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第21話 俺のもとに、ギャルから通話がくる。

俺は家に帰り、自分の部屋で予習・復習をいつものようにする。

すると、スマホに通話がくる。

見ると、栗栖からだった。



「え、本当に通話かけてきた!?」



俺は、本当に栗栖から通話が来たことに驚く。

驚きつつも、通話に出た時のセリフを一瞬で思いついた後、栗栖からの電話に出る。



「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」

「えっ!?いやいやめっちゃ使われてるじゃん!ていうか通話だから電話番号じゃないし!」



栗栖からの通話にそう嘘をついたら、栗栖からそんな反応が返ってくる。



「よくわかったな」

「音声が本物と全然違うんだから、すぐわかるに決まってるでしょ!」



そんなことを言うってことは、栗栖は昔、存在しない電話番号にかけたことがあるってことだな?

いや、そんなことはどうでもいい。



「すまん、一度やってみたかった。反省はしてる」



栗栖を怒らせてしまったため、俺は素直に謝る。



「ふぅん。ちゃんと反省してる?」

「してる」

「本当かな?」

「してる」



栗栖に反省してるか何度も疑われたため、俺はちゃんと反省してることを伝える。



「そう。まぁいいや。あんたさ、今週土曜は予定空いてる?」



そんなやりとりが終わってすぐ、栗栖からそんなことを訊かれる。



「今週の土曜か?えっと、空いてるな」

「じゃぁさ、一緒に駅前あたりで、あたしと一緒に遊ぼうよ」



俺は栗栖から誘いに、答えることを一瞬ためらう。

だが、この誘いに乗って一緒に遊んで、それで幻滅してくれるならいいか。

そう思った俺は、栗栖の誘いにあえて乗ることにする。



「いいよ」

「本当?」

「ああ」

「本当に本当?」

「本当だ」



栗栖が、俺が誘いに乗ったことが信じられない、という感じで何度も確認してくる。

もしや、俺が誘いに乗ると全く思ってなかったってこと?

なるほど。



「そっか、よかった」



栗栖が、安堵したというような声を出す。

栗栖は、俺とそんなに一緒に遊びたいのか?

いや、そんなの考察するまでもない。



「じゃあ集合場所は駅前の噴水ね。時間はいつがいい?」



栗栖が俺に、集合時間について聞いてくる。

俺は別にいつでもいいと言う。どうせバイクで行くからな。



「栗栖の都合に合わせる」

「ふうん。そんなこと言うんだったら、じゃあ深夜の2時集合ね」

「いいぞ。その時間がいいなら、それに合わせて行くよ」



俺がそう答えると、栗栖はあからさまに動揺する。



「えっ、え?じょ、冗談だよ!」

「そうなのか?」



俺はバイクでしか外出しないから、終電も最終バスも関係ない。タクシーを捕まえる必要もない。

そこに何時に来いと言われれば、物理的に不可能でない限り起きていれば行く。

だから、栗栖の質問に対してそう回答したんだが。



「なら何時にする?」

「そ、そうだね……10時くらい?」

「わかった」



俺が改めて訊くと、栗栖はそう答える。




「じゃあ、土曜の朝10時に駅前の噴水ね。ちゃんと来てよ?」

「ああ」



俺は、栗栖とそうして一緒に遊ぶ約束をする。



「当日遅れないでよ?」

「そこは信用してくれ。俺は約束の時間に遅れたりはしない。じゃあな」

「うん、またね」



俺は、栗栖との通話を終える。

「家族」である姉を除いて、人生で初めて女、と遊ぶことになった。




このときの俺は知らなかった。

この約束が思わぬ火種を齎すことになることを。

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