第12話 俺は姉と、休憩する。
姉の運転するバイクに乗って一時間。
今、俺と姉は、高速道路に乗ってどこぞへと向かっている。
一体、姉はどこに行くつもりなんだ。
姉が行こうとしているところがどこなのか考えていると、サービスエリア入り口の案内表示のところでウィンカーを点滅させて、サービスエリアへと進路を変える。
サービスエリアの二輪車駐車スペースにバイクを止め、姉がエンジンを切って降りるように言うので降りる。
姉もサイドスタンドを立てた後、ハンドルロックをして降りる。
ヘルメットとグローブを脱いでバイクの上に置くと姉が俺の行先を訊いてくる。
「休憩しよう。わたし、お花摘みに行くけど健くんは?」
俺もトイレに行きたかったので同じ、と言う。
すると姉がトイレの前を指さす。
「じゃあ、お互いに済んだら、あそこに集合ね」
俺はわかったと言って、トイレに向かう。
用を済ませて待ち合わせ場所に行くと、まだ姉はいなかった。
しばらくして、姉も来た。
「ごめんね。待った?」
「いや」
姉の確認に俺が返すと、姉はほっとした顔をする。
「よかった。じゃぁ、はい」
姉が俺に、左手を差し出してくる。
俺はその差し出された手が何を示しているのかわからず、考えこむ。
すると姉は、俺の右手を無理やり左手でつかむ。
更に姉は、そこから指を絡めてくる。
これは、いわゆる恋人つなぎってやつでは?
そう気づいた俺は、急いで姉の手を振りほどこうとするが、姉は強く手を握って離さないようにしてくる。
「離しちゃダメ」
姉が俺のほうを向いて、嫌がるそぶりをする。
その様子を見て、俺は手を離そうとするのをやめた。
「ん。じゃぁせっかくだし、ちょっと中見ていこうよ」
姉が売店のほうに行こうというので、俺はその後についていく。
もっとも、手を恋人つなぎでつながれてるから、姉の行く方向にしか行けないではあるが。
「うーん」
姉がすごく悩みながら、サービスエリアの中を歩く。
結局端まで行ったところで、姉が踵を返す。
「良さそうなのがありそうな気がしたんだけど、気のせいだったみたい。連れまわしてごめんね。行こうか」
「いや気にしなくていい。行こうか」
姉が俺の手を引き、バイクに戻る。
俺は結局最後まで、姉に恋人つなぎで連れられた。
そして俺と姉は再びバイクに乗り高速道路を走る。
そういえば忘れていたが、目的地は一体どこなんだろうか?




