番外編 sideたぬたぬ
リアは僕が大好きな女の子だ。いつも美味しいものをくれて、抱っこしてくれる。リアは凄いんだ。誰より賢いし格好良い。僕はそんなリアを守るために頑張るんだ。
そんな僕に強力なライバルが出現した。それはリアが街に買い物に行って帰ってきた時のことだった。
リアは大きな荷物を抱えていた。
上機嫌でそれをソファの上に置く。それは肌触りの良さそうなクッションだった。リルとお揃いで買ったのだそうだ。
リアはあろうことかそれを抱きしめてくつろぎ始めたのだ。
リアの膝の上は僕の場所だ!おのれクッション許さないぞ!
僕はソファの上に飛び乗ろうとした。華麗なジャンプを決めてやる。
と、思ったけど僕は体が重くて飛べなかった。ソファに顔をぶつけてしまった。
「たぬたぬ?どうしたの?ソファに乗りたいの?」
リアが涙目の僕に気づいてソファに持ち上げてくれた。
しかしソファに上がれたのはいいが、リアはまだクッションを離さない。
くっ、どうすればいいんだ!このままではクッションにリアを取られてしまう。
僕はリアの横で渾身のカワイイポーズをキメた。リアは本に夢中で気づいてくれない。
どうすればリアに振り向いてもらえるだろう。僕は必死にリアの名前を呼んだ。
「さっきからどうしたの?たぬたぬ」
リアがこっちを向いた今がチャンスだ!くらえ、カワイイポーズ!
カワイイポーズをキメた瞬間、リアが吹き出した。肩をふるわせ笑いながら噎せている。
なぜだ、解せない。
「遊んで欲しいの?」
ようやく笑いが止まったリアにそう聞かれる。
違う、僕はクッションに勝ちたいだけだ。
僕はクッションを咥えてベッドの下に運び込む。
「たぬたぬ?イタズラはダメだよ」
イタズラじゃない僕は真剣なんだ!
リアは困ったように笑って僕を抱き上げる。
「本当にどうしたの?リルに聞きに行く?」
僕は首を横に振った。今は抱きしめたままでいて欲しかった。
リアはしょうがないなと笑って僕にクッキーをくれる。
僕はリアのクッキーが世界で一番大好きだ。
その後クッションは僕の寝床になった。僕が欲しがっているとリアが勘違いしたらしい。
でもこれでリアの膝の上は僕だけの特等席だ。
たぬたぬはアホの子可愛い。