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第33話 俺は、生徒会長との放課後デートに出発する。

(side:健一郎)



金曜日。



綾瀬先輩とのデートの日だ。



デートは放課後にすることになっていたが、そういえば綾瀬先輩は普段どうやって登校しているのかと疑問に思い、前日の昼休みに聞いてみた。





「綾瀬先輩」

「何かしら」

「ふと思ったんですけど、普段どうやって登校してるんですか?」



俺が登校手段について聞くと、綾瀬先輩は髪をファサッとなびかせて答える。



「車で送迎してもらってるわ」



綾瀬先輩の答えに、俺は困る。

俺はバイク通学だ。

綾瀬先輩が車で来てて、放課後デートをするとなると、バイクを学校に置いたまま行って、帰りは校門で下ろしてもらうことになる。

それって放課後デートと言えるのだろうか。

しかし一旦帰ってとなると、それはもう放課後デートではないだろう。

そう考えた俺は、綾瀬先輩に尋ねる。



「私、バイクで学校に来てるんですよ。

今日の放課後デート、行き帰りはどうしますか?

私はバイク、しかも免許取ってから1年経ってないから二人乗りできません。

綾瀬先輩は車で送迎ということだと、どうしても綾瀬先輩の思う放課後デートにはならないと思いますが」



俺の疑問に、綾瀬先輩はきりっとした顔で答える。



「そこは任せて頂戴。解決策はちゃんと用意してるわ。

明日の放課後、校門前で待ち合わせね」



綾瀬先輩はそう言って、いったいどうするつもりなのだろうか?

あのあと俺が話したためデートのことを知っており、隣で話を聞いていた栗栖も、疑問が晴れないという顔をしていた。

俺は、その策についてそのとき詳しく聞かなかった。





そして、放課後が来る。



「健一郎、また来週」

「ああ」



栗栖のあいさつに、そう返す。

さて、行きますか。



「そういえば、生徒会の集まりはいいんですか」



校門にいた綾瀬先輩に、前々から思っていた疑問を聞いたところ、次のような返答がきた。



「生徒会には優秀な副会長がいるのよ。私がいないときは、その子が全部何とかしてくれるから大丈夫。

私は準備があるから、先に行くわね。バイクを持ってきておいてね」



この返答を聞いて、まさか生徒会長は普段から副会長に仕事押し付けてるんじゃないか、と思ったがそれ以上は聞かなかった。

で、そう言って綾瀬先輩はどこかへと行ったので、とりあえず駐輪場に向かう。

バイクが盗まれてないことを確かめ、バイクを一旦置いたまま俺は校門に行く校門に行く。

校門に着くと車が1台、その前に止まっている。



「ん?これは」



そこに止まっていたのは、アメリカでよく見るフルサイズピックアップトラックだった。



「健一郎くん、来たわね。あら、バイクはどうしたの?」

「いや、本当にどうにかなるのか疑わしかったので、一旦置いてきました」

「あら、心外。でも、これを見てその疑惑は解消したでしょう。だから、早くバイクを持ってきて」



いや、確かにこの車なら、俺のバイク乗せるくらいなんてことはない。

だが、運転は誰がするんだ?



「綾瀬先輩、この車誰が運転するんですか?」

「何言ってるの?私がするに決まってるじゃない」



綾瀬先輩は、何を当たり前なことを、という顔で俺の疑問に答える。



「……は?綾瀬先輩、免許は?」

「運転免許のことかしら?春休みの終わりごろに取ったわよ」



綾瀬先輩が、俺に免許証を見せてくる。

見せてきた免許証は、確かに本物だ。

てか、綾瀬先輩は4月生まれなのか。



「健一郎くん、これで疑問は解決したでしょう。ほら、早くバイクをここに」

「え?あ、はい」



俺は綾瀬先輩に促され、駐輪場からバイクを持ってくる。

俺が校門までバイクを押してきたときには、すでにピックアップトラックの荷台のあおりが降りており、そこにラダーレールが2本かかっていた。



「健一郎くん、バイクを荷台に積むから、私に預けてもらえるかしら」

「え?いや自分でやります」

「いいから」



そう言うので、不安に思いつつ、綾瀬先輩にバイクを渡す。

大丈夫かなと思って見ていると、綾瀬先輩は苦も無く俺のバイクを荷台に積む。

しっかりとタイダウンでバイクを固定したのち、ラダーレールを積んだ後あおりを閉める。

あおりには、若葉マークがきちんと張り付けてある。



「さ、行きましょう。健一郎くんは助手席に乗ってね」



綾瀬先輩が運転席へと向かうので、俺も助手席に乗る。



「それじゃ、行きましょうか」

「はい」



綾瀬先輩はそう言ってエンジンをかけ、車を発進させた。

本当に大丈夫か?俺は一抹の不安を抱く。

しかしもう助手席に乗ってしまった以上、綾瀬先輩のことを信用するしかない。

そう思い、俺は綾瀬先輩の運転技術とマナーがどうなのかについて、考えることをやめることにした。

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