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慰労

 一夜明け、今日は焼き肉パーティーである。

 今日の主役はネズミ部隊だ。どうやら先遣部隊はしばらく碌なものを食べられていなかったらしく、久しぶりの拠点での食事に小躍りしていた。

 ライオンさんが森の奥深くから脂ののった獲物を狩ってきてくれたため、最上級部位は全てネズミ部隊にあげることにする。

 まずはネズミ部隊が食べやすいようにとハルキがサイコロステーキを焼く。

 リアが上物のワインで作ったソースをかけてネズミ部隊に食べさせる。

『ああ、最高の味だよ。体に染み渡るね』

 マロンが珍しくたくさん食べているようで、リルは安心した。とても心配していたのだ。

『そうだ、アナスタシアにも特上部位を焼いてあげてよ。きっと大変だっただろうから』

 マロンがそう言うので、お肉を大きく切ってアナスタシアのために焼いてやる。

 アナスタシアにマロンからだよと言って渡すと、アナスタシアは感動していた。

 美味しそうにステーキを食べている。

 ネズミ部隊にお肉がいきわたるまで待てをさせられていた神獣達は、口々にネズミ部隊を称えながら、お肉が焼けるのを待っていた。

 お肉は神獣達からが拠点のバーベキューの掟である。リル達はしばらくお肉を焼くので忙しかった。

 やっと落ち着いて自分たちの分も焼き始めると、お酒が解禁になる。

「やったぜ!ライオン様、一緒に飲みませんか?」

 ヘイデンが酒樽を空けながら神獣達を誘う。一部のお酒が大好きな神獣達はヘイデンの元に殺到した。

 リルの足元に居たキツネが苦い顔をする。

『よくあんなの飲めるなー』

 お酒の美味しさがよくわからないらしいキツネにフルーツジュースを絞ってあげると、キツネは美味しそうに飲んでいた。ジュースが好きな神獣達がリルの元に集まってくる。リルは一生懸命ジュースを絞った。

 

 パーティーも終盤になるとみんなまったりとくつろいでいた。

 その時上空からドラゴンのシドーが小さくなって降りてきた。

『しまった、出遅れたか』

 リル達はシドーを歓迎した。シドーのために新たにお肉を焼いてやる。

『うむ、相変わらず焼き肉は旨いな。して、どうだ、教団に協力する貴族とやらは捕まえられたのか?』

 リルの膝の上で焼き肉を食べながら聞いてくるシドーに、リルは事の顛末を説明した。

『それはよかった。しばらくは平和になるだろう。ところでリルよ、宝探しに興味はないか?』

 リルは首を傾げた。

「楽しそうですね。どこかにお宝が眠ってるんですか?」

 シドーは満足そうに頷くと、初代国王が隠したお宝があるのだと説明してくれた。

 なんでも気まぐれに隠したお宝らしいが、全部で七つあるらしい。例の教団に見つかって資金源にされても嫌だし、回収してほしいとのことだった。

「初代国王ってだけで嫌な予感がするんだけど、過度な防衛システムとか作ってないよね」

 リアが言うと、ドラゴンは目をそらす。

『まあ、やりすぎは止めたぞ。命を落とすことは無いだろう。一応挑戦者の知恵と勇気を試す仕掛けらしい』

「へぇ、それなら楽しそうだね」

 アナスタシアがわくわくした表情で言う。

『そうだろう、これが宝の地図だ』

 シドーが背中に括り付けていた古い羊皮紙をリアに渡す。みんな食い入るようにして地図を見た。

「うわ、日本語だ。懐かしー」

「この国じゃ日本語は初代国王が使っていた暗号ってことになっているからな。音だけなら定着した言葉は沢山あったけど。さすがに文字は定着しなかったみたいだな」 

 ハルキの言葉にリアは頷く。

「書くのは難しすぎるからね、日本語」

『これはウィルスの願いでもある。どうせなら同じ日本からの転生者に財産を託したいと言っておったからな、地図を国ではなく我に預けたのもその思いの表れだろう』

「ほとんどが森の中に隠されてるみたいだね。神獣達の力を借りたのかな?」

『ああ、そうだったな。懐かしいのう』

 シドーは昔の思い出に浸りながら焼き肉を食べている。リル達は熱心に地図を読み込んでいた。

「神獣達の移送が終わったら挑戦してみるか」

 皆ハルキに賛成して。地図を大切にしまった。

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