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68.平和

 王城からの帰りの馬車の中、リアはフラストレーションが溜まっていた。それもこれもあの聖女のせいである。折角舌戦でボコボコにしてやろうと意気込んでいたのに、ドラゴンのお陰で歓談は無しになってしまった。

 聖女から降ろされたのは素晴らしいことだが、この溜まった闘志をどこにぶつけたらいいのだろう。

 リアはたぬたぬの腹を揉みながら考えていた。

 ジャスティンはリアの様子を見て、後で剣の稽古に付き合ってやろうと決めた。

 

 アナスタシアも何だか拍子抜けしてしまって、早くリル達のところに帰りたいと思っていた。

 

 

 

 拠点に帰るとリル達と神獣達が笑顔で出迎えてくれた。もう三人にとってここは帰る家だ。何より安心する場所なのだ。

 

 リルは大丈夫だったのかと聞いてくる。ドラゴンのお陰で聖女は裁かれたと言うと、リルはドラゴンさんを呼んでよかったと無邪気に笑っていた。

 実際今回はリルの機転によって、ドラゴニア聖国に恩を売れたのだ。ある意味一番仕事をしたのはリルだろう。

 ドラゴンが今後は聖女を適当に選ぶのは止めると言ったのだ。ドラゴニアはきっと今後よりよい国になる。

 

 こちらにそのつもりは一切無いが、神獣と触れ合うことで周辺国も良い方に変わっているように思う。

 これが転生者の運命という奴なのだろうかと、リアは柄にもなく考えた。

 

 

 

 ハルキとリルとグロリアの作った琥珀糖を貰って、リア達は心が落ち着いた。思いのほか疲れていたのかもしれない。

 やっぱり平和が一番だ。今後何事も無いといいなと思う。

 

 神獣達がリア達の食べている琥珀糖をキラキラした目で見ている。見た目が綺麗だからより美味しそうに見えるのだろう。

 ちゃんと神獣達の分もあるので食べさせてやる。

『シャリシャリするー』

 神獣達は独特の食感に驚いている。

 

 琥珀は自分の名前が入ったお菓子を気に入ったようだ。リルから綺麗な名前を貰ったことを喜んでいた。

 


 

 後日、ドラゴニア聖国の新しい聖女が決まったと聞いた。

 今回の聖女はまともな子だそうだ。

 前聖女とその実家は爵位を剥奪されたらしく、今後は聖女関連で問題が起こることはなくなるだろう。

 

 エクス王国のメリーからも手紙が来て、新しい聖女と仲良くなったと嬉しそうにしていた。

 リル達も新しい聖女に会ってみたかったので、イアンにお願いしてみることにした。いずれ面会が叶うだろう。

 

 メリーの手紙だが、嬉しい知らせもあった。連れていった神獣のおかげで神獣達と対話できるようになったようだ。今は神獣達を保護する為の話し合いをしているそうだ。

 そしてメリーが連れていったキツネだが、そのままメリーのそばに残りたいと言っているらしい。

 リル達がイアンに相談した所、神獣の意思にまかせて良いそうだ。

 返事を書くとメリーは喜んでいた。キツネの名前はハーニーにしたそうだ。

 

 アナスタシアはその話を聞いて、どうして自分にはパートナーができないのかと嘆いていた。

 アナスタシアは飼育員だったこともあって、神獣たちに平等に接する癖がある。そのせいではないかと思ったが、リル達は本人には伝えずにいることにした。自然にパートナーができるのを待つ方が良いだろう。

 

 リル達は前庭で楽しそうに遊ぶ神獣達を眺めていた。思えばここに来てから色々なことがあった。拾われて、神獣達のためのアスレチックを作って、神獣達に文字を教えて。

 最初と比べると随分様変わりした、拠点の情景と神獣たちとの関係に感慨深くなる。

 リルはこの平和を守りたいと強く思った。

 

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