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第14話 俺は、生徒会長に連れ去られる。

日曜日は何事もなく過ごし、月曜日の朝。

俺がいつも通り学校へ行こうとすると、台所から姉がこっちに向かって歩いてくる。



「はい、お弁当」



そう言って、姉が弁当が入ってるらしい袋を差し出してくる。

俺は黙ってその袋を受け取ってカバンにしまった後、姉に質問する。



「珍しいね。静が作ったの?」

「そう。確か、昼食は毎日お母さんが渡してるお金で買って食べてるでしょ?

でもわたし、前々から思ってたんだよね。

たぶん健くんはそのお金で、昼食は総菜パンばかり買って食べてるんだろうなって」



ぎくっ。

俺は昼に何を食べてるのかをなぜか当てられ、返答に困っていると、姉はさらに言葉を続ける。



「その反応だと図星のようだね。でね、今日はわたしが講義まで時間があるから、お弁当を作ったの」

「えっと、ありがとうわざわざ」



俺は姉に感謝の言葉を言いつつ、なんだか気を使わせてしまったようで申し訳ない気持ちになりながら言う。



「いいよ。気にしないで。これからは、時間あるときは作るね。

じゃあ、今日も事故したり事故に巻き込まれたりしないように、気を付けて帰ってきてね?」

「ああ、行ってくる」



俺は姉にそう言われて、送り出される。

今日も事故ることなく学校に到着し、通常通り授業を受ける。


そして時間は過ぎ、午前中の授業が終わり昼休憩。

一人で自分の机で、姉から渡された弁当を食べる。

ん、すごくおいしい。


弁当を食べ終わりスマホを出して調べものをしていると、突然教室が騒がしくなる。

俺は一切気にせずスマホで調べものをしていると、席の目の前に誰かが来る。



「あなた」



この声、聞いたことあるようなないような、いや聞いたことがあるわ。

全校集会で嫌というほど耳にしてるわ。

今まさにその時に聞こえる声が、俺の目の前から聞こえる。

声のする方向に顔を向けるとそこには生徒会長がいた。

一体、生徒会長はこの教室に何しに来たのか。

そして生徒会長が俺の目の前にいる理由は何なのか。

俺は生徒会長を見ながら考える。



「あなた、今から私と一緒に生徒会室に来て頂戴」



すると生徒会長は突然そう言って、いきなり俺の手首をつかんで、無理やり立ち上がらせる。

そしてそのまま俺の手を引っ張って、教室から連れ出す。


俺が生徒会長とともに教室を出た瞬間、教室の中にいた生徒の驚嘆の声が廊下まで漏れてくる。

しかし俺は、そんなことを気にしてる場合じゃない。

生徒会長が俺を拉致して、生徒会室に連れていく理由はなんだ?

生徒会室に呼ぶ理由があるとして、わざわざ生徒会長が直接俺の教室まで来る必要がどこにあるんだ?

生徒会長に連れられている間、必死に俺は頭をフル回転させて考えるが、いくら考えても俺が生徒会室に呼ばれる理由に覚えが……あるわ。

まさか先週金曜のことが、もう何らかのルートで生徒会の耳に入ったのか?

なら生徒会長直々に、というのも納得がいく。

だが、だとするとどこから情報が?あの時周りには誰もいなかったはずだ。

一体どこから……そして誰が?


俺はこれまでにない程本気で思考を巡らせる。

そんな中、生徒会長が俺を引き連れているところに、何人かの生徒がすれ違う。

そしてすれ違った生徒全員が、何事かと俺のほうを見ながら、噂をしていた。


だがそんなことはお構いなしと言うように、生徒会長は俺を連れていく。

そして結局最後まで理由がわからないいまま、俺は生徒会長に生徒会室へと引きずり込まれる。

生徒会長は俺を生徒会室に強引に引き入れた直後、俺の名前を尋ねてきた。



「あなた、名前は伊良湖健一郎くん、でいいのよね?」



生徒会長は、俺の名前を確認するような聞き方をする。

その聞き方に、俺は違和感を覚える。

正直に答えてはいけないという第六感に近いものからの警告を感じ、咄嗟に否定する。



「違います、人違いです」

「嘘言わないで頂戴。あなたのことは、"あの事故"に巻き込まれた生徒について調べたときに知ってるの」



っ!

なるほど。そういうことか。

生徒会長が俺の名前を知ってる理由はわかった。

だが、俺をここに連れてきた理由はまだ不明だ。



「生徒会長、私の名前を知ってるのはわかりました。それで、私をここに呼んだ、もとい力ずくで招き入れた理由は何ですか?」



俺は、生徒会長が俺をここに拉致した理由を、ストレートに生徒会長に聞く。



「理由は単純、あなたに話があるからよ」



俺の質問に答えながら、生徒会長は生徒会室のドアに鍵をかける。



「え?生徒会長、なぜドアの鍵をかけたんですか?鍵をかける必要はどこに?」



俺は、生徒会長に鍵をかけた理由を問い質す。

しかし生徒会長は、俺の質問を無視し俺に向かって歩み寄ってくる。



「生徒会長、一体何をするつもりですか?」



生徒会長が何もしゃべらずに近寄ってくるので、それに合わせて後ろに下がっていく。

そして俺は、気づくと生徒会室の角に追いやられてしまう。

しまった、と思った矢先、生徒会長は俺に質問をしてくる。



「伊良湖健一郎くん。あなたは恋というものを、したことはあるかしら?」



突然出された生徒会長からの質問に、俺は驚きながらも正直に答える。



「したことありません。

それに生憎、俺にはそんなことをする余裕は、今も昔もこれからもありません」

「そう。ということは好きな人はいないってこと?」

「いません」

「許嫁はいるの?」

「いません」



生徒会長が矢継ぎ早に、俺に対して恋愛に関する質問をしてくる。

俺の質問を無視しておいて、一方的に何の意味があってそんな質問をするんだと思っていると



ドン!



突然生徒会長が両手を使って、俺に壁ドンをしてきた。

そしてその状態で、生徒会長は突然、俺にこんなことを言ってきた。



























「あなた、今から私の恋人になりなさい。そして18歳になったら、私と結婚しなさい」

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