第52話 あたしは、違和感を覚える。
(side:健一郎)
「そろそろおうち帰ろうか」
栗栖が働いてる店で夕食を食べて話をしていると、姉がそう提案する。
「そうだな、明日も早いし」
俺は同意して、さっさと片付けをする。
席を立って、店を出るときにカウンターの方をちらっと見る。
見ると、栗栖はまだカウンターで仕事をしていた。
俺はその様子を一瞬見て、店を出る。
「……」
店から家に帰る車内で、俺は考える。
今日、意図せずとはいえ、姉と栗栖が働てる店に来たことに対して、何か言うべきなのか。
一瞬考えた俺は、思い至って何もしないことにする。
「そもそも、向こうは"俺"に一切興味ないんだから、メッセ送ったとて何も思わないし、そも見すらしないだろうよ」
そう思って、俺は出したスマホをしまう。
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(side:栗栖)
「おつかれさまでーす」
バイトの制服から着替えて、店を出る。
「健一郎から、何か来てないかな」
そんなことを思って、あたしはスマホの通知を見てみる。
でも、健一郎からのメッセや通話はなんにもない。
「健一郎なら、何かメッセ送ってくるんじゃないかって思ったけど」
いつもは、あたしがなんかメッセ送ったら、必ず返してくれる。
ときどき、なんでもないときでも、健一郎はメッセを送ってきたりする。
こんなとき、健一郎はメッセの一つくらい寄越すはず。
あたしは、何も通知がないということに、言葉にできない違和感を感じる。
「なんか、おかしい」
考えれば考えるほど、あたしはその違和感が大きくなっていく。
「この違和感の正体、知ってる。けど、これはあたしの推測に過ぎない。
でもたぶん、健一郎のことをもと知れば、おのずと答えは出ると思う。それまでは」
あたしはそう考え、家に帰る。




