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十四殺目 ドキドキ、スキル紹介

「ギィヤァァァァァァァァ!!」



「お、おい!! 街に戻って、騎士団呼んでこい!!」



「いや、人が運んでるぞ?!」



スレイバスの門の外では、騒然とした空気になっていた。



「ルーシェさん、重いんで代わってもらっていいですか?」



「それでも、男か? それに街にもう着く。黙って運べ」



フェンリルをスレイバスまで、ずっと担いでんだぞ?!


こいつ、俺が担いでるフェンリル見えてないのか?


明らかに一人の男の子が担いでいいデカさじゃないぞ?









────「ハァ、ハァ、……はぁ〜。しんどかった」


やっと門まで着いた。足腰が泣き叫んでる。


俺、体力無くなったって言ったよね? なんだ? ドSか?


ルーシェさんを睨みながら、痛んだ体を伸ばしていると、



「アビト!! フェンリルを倒したのか?!」


「良くやったぞ、アビト!!」


「お前を置いて逃げて、すまなかった!!」


門の中から、ソミスさんたちが大慌てで出てきた。



「アビト君、生きてて良かったぁ〜!!」



あ、ちょ、抱きつかないで、照れるから、というか照れてるから、思春期には刺激が強いから、



レナさんも泣きながら出迎えてくれた。

だが、これ以上抱きつかれると、理性とかが爆発しちゃうので、一旦レナさんを離す。




「ただいまです。色々話したいことはありますが、まずコールデンスの所に連れて行ってもらっていいですか?」



「分かった。着いてこい」



間に合うといいんだけど、、、、



「フェンリルはそのままでいい。ギルドに運ぶよう指示をしておいた。」



さっすがソミスさ〜ん







俺たちは門の中に入り、コールデンスがいる街の教会に向かった。


向かっている途中、俺たちに街の人たちは釘付けだった。


街の危機を救った英雄として。


そして、もう一つ、


「おい、なんだあのねーちゃん」


「キレ〜」


「あんな美人見た事ないぞ!?」



それは、フェンリルを倒した少年と一緒に街に帰ってきた、金髪の美しい魔法使い


まぁ、こんな人が歩いてたら誰だった釘付けになるわな



ふとの道端の方から、ガラの悪い奴らがコソコソと話しているのが聞こえた。


「ゲへへへへ、襲っちまうか?」


「あんな上玉、味見しない方がおかしいわ」


ルーシェさんを信じられないくらい、ドスケベな目つきで見ている。



辞めとけよ? 襲った瞬間死ぬぞ? お前ら気づいてないだろうけど、この人見た目が綺麗なだけの怪物だぞ? 俺お前らのためを思って言ってるんだからな?



まぁ声に出してはいないが。その時は自業自得だろう。



そんなことを考えているとレナさんが、口を俺の耳に近ずけ、話しかける。


「……ねぇ、ねぇ、アビト君」


「ハウッ!」


「え!? どうしたの? どこか痛めたの?」



ヤバい、耳がゾクゾクして、えっちな声出ちゃった


ハズカチィ



「イ、イエ。ナンデモナイデス」



「なんでカタコト? ま、いっか。」



再び俺の耳元に口を近づけ、



「あの綺麗な女の子って誰? 一緒に来てたけど?」



ハウッを必死に堪えながら、答える。



「ん〜〜、最強の助っ人です!!」








────教会へ着いた。


でっか


そこは石造りの大きな塔が三つ、くっついたような建物だった。


教会の扉を開け中に入ると、中は、鮮やかなガラスが沢山散りばめられたような壁、床をしていた。



俺たちが中へ進むと奥から、ハゲたおっさんが走ってきた。


「ソミスさん!! どこへ行かれてたんですか!?」



「タルバ神父、すまない。一人で戦っていた仲間が帰ってきたんだ」



このハゲ、神父なんだ。



「こんちはー、アビト・ハーライドって言います」


神父さんに手を振りながら挨拶をする。



「あなたが、流拳技様の……とりあえず、奥へ来られてください。」


神父さんの顔色が悪い。何かあったのかな?


歩きながら神父さんに質問をする。



「顔色悪いようですけど、大丈夫ですか?」



「す、すみません。回復魔法を使い過ぎて、魔力切れを起こしてしまいました。」



「ちなみに、クラキさんたちの容態は?」


俺がそう聞くと、神父さんの表情が暗くなる。


「まだ一命は取り留めていますが、私どもの力では、もう……」



「まだ生きてはいるんですよね?」



無言で頷きながら、到着した部屋の扉を開く。




そこには、ベッドで寝て、包帯をグルグル巻きにされ、シスターさんたちに回復魔法を掛けられているコールデンスがいた。



「容態は?」


神父さんが一人のシスターさんに聞くが、



「もうこれ以上は.....」


涙を流し、横に首を振りながら答える。


「そうか、」



「クソッ!! クラキたちはもうダメなのかよ!!」


ソミスさんたちが怒りと悲しみを顕にしている。

それほどコールデンスはソミスさんたちにとって、スレイバスにとって掛け替えの無い存在だったのだろう。



俺はルーシェさんを見つめ、


「できます?」


俺の問いに対し、鼻で笑いながら答える。


「ッフ。誰に聞いている。出来ないわけがないだろ」



「さっすがー」



俺たちの会話を聞いていたレナさんがルーシェさんにしがみつき、ユサユサと揺らす。


「あなた治せるんですか?! クラキさんたちを治せるんですか!?」



「だか、ら、なお、せると、言って、いるだろう」



「本当ですか!?」


神父さんが目を見開きながら、ルーシェさんに近寄る。



それに対しルーシェさんは神父さんを睨みつけながら答える。



「おい、禿げ。まさか私が誰か分からないのか? 禿げ、貴様本当に神父か? 殺すぞ」



うっわ辛辣すぎでしょ。可哀想なハゲ…

でも、神父でルーシェさんのこと知らないはハゲも悪いな



すると、神父さんがさらに目を見開き、震えながら、


「ま、ま、まさか、『聖光の魔女』ルーシェ・ナイトウィル様ですか?」


神父の予想外な発言にその場に居た全員が困惑を示す。


「え!? 『聖光の魔女』ってSSランクの?!」


「たしかに、金髪に美しい容姿をされていると聞いたことがあるが……」


「まさかこの人が!?」




みんなのざわめきをフル無視して、ルーシェさんはベッドに横たわるコールデンスの方へ向かう。



騒がれ慣れてんな、この人。てか、みんなすぐ信じたよね? 俺の時、尋問受けさせられて、死刑だったよね? 反応違くない?



そんなモヤモヤした考えをしていると、視界に光が入った。


ルーシェさんの魔法だ。



皆が、手をかざし、手のひらに光の魔力を集めているルーシェさんに釘付けになっていた。




俺の時もあーやって回復してくれたんだなぁ




ルーシェさんの光の魔力が輝きを増し、呟く。







『ホーリー・ライト』






────その瞬間


ルーシェさんが手をかざしたクラキさんだけではなく、他のメンバーも、俺たちも、部屋全体を温かな光に包まれた。














────


「本当にありがとうございました!!」


深々とルーシェさんに頭を下げていたのはコールデンスの人たちだった。



ルーシェさんの回復魔法で傷がすっかり治り、数分後には目を覚まし、もう動けるようになっていた。



そして、フェンリルを倒してもらったため人妻ギルマスさんが、騎士団が、その他もろもろのスレイバスのお偉いさんたちが頭を下げていた。



「礼ならこのガキに言え」


俺の方を指さしながら、


「このガキが私に交換条件として、貴様らを助けろと言ってきたんだ」


それを聞いたコールデンスが俺の方に目をやり、涙ぐみながら感謝してくる。


「アビト、本当に、あり、がとう!! 助けて、くれ、て」



ここカッコつけチャンスだよな?



「当たり前じゃないですか!! 一緒に戦った仲間なんですから!!」



あー、ワンワン泣き始めちゃったよ。おっさんのギャン泣きはちょっとしんどい……若干泣かせるつもりだったのに、、、




「おいガキこっちは終わったぞ。次は貴様の番だ。」


そんなクラキさんを気にすることもなく俺に話を振ってくる。


「分かりました。さすがに、ここでは言えないので、どこか二人っきりになれる場所に行きましょう。」











────そんなこんなで、俺の部屋



俺の部屋?!


なんでこうなった?! ルーシェさん俺のベッドに座ってるし。俺正座してるし。


ルーシェさんが足を組み替え、俺を見る。



「次は貴様の番だ。貴様と流拳技の『流拳殺技』の内容は?」



さすがに言わなきゃだよねぇ。てか、俺から言うって言ったし。



「『流拳殺技』は二つの事が可能になります」



ルーシェさんが黙ったまま俺の目をジッと見つめる。


「一つ目は殺意を操ることが出来ます。これにより、殺意を放ったり、殺意を出している生物や物の場所が感知できるようになります。」


ルーシェさんが目を開き、唸る。


「ほう、殺気を放つだけだと思っていたが、場所まで分かるのか。なぜ分かる、それに具体的にはどこまで?」



「殺意を自由に操る事が可能になったことで、他の人よりも、何十倍も殺意に敏感になったり、修行を重ねたことで、殺気が見えるようになります。なので、場所が分かります。

具体的には、僕は半径二百メートルまでなら正確な位置が分かります。師匠はもっと凄いと思います。」



「貴様で二百メートルか。それは凄いな。それで肝心の二つ目は?」



「自分の体力を、エネルギーを可視化出来ます」



「は?」


ルーシェさんが驚きの表情を隠せないでいる。


「だから、自分の体力が見えるようになるんです。残りがどのくらいとか、どこを流れてるのかとか。」



え、顔こわ。なんで? プルプルしてるのなんで?



「どういうことだ!! 体力の可視化だと?! 殺意を操る能力と体力の可視化で、どうやってお前らはあそこまでの攻撃力を出せる!?」



おー、乱れてらっしゃる。この人がここまで乱れるのは珍しいのではないのか? なんか可愛いな



「貴様も知ってるだろう!? 『流拳技』ガイト・ハーライドは、歴代最強の冒険者とも、最高火力とも言われてるんだぞ!! 一体どうやって!!」



胸ぐら掴まないでよ。あと顔近いから、さっきも言ったよね? 顔近いって。言ってないけど。


てかこの人、ちゃんと見ると信じられないくらい美人だよな? 目に焼き付けておこう


でも、この人の性格と秘めてる殺意が凄すぎて、あんまり照れないんだよなぁ



「落ち着いてください。ちゃんと説明しますから」



ルーシェさんの手を胸ぐらから離し、落ち着きながら答える。



「僕らは、殺意を操って、殺意とエネルギーを体内で混ぜるんです」



「ん゛ん゛。殺意と可視化させたエネルギーをか?」



落ち着きを取り戻したルーシェさんが咳払いをする。



「はい。混ぜて出来た殺意のエネルギーを操り、拳に流し込むんです。」



「なるほど。殺意の成分が混じっているから、エネルギーを操れるのか」



おー理解力凄いな。俺この説明受けても一切分からなかったぞ。



「そして、流し込んだエネルギーを拳に吸収させることで、普段よりも強いパンチが放てるって事です。」



顎に手を当て、ふむふむとした感じで聞いていらっしゃる。俺全部理解するのに2ヶ月くらいかかったんだけど?



「ということは、普段よりも多いエネルギーを使って、殴るからこそ攻撃力が上がる。つまり、体力を消費すればするほど攻撃力が上がるということか?」



「完璧です!!」



「なるほど、そういうスキルだったのか。身体強化系だと思っていた……」



この人なんでスキルにこんな興味あんだろ?



「おい、貴様の方が体力が多いのか?」



いつまで聞いてくるんだよ。さすがに遠慮しない?



「はい」



「ということは、貴様の方が流拳技より高い攻撃力を出せるということか?」



「いえ、師匠の方が上です。師匠のエネルギーは純度が高く、流す際も無駄がありません。

それに、極限までエネルギーを圧縮し、高質度なエネルギーを作っているので、少しの量で、高威力な攻撃を出せます。」



ルーシェさんがなるほどなるほどと言いながら、色んな事をメモに書いている。



メモは違くない? 記録に残すは違うじゃん。記憶に残してよ。



それからずっとふむふむ、なるほどなるほどと言いながらメモを取っていた。



「今回は想像以上に良い収穫ができた。感謝するぞ。アビト・ハーライド!!」



めちゃくちゃ笑顔じゃん。なんで……怖いよ



「その、なんでそこまでスキルに興味が?」


恐る恐る聞くと、笑顔が消え、真剣で悲しい表情になった。



「私はスキルを発現させたいんだ」



え、魔法使いって



そんな考えを察したのだろう。



「そうだ。スキルは魔法使いには発現しないのが普通だ。」



そうなのだ。普通は魔法使いにはスキルは発現しない。


普通は.....な。なるほど、そういうことか。



「SSSランクを目指してるんですね。あの二人みたいに」



「あぁそうだ。私はスキルさえ発現したら、あの二人よりも上を行く、SSSに行く自信がある。だから、スキルを発現させたいんだ。最強の魔法使いになるために」



あの二人とは……今のSSSランクの二人のことだ。


一人は、歴史上初めてスキルを発現させた魔法使いだ。その人は、師匠がSSSランクになった少し後に、SSSランクになった人で、何十年もの間、頂点に立ち続けている。


異名は、『大賢者』






そして、もう一人は…………





こんにちは、マクヒキです!!


反応していただいたら、ボラを自発的に捌くくらい、嬉しいので良ければお願いします!!

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