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八分の三
(なんだソレ?)
手袋が目に留まった。
それも駅員がするような――防寒を目的としない――薄手の白い手袋。
収斂された集中力を思しき人物の声が拡散させる。
「逃がさないで!」
叫ばずとも、少年の方が離れやしない……。
次第に注目を集め出した現状も鑑みて、
(ここはひとつ聴取くらい済ませて、後は所轄に任せれば良いか)
くらいの腹づもり……の割に颯爽と、
「店長さんですか? 警察です。話を伺いますので案内お願いします」
高らかに身分証を掲げて正体を明かす。
「えぇ! ホントに?」
その驚嘆ぶりは少年を凌駕する!
(確かに……お呼びが掛かる前に警察が先回りしてたら、そんな表情にもなるか)
洸平は納得する他ない。
促されるままにバックヤードの控え室へ向かうも、その間ずっと渾身の力を込め左腕にしがみつく――少年A。
「まずは一旦、座って落ち着こう! 言い分は、ちゃんと両方に聞くから」
項垂れながらも渋々、少年は洸平の指示に従って向かいの席に着いた。