番外編 sideタッキー
アナスタシアは好ましい気性の持ち主だと思う。
自身は足が不自由なのに、常に神獣達の健康に気を使い、全ての神獣達に平等に接する。
その姿勢には頭の下がる思いだ。
アナスタシアは自分だけパートナーが居ないと嘆いている。
彼女のパートナーになりたいものは多いと思うのだが、如何せん本人が神獣達に平等に接するよう心がけているのだ。
神獣達のアピールを無意識の内にスルーしているように見える。
私は彼女を不憫に思った。
私が立候補したら彼女はどう思うだろうか、私は他の愛し子のパートナーのように可愛くはない。
鷹だからな。可愛いと言われることはほとんど無いと言っていい。
まだ若いアナスタシアのパートナーには小鳥のように愛らしい子が似合うと思う。
とりあえず私はアナスタシアの傍に居続けることにした。
邪魔にならない位置に陣取り、さりげなくアナスタシアをサポートする。
彼女の仕事ぶりを見ている内に上手なサポートの仕方が分かってきた。
彼女はサポートする度私を褒める。
うん、やはり好ましいと思う。
そのまま二月ほど経過したが、彼女はまだパートナーが居ないと嘆いている。
リル達がチラチラ私を見るのがなんだか居た堪れない。
しょうがない、私はリルに通訳を頼んだ。
『私は可愛らしくはないが、それでもいいなら私がパートナーになってやろう』
そう言うとアナスタシアは驚いた後に笑った。
「本当に!?本当にパートナーになってくれるの!嬉しい!」
アナスタシアは心から喜んでいるようだった。私は安心した。
パートナーとなるのなら誠心誠意彼女に尽くそう。それがほかの神獣たちの為でもある。
「名前はタッキーね!」
少々安直ではないだろうか。まあ、たぬたぬよりはマシだが……
アナスタシアはしっかりしているが、どこか抜けていてどうにも放っておけない所がある。
私がしっかり支えてやらねば。
アナスタシアは私が腕に止まれるようにグローブを付けてくれた。片手で杖を持ち、もう片方の手にグローブを付けては生活しづらいだろうに、私はせめてなるべく負担にならないよう飛び続けることにした。
私がグローブに止まるのはアナスタシアが座っている時だ。私が止まるとアナスタシアは嬉しそうにする。
やはり彼女は好ましい。
私は彼女のパートナーとしてこれからも支えていきたいと思う。
本編中に名前しか出せなかったタッキーさん視点です。




