27/53
七分の二
「随分、ご活躍の様じゃない?」
「瑞稀さんにそう言われても、こっちが滅入るだけですよ」
「まぁ! 少し会わないうちに……『男子、三日会わざれば刮目して見よ』ね!」
「いや、園児が中学生に育ってるくらい会ってませんよ」
「そんなに? 正に『光陰矢の如し』だわ」
「……言葉遊びに興じたいようでしたら、姉を呼びますよ」
露子を持ち出せば、この女傑は儚い。
「ちょっとやめてよ。冗談じゃないわ」
ひと回り歳の離れた姉、露子とは高校時代の同級生。
二人は、互いを思うベクトルの違いが生んだ数奇な関係で結ばれている。
それまで自分より秀でた存在と出会わなかった瑞稀が、初めて後塵を排した相手が露子! 入学式で新入生総代を奪われて以来、青春全部を注ぎ込んで負け続けた宿敵……。
一方の露子にとって、瑞稀は懸命に背を追い続けてくれた稀有な存在……。家族以外で初めて、自分と同じ目線で向き合ってくれた唯一無二の親友!
二人は決して、交わらない。