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ジュリアナと

 今日はアナスタシアがマリオン王国まで行く日だ、アナスタシアの事はシドーが運んでくれることになったため、アナスタシアに付く騎士達と外交官達はジャスティン以外、みんな先にマリオン王国に到着している。アナスタシアは一旦ジュリアナを迎えにドラゴニア聖国に寄ってからマリオン王国に行く。

 

 なぜジュリアナが行くことになったのか。それはジュリアナたっての希望だった。実はドラゴニア聖国でも、旧レイズ王国付近の森におかしな魔物が発見されたのだ。ジュリアナは早急に対応策を探すため、マリオン王国行きを強く希望した。

 さらにエクス王国も同じで魔物が発見され、メリーも参加したいと言い出したが、流石に『通訳者』として同盟国でも友好国でも無いマリオン王国に行くことは敵わなかった。

 

 リル達は、シドーに乗って旅立つアナスタシアとジャスティンとルーサーとタッキーを見送った。

 

 

 

 シドーに乗ったアナスタシアは、昼前にはドラゴニア聖国に到着していた。

 ジャスティンにシドーから下ろされると、アナスタシアはジュリアナに飛びついた

「久しぶり!ジュリアナ!」

 ジュリアナはアナスタシアを見て驚いていた。

「久しぶりね、アナスタシア。ベールは着けなくてもいいの?」

 アナスタシアは、愛し子にレイズ王国からの逃亡者が多かったから着けていただけだと説明した。

「じゃあリルとリアももうベールは着けないのね。顔を見て話せるのは嬉しいわ」

「私も嬉しいよ、あれ結構邪魔なんだよね」

 二人はくすくすと笑い合う。ジュリアナとその護衛と一緒に早速シドーに乗るとマリオン王国に向かう。ジュリアナの腕の中にはリリアンが居て、ルーサーを見て不思議そうな顔をしていた。

「リリアン、この子はルーサーだよ、ジャスティンの相棒ね」

 アナスタシアはリリアンに説明する。

『はじめまして、リリアン?ルーサーだよ』

『はじめまして、馬の神獣なんて初めて見たわ』

 二匹は話をしている様子だったが二人には内容が分からない。でも仲は悪くなさそうなのでホッとしていた。

『もうすぐ着くぞ』

 不意に空中に浮かび上がった文字に、アナスタシア達は緊張した。

 ドラゴンの速度だと本当にあっという間だ。

 シドーは島の上空を旋回すると、目印に赤い旗が大きく振られているのに気がつく。ゆっくりとそこに降り立った。そこにはすでに各国の代表が揃っていた。

 シドーの上から降りたアナスタシア達は順番に挨拶する。シドーは小さくなってアナスタシアの近くに飛んでいた。

 マリオン王国の関係者は目を丸くしてシドー達を見ている。

 

 一方、アナスタシアは上空から見た時から、島の緑の多くが竹林であることに驚いていた。これはもしかしたら居るかもしれないとソワソワする。降り立った場所は竹林のそばだ。つい竹の間を見てしまう。

 するとやっぱり居た。ドラゴンが来たから気になったのだろう、竹の間からこちらの様子を窺う白黒の影。そう、みんな大好きパンダである。アナスタシアはもうパンダに目が釘付けだった。それに気づいたシドーがパンダ達を呼んでくれる。ドラゴンに呼ばれたパンダ達はおっかなびっくりこちらにやってきた。

 

 急に近づいてきたパンダに、各国の代表達は会話を止める。

『我々はおかしな魔物の情報を求めてここにやって来たのだ。何か知っていることがあったら教えて欲しい』

 シドーが言うとパンダはパッと顔を上げた。

『凶暴で臭い魔物がたくさんが出るんだ!助けて、ドラゴン様』

 シドーは宙に光の文字を書いて人間にわかるようにしながら情報を聞き出す。

 そうしている内に、周りにパンダ以外の神獣も集まってきた。ゴリラにイノシシにウサギにカモシカにイタチになんとレッサーパンダもいる。可愛い、モフりたい。アナスタシアは、足によじ登ってきた小さなパンダを抱き上げると、毛並みを堪能する。

 そうしながらも一応ちゃんと文字を見ていたアナスタシアは、イタチが言った魔物と同じ匂いの臭い餌がばら撒かれているという言葉にまゆ根を寄せた。

 

「その臭い餌は何処にあるの?」

 神獣に半ば埋もれながら言うアナスタシアに、様子を見ていたマリオン王国の人間は唖然としていた。ドラゴンに乗って現れた事もそうだが、警戒心の強い神獣が初対面でこれだけ集まってくるのだ。愛し子というのは本当の事だったのだと驚いた。

 

 アナスタシアは、臭い餌を木の上に隠しておいたというイタチにそれを持ってきてもらう。

 その間に話を聞くと、臭い餌をばら蒔いているのは人間だという。この騒動が人災だとしたら大問題だ。各国の代表達は難しい顔をして神獣達が証拠を持ってくるのを待っていた。

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