表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/53

六分の一

 細身の割にガッチリとした体格が身を包んだ上下紺色のスリーピース・スリムの上からも確認出来る。


 中々の高身長で、一見すると二十代後半の清涼感漂うサラリーマン風……。


 しかし、こちらも同じく、薄手の白い手袋。


「鶴太郎がお世話になりました。叔父の、鹿目(かなめ)和哉(かずや)です」


(いやいや、どうしたって御曹司と執事でしょ!)


 その出で立ちを見て、脳内に『黒の蝶ネクタイ』を補填せずにいられない。


 この時の洸平は、未だ妄想に(ふけ)る余裕があった。


「ご足労いただきまして。店長の守田です。どうぞお掛けください」


 (いざな)われるまま、和哉は鶴太郎の席の隣に着いた。


「こちらは、その……」


 切り出し難そうにしてる守田を見て、代わりに答える。


「京都府警の三木洸平です」


 成り行き次第で『お役御免』も考えられる……洸平は軽い挨拶で済ませた。


「警察の方? 既に通報されていたんですね」


「あ、いえ。私は偶々、居合わせただけです」


「そう、ですか……」


(同じく、両手のソレを外す気配はない……か)


 洸平の、その視線を感じた――和哉が、先に動いた。


「うちの男系は手掌(しゅしょう)多汗症(たかんしょう)の者が多くて、これは医師からの処方です」


 戦慄が走った。


(まさか! 視線を見抜かれた?)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ