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番外編 エクス王国のドラゴンさん

『息災か、リジェネ』

 ウィルス王国のドラゴン――ウィルスから与えられた名前をシドーという――はエクス王国のドラゴンのところに来ていた。

 リジェネと呼ばれたドラゴンは不快を露わにしている。

『私に構わないでと言っているでしょう。今度はなんで来たのよ』

 しっぽをビタンビタンと床に叩きつけながら不愉快そうだ。

『いや、お前の気が変わらんかと思ってな、いつまで人間から逃げ続ける気だ』

 哀れみの目でリジェネを見るシドーの様子はリジェネの怒りを煽った。

『もう人間なんて懲り懲りよ、どうせすぐ死んじゃうんだから、関わりたくないわ』

 

 シドーはリジェネの言うこともわかる。何千年と生きるドラゴンからしたら人間の寿命はあまりに短い、親しくなればなるほど別れは辛くなる。

 シドーだって何度喪失の痛みを感じたか知れない。

 リジェネはそれに耐えられなかったのだ。だから人間を避けている。人間どころか小さな神獣との交流も避けているのだ。

 リジェネは初めて名前を貰った人間を失ってからずっとこうだった。

 

 シドーは別に無理強いするつもりは無い、しかしこのままではいけないとも思っていた。

 だからこうして頻繁にリジェネの元へ顔を出している。

 そうしないとリジェネは誰とも話すことなく何百年と一人でいるだろう。

 

 シドーは人間たちとの話をリジェネに聞かせてやる。特に最近は面白いことが沢山あった。話をする度リジェネもおかしそうにしているのを気づいていた。

 結局はリジェネも人間が好きなのだ。

 好きだからこそ失うことが怖い。リジェネは繊細だった。

 いっそここにリル達を連れてきたら、リジェネの気持ちも変わらないだろうか。

 

 シドーはこの心優しい友が、再び人間と関われるようになる事を祈っていた。

本編でこのエピソードを入れたいと思っていたのですが無理だったので、番外編として少しだけ。

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