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66.お菓子

 リア達が王城に行ってしまって、リルは心配でソワソワと動きまわっていた。

 代わりに来てくれたハルキが、そんなリルに苦笑して大丈夫だと頭を撫でる。リルも転生者だと聞いていたが、どうにも行動が幼くて普通の子供にしか見えなかった。


 今日は二人の護衛としてグロリアがついていてくれている。グロリアはリルを落ち着かせるためこう言った。

「三人が帰ってきたら驚くような物を作りませんか?そうして待っていればすぐに帰って来ますよ」

 グロリアの提案にハルキが乗る。

「いいな、お菓子でも作ろうか?」

 お菓子と聞いて神獣達も反応した。リスが集まってきてキュッと鳴きながら、物言いたげにハルキを見つめる。

『お菓子、いいな』

『食べたいな』

 リルはリス達の発言に笑っていた。どうやらハルキは料理が得意らしく、ナツが自慢していたのだ。

 リルはハルキの提案に乗ることにした。

 

 

 

「さて、何を作ろうか?」

 リルとグロリアはお菓子の作り方をあまり知らない。

 ハルキの質問に答えられなかった。

「神獣たちのためにとりあえずパンケーキと、あとは琥珀糖とかどうだ?綺麗だし日持ちするし、乾燥時間によって色んな食感を楽しめるぞ」

 リルは琥珀糖は見た事があった。作れるのなら作ってみたい。

 グロリアは琥珀糖が何かわからないようだったが、日持ちする綺麗なお菓子と聞いて興味が湧いた。

 

 ハルキはまず寒天を水につけると、パンケーキの材料を混ぜ始めた。

 神獣用に沢山必要なので三人は頑張って色々な生地を作った。木の実入りにドライフルーツ入り、ハルキは器用にチョコレートを溶かして生地に混ぜていた。

 そして大きなフライパンで少しずつ小さな生地を焼いてゆく。クッキーサイズの小さいパンケーキはなんだか可愛いとリルは思った。

 

 厨房の外から神獣達の視線を感じる。神獣達は毛が入ると困るから厨房には入ってはいけないと言われたのをちゃんと覚えていたのだ。

 厨房の勝手口からチラチラ覗き込んでいる。

 琥珀がいい匂いがすると鼻をヒクヒクさせているのが可愛かった。

 

 焼き続けていたらいつの間にか大量のパンケーキが積み上がっていた。

 休憩も兼ねて神獣達と一緒に食べる。リスはパンケーキをいたく気に入ったらしい。夢中で食べていた。ナツが羨ましいと言う声が聞こえてリルは笑った。

 雑食組も美味しそうに食べている。キツネの子とタヌキの子が取り合いをして母に叱られていた。

「沢山あるから仲良く食べようね」

 リルは二匹を撫でてやった。

 

 

 

 休憩も終わって次は琥珀糖作りである。

 ハルキが水に浸けた寒天を鍋で煮だす。寒天が完全に解けたら砂糖を加え煮込んでゆく。リルは一生懸命鍋をかき混ぜた。

 その間にハルキが食紅とバットを用意してくれていて、トロトロになった鍋の中身をバットに入れてゆく。

 後は食紅を少量ずつ加えて色を付けるだけだ。こんなに簡単に出来るなんて思っていなかったのでリルは驚いた。

 食紅を入れる作業はとても楽しかった。可愛い色になるように頑張った。ハルキは濃い色をマーブル状にしていてちょっと大丈夫なのか心配になった。

 

 冷蔵の魔道具で冷やし固めたら、ちぎるか切るかして形を作ってゆく。

 ハルキの作った濃色の琥珀糖も、ちぎって見たらとても綺麗に見えた。

 乾燥前に試食してみると甘くて美味しい。乾燥させると表面がシャリシャリしてもっと美味しくなるらしい。

 グロリアも綺麗なお菓子に感動したようだ。

 残りはリア達が帰ってくるまでオーブンで乾燥させることにした。

 食感が変わるのが楽しみだった。

 

 お姉ちゃん、早く帰ってこないかなとリルは何事も起こらないことを願った。

 

 

 

 その頃リア達は王城に到着していた。ドラゴニアの聖女達ももう、第一聖騎士団の拠点の視察を終えたらしい。

 聞くところによると散々だったようで、宰相が心なしか老け込んでいるように見えた。

 リア達に会わせるのは心配だと言っているが、アナスタシアの腕の中にドラゴンが居るのを見て、希望を取り戻したらしい。

 ドラゴンが来てくれたのならと歓談の場は庭園になった。

 庭園でドラゴンには元の大きさに戻ってもらう。

 これから決戦なのである。リアは頬を叩いて気合いを入れた。たぬたぬもリアの真似をして気合いを入れている。

 

 愛し子に関する全権を任されているリヴィアンが一緒に面会に参加することになった。

 リヴィアンがいればあのわがまま娘が暴れてもなんとかなるだろう。

 なんと言っても王弟なのだから。

 リヴィアンは臨戦態勢に入っているリアを見てこの先の歓談が心配になった。


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