【1分小説】好きな想い
翔也は「高校の頃に好きだった人」に似ている美咲と付き合っていた。
彼女との関係は順調で、ついに美咲の家に招かれることになった。
「翔也、うちに来てくれてありがとう。」と、美咲は照れくさそうに言った。
直後、一人の女性が現れた。
「お姉ちゃん、ただいま。」
翔也はその声に驚き、振り返った。
「まさか…」
そこにいたのは、翔也が高校の頃に好きだった、優奈だった。
「翔也?どうしてここに?」
「美咲と付き合ってるんだ。」
翔也は動揺していた。
その晩、三人は一緒に夕食を取り、昔話に花を咲かせた。
だが、翔也の心は揺れ動いていた。
「優奈、君は今まで何を……」
優奈は笑顔で答えた。
「私は海外に留学していたの。だから、ずっと会えなかった。」
翔也は悩んだ末に、美咲に秘密で優奈と付き合うことにした。
彼はそれぞれの魅力に、選べなかったのだ。
数週間後、美咲はある夜、翔也に尋ねた。「翔也、最近なんだか様子がおかしいよ。何かあったの?」
翔也は一瞬躊躇したが、「実は…」と告白しようとしたその時、優奈が部屋に入ってきた。
「翔也、あなたにも話があるの。」
翔也は二人の視線を受け、言葉を失った。すると、美咲が突然笑い出した。
「二人を選ぶのは、少し傲慢じゃない?」
翔也は驚愕し、「どういうこと?」と声を震わせた。
優奈は冷たい笑みを浮かべ、「私たちは悪魔が見せた幻想よ。人というものを試す為にね」と言った。
翔也は信じられない思いで、二人の女性の姿が徐々に消えていくのを見た。
しかし、翔也はふと気づいた。
「でも、思い出は、思い出だけは本物だ…!」その思いが胸に蘇り、彼は本物の二人を探す決意を固めた。
いつか、どちらかを選ぶ為に。
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