!! なんせお客さんはお兄さんしかいませんから!!」



なるほど、元気っ子お姉ちゃんとシャイ妹か。素晴らしすぎないか?




二階の部屋に案内され、荷物を置きベッドにダイブした。



「ほぁ〜疲れが取れる〜」


部屋はベッドと机が一つあるだけのザ・田舎の宿屋みたいな感じだ。

三千ゴールドだし、こんなもんか


そこから、数十分ベッドでゴロゴロした。





まだ昼過ぎだしなぁ、そこら辺散歩でもするか




家が二十件くらいしかないな。全部ちっちゃいし。



小一時間くらい辺りを散歩して気づいたことがある。



う〜ん、おかしぃ



ジジババ、女の子しかいないな



この村には若い男がいない。若いというか、ジジィ以外の男がいない。全部ジジィ。


どういうこと?


それに、子供もいない。女の子はいるにはいるが、全員俺と同い年か、少し上くらいだ。



しかも、何がおかしいって


女の子がみんな、とびきり可愛いのだ。



若くて可愛い子がアホみたいにいる。



何ここ凄い






村を散歩しているフリをして女の子たちを眺めてたら、もうすっかり暗くなっていた。



みんな薄着で、しかもショートパンツだったから凄かったなぁ〜 ここをこれからの拠点にしようかな?



なぜ、この村の男は年寄りしか居ないのかを、タルんだブラジャーを着けていたジジィに話を聞いたところ、近くで危険な魔物が出て子供が食い殺されたとのこと。



こっっっっわ



それにブチ切れた大人の男たちが魔物討伐に出て、相討ちという形で幕を閉じたらしい。



なぜ、可愛い子がいっぱい居るのかの質問に対しては、「エロいとは思うが、ムラムラも、おっきくもならん」と、わけのわからない回答が返ってきた。


それに、「みんな、持て余しとるらしいぞ」と、言われた。



どういう意味かは分からないが、とりあえず近くの川で体を洗ってきた。

至る所まで綺麗に、美しく、臭いを消してきた。




どういう意味かは分からないが。










腹が減ったので、野花亭で飯を食うことにした。


「お、お待たせ、しました。野菜炒めと野菜カレーです。」



「うっっっまそ!! てか、量多ッ!!」



俺の前には、尋常じゃない程の野菜炒めと、俺の顔二つ分程ある皿に大盛りに盛られたカレーが出てきた。



「もう少しでダメになっちゃう野菜が多かったからね! それにお客さんならいっぱい食べてくれるでしょッ!」



ロナさんがウィンクをし、微笑んでくる。


俺のこと好きなのでは?



フィパさんがお盆で顔を隠し、目だけを出してチラチラ見てくる。


俺のこと好きなのでは?




ここであるタルブラジジィの言葉が蘇る。


「持て余しとるらしいぞ」



ハッ!! これは確定演出なのでは?!



たくさん食べて、体力を今のうちにつけておけ!! と、いうことなのでは?!



なるほど……川に行って良かった





「いただきます!!」




俺は男らしく、ワイルドに飯を掻き込んだ。


二人はそんな俺の姿を見て



「わぁ〜」


「よっっしゃ!!」



と満面の笑みだ。



これ確定じゃん






飯を食べ終わった俺は胸を高鳴らせながらベッドで仰向け、待機状態になった。



「フンフフーン。初めてが三人か〜。こりゃあ兄弟子たちにいい手紙が送れそうだな」


────グラッ



「あれ?」



興奮冷めやらぬ思いを抱いている俺に、突然強烈な眠気が襲ってきた。



「ちょ、やばい、眠い。だめだ!! 寝たら全てが終わってしまう!! 起きろ!! 楽しみは、、、これ、から......」












────数十分後



「フガァー、フガァー、フガァー」





「よし、よし! めちゃくちゃ寝てるよ!」



「お姉ちゃん、声おっきい。起きたらどうするの?」



「大丈夫だよ〜たくさんの睡眠薬を料理に混ぜたし!!」



「それはそうだけど」



「それにあの人間、ブクブク太ってるから絶対うまいぞ! 脂肪のところとか最高だぞ!!」



「うん、そうだね。とても、美味しそう。野菜とか不味くて、私たち食べれないからね」



「エヘヘヘヘ。ヨダレが止まんないね!!」



「人間の肉は、生きたままに限るよね」









彼女たちは、異名「人喰い」Bランクの魔物、グールだったのだ。



グールは本能で、人間を襲い、人間の肉を喰らう。



さらに、自分が食べた人間の姿に変身する能力を持っている。

その姿を利用し、他の人間を騙してまた喰らうのだ。



一番厄介なのは姿だけではなく、食べた人間の記憶をそのまま引き継げるというところだ。








「じゃあ起きる前にさっさと食べちゃお!!」



「待ってよお姉ちゃん!! 先にお姉ちゃんが食べたら、止まらなくなって食べ尽くしちゃうじゃん!!」



「分かったよ〜。じゃあ、あんたから食べな」



そう言いながら、アビトが寝ている部屋の扉を開け、中に入る。



アビトが寝ている横に立ち、喰う準備をする。



「じゃあ食べるか!」



「もぉ〜お姉ちゃん!! まず"脱がなきゃ"ダメでしょ!?」



二人はそう言いながら、変身を解除する。















────そうしようとした時......


「ま、待って!!」







「え!?」


「な、なんで?!」



深く眠っていたはずの人間が突然起きた。



バレたからには、早く殺さなければならない。


そう思い、捌くために持ってきたナイフで刺し殺そうとした。




その瞬間、この人間は叫んだ。

















「あなたたちに食べられるんだったら、僕があなたたちを食べたいです!!」















は? 何を、言っているんだ? この人間?





信じられなかった。私たちの会話を聞いていたにも関わらず、反撃や逃げるでもなく、喰う?!



意味が分からなかった。









だがその時、ある考えが頭をよぎった。



ま、まさかッ!?







「もしかして、同族か?」



私の問いに対し、その男は一瞬ホゲェみたいな顔をしたが、すぐ笑顔になり、












「はい!! 同族です!!」



と、答えた。


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