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マリオン王国

 リアがイアンのところにおかしな魔物の報告に行くと、イアンは話を聞いて目を見開いた。

「丁度ドラゴニア聖国から相談を受けていた所だ。何でもドラゴニア聖国の同盟国であるマリオン王国が最近異常な魔物の被害に悩まされているらしい。我が国とも同盟を結んで協力体制を築きたいと懇願されている」

 イアンは内容によっては愛し子に出動要請が出るだろうと言った。

「しかしわが国でも同様の被害があるとわかれば、原因究明の為に動かねばならないだろう。マリオン王国とは向こうの言う通り協力体制を築くことになるだろうな。国としては愛し子はともかく『通訳者』であるリルをあまり国外に出したくは無いのだが……」

 話を聞いたリアは、ならリルにはハルキの開発した映像通信機を使ってリルに遠隔で神獣達の声を聞いてもらうのはどうかと提案した。

 電話慣れしていないイアン達にその発想は無かったのだろう。イアンはそれならリルの安全を守れると兄であるリヴィアンに鳥を飛ばした。そして早急におかしな魔物の事を調べる為、国で支援している研究者へ連絡をとってくれた。

 

 リアはノート片手に前庭に戻ると、魔物について神獣が感じたこと、倒した時の様子などを聞き取りした。研究者に渡すためだ。

 聞き取りをしていると、ドラゴンのシドーがやって来た。シドーは学園祭の一件以来、頻繁に拠点に現れるようになった。来ない日は各森の見回りに力を貸してくれているらしい。

「シドーさん!森に異変はありませんか?」

 リルがシドーに森がおかしくないか聞いてみる。シドーは小さくなると、ポテポテとリルの元に歩いていった。

『何かあったのか?森は特に問題ないと思うが』

 リルは起こったことを説明する。リルに抱っこされて話を聞いていたシドーはポンと自分の手を叩いた。

『そう言えば、やたらと凶暴な魔物を見つけたな。すぐに倒してしまったが、内臓から異臭がするので燃やしてしまった』

 見つけた場所は元レイズ王国内の森だという。神獣が移住するまでの間は人間達の手だけで魔物を狩らねばならない。それは負担だろうとシドーが定期的に協力してくれているのだ。

 

 リアがマリオン王国で深刻な被害が出ているらしいから、協力しなければならないかもしれないと説明すると、シドーはその時はマリオン王国まで送ってくれると約束してくれた。

 シドーも話を聞いてただ事ではないと思ったようだ。

 実はマリオン王国は一番近いドラゴニア聖国くらいしか船で移動できない島国だ。船だと数日かかってしまうので送って貰えるなら楽でいい。

 

『僕らもあの臭いのを探したらいいのかな?』

 リル達の足元で話を聞いていた神獣達は、シドーに倣って協力してくれる気になったらしい。

「そうだね。臭いのを見つけたらここに持ってきてくれる?口に入れないように気をつけてね、運べそうになかったら私達に場所を教えて」

『わかった、任せて!』

 小さい子達は森に駆けて行った。宝探し気分なのかもしれない。

 後でご褒美のおやつをあげようと、リルは笑った。

 

 結果森から複数の凶暴化した魔物が発見された。

 そう多い数では無いが、あの一匹だけがおかしい訳では無かったのだ。リアはイアンに報告して、ほかの森の神獣達にも同じような魔物が居ないか探してもらうことにした。すると不思議なことに、元レイズ王国側の森でしか、その魔物は発見できなかった。

 

 

 

 そして数日後、ウィルス王国はマリオン王国と同盟を結んだらしい。事件の謎解明の為に愛し子が一人マリオン王国に派遣されることになった。派遣されるのはアナスタシアだ。ハルキは魔道具を作れるので国から出したくない、リルは『通訳者』だから不用意に国から出せない。リアはリルと離れたがらない。そんな理由でアナスタシアに決まった。

 しかしアナスタシアは楽しそうだ。仕事とはいえ国外旅行が出来るのだ。前向きなアナスタシアはそれが嬉しかった。

 アナスタシアを心配したリルは、ジャスティンに一緒に行ってあげて欲しいと懇願した。キンバリーという優秀な護衛が増えたため、ジャスティンはそれを了承した。

 

 シドーもアナスタシアと一緒に行動してくれるという。そうなると空中に文字を書いてコミニュケーションを取れるので、リルと通信する必要は無くなるのだが、リルとリアも異国の景色を見たいだろうと映像通信機は持っていくことになった。

 マリオン王国にはどんな神獣がいるのだろう。アナスタシアは楽しみでしょうがなかった。

  

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