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バーベキューパーティー2

 積み上がった獲物の山を見た皆は絶句していた。

 ミレナがのほほんと、少し貰っていっちゃダメかしらと言っている。もちろんとリルは好きなものを持って行ってと言った。

「よかったわ、保存がきくようにして孤児院に寄付したら喜ばれるのよ」

 ミレナの言葉にリル達も一緒に保存食作りを手伝うと約束した。

 

 騎士達はとりあえず血抜きして皮を剥ごうと大忙しだ。

 ハルキとリヴィアンとエルヴィスは獣の解体はやった事が無いらしく興味深そうに見学している。そう言えば彼らは元貴族と王族だった。

 リアも解体に参加し出したのを見てエルヴィスがハラハラしている。ハルキはリアとジャスティンに解体の仕方を色々聞いて手伝っていた。ハルキは実に楽しそうであった。

 リルとアナスタシアは解体させたお肉を切ってゆくことにした。

 リヴィアンが興味を持ってこちらに参加し出した。何でも一度料理というものをしてみたかったらしい。切る時は必ず猫の手ですよと、リルが両手の拳を握って見せたら、腹を抱えて笑われてしまった。リルは顔を赤くする。ごめんと謝られたので許してあげることにした。

 

 剣を使えるからか、リヴィアンは包丁の扱いも危なげなく、綺麗に肉を薄切りにしてくれた。解体を一通り終わらせたリアとエルヴィスとハルキもこちらに加わってくれた。

「大きい神獣達は厚切りステーキとかでもいいんじゃない?」

 ハルキはそう言って牛肉に似た見た目の肉を厚切りにしてゆく。確かに大きな神獣はそちらの方が食べごたえがあって好きだろう。

「薄切りにした方は半分タレに漬け込んでおくね、締めに漬け込み肉で焼きそば作ろう」

 リアが中華麺モドキを作り始めた。転生組は大喜びだ。焼きそばが何かわからないエルヴィスはリアの手元を見て不思議そうにしている。でもきっと美味しいものなのだろうと、肉を切るのを手伝っていた。

 普段調理場への出入りが禁止されている神獣達は調理工程を不思議そうに見ていた。暖かいからか焼き台の下でくつろいでいる子もいる。

 

 一通り準備が出来たので早速バーベキューパーティーを始めることになった。

 まずは大きな神獣達のために、ハルキがステーキを焼いた。表面を炙るように高温で焼いてソースをかけたステーキは美味しそうである。リル達は野菜を焼き始める、お肉は各自好きなものをとって自分で焼く方式にした。リル達は自分達も食べながら小さな雑食の子達のために肉を焼いてソースをかけた。野菜が焼けると草食の子達にソースをかけてあげた。みんな楽しそうに食べている。

 リアはたぬたぬのために山盛りの肉を焼いていた。多すぎるとアナスタシアが止めている。

 

 リルはマロンにお肉をあげると、マロンは言った。

「バーベキューは楽しいね。みんなで騒ぎながら食べるのは格別だ」

 リルはマロンと笑いあった。同じ気持ちだったからだ。

 琥珀はステーキを気に入ったらしく夢中で食べている。

「お肉にソースだけなのに何でこんなに美味しいのかしら、不思議だわ」

 炭火で焼いたから美味しいのだと言うと、火にも種類があるのねと感心していた。

 ハルキがステーキ屋さんと化していたので、リルはお肉を焼いて持って行ってやる。

「おお、ありがと!焼いても焼いても足りなくなるから大変だよ」

 リルは一旦ハルキと交代してステーキを焼く。リアも手伝ってくれた。大きい子達は沢山食べるから大変だ。見かねた騎士達も手伝ってくれる。暫くするとハルキが塩をまぶした鶏肉のお腹に野菜を詰めて小さな鉄の鍋で焼き出した。

 蓋は絶対に取ってはダメらしい。何ができるんだろう。リルは楽しみだった。

 

 神獣達のお腹もいっぱいになった頃。リアが締めの焼きそばの準備に取り掛かっていた。ハルキも放置していた鉄鍋の蓋を開けた。鍋の中には野菜からしみでた汁に浸かった美味しそうな鶏肉があった。ハルキは中に入っていた肉と野菜を解体してみんなに配る。野菜の味が染み込んだ鶏肉は優しい味がして美味しかった。

「そのスープ少し貰っていいですか?」

 リアがハルキの作った無水調理の鶏肉のスープを指して言う。リアは鉄板で肉と野菜を焼くと、麺を入れてさらにスープをかける。そんなの美味しいに決まっている。みんなで歓声を上げながら、焼きそばが出来上がるの待った。

 出来上がった焼きそばは絶品だった。神獣達のためにもさらに大量に作ったが、この美味しさは神獣達も絶賛していた。ドラゴンは特に気に入ったらしくリルの膝の上で美味しそうに食べている。たぬたぬが追加で調理するリアの足元を歩き回って催促していた。琥珀とアナスタシアが食べ過ぎだと叱るとトボトボとリルの横まで歩いてきた。

 リルはきっと後でリアが分けてあげるんだろうなと思いつつ、たぬたぬを慰めるように撫でた。

 

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