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010 一番一緒にいるアイツと

~一番一緒にいるアイツと~


親友をクリスマスパーティに誘いたい。

そう思い立ってはや二か月が経過してしまったわけだけれど……いまだに誘えてないわ。

どうしましょう、もう今日がクリスマスになってしまったじゃないの……!


冬休みは明日から、つまりかろうじて学校というアイツに会う理由がある今日はあらゆる意味で最後のチャンス―――思えば、だから後回し後回しになって今に至ってるんだから最後のチャンスなんてクソだわ。これが24日から冬休みだったら私だってもっとちゃんと誘えたのよ。つまりワタシがアイツを誘えないのは暦のせいなのよ……ッ!


なんてくだらないこと考えてる暇なんてないわっ。

一刻も早くアイツをクリスマスパーティに誘うのよ!

誘っちゃえば後はまあたぶんなんとかなるわ!

なんたってアイツは親友なんだからワタシへのクリスマスプレゼントくらい用意してるでしょうし……してるわよね? いざプレゼント交換するってときにやっぱりありませんでしたー、じゃお話にならないわ! ちっ、こんなことならもっと早く予定を入れておくべきだったじゃない!


……というか、アイツって今日ワタシ以外と予定……ない、わよね……?


考えてみれば今日までアイツの方からこのワタシを誘ってこないのっておかしな話じゃない。

もしかしてアイツ、誰かほかに先約があったり……い、いやそんなわけないじゃない。

だってワタシがアイツと一番一緒にいるわけだし、なのにそんなヤツみたことないわ。

……でもアイツよくわかんない交友関係あんのよね。

この前あの堅物で有名な生徒会長と話してるとこ見たし……それになんかヤケになついてる後輩もいるみたいじゃない?

いやでも、だからってそんなどこのウマの骨ともしらないやつよりワタシが仲良しに決まってるし……むむむ。


なによムカつくわね。

このワタシにこんな心配させるなんて―――心配なんてしてないけどねっ!?

だってワタシが一番に決まってるし、だから、だから、今からだって誘えば、きっと……


「―――アーイ?」

「きゃあ!?」


なによぶっとばすわよ!?


―――って。


「ユミ! アンタねえッ! びっくりするじゃない!!!!!」

「あはは。ごめんごめん。なんかアイが難しい顔して考え込んでるからさ。どうしたの?」

「どうしたもこうしたもないわよっ」


なによへらへら笑ちゃって。

こっちはアンタのせいで悩んで……悩んでなんかないけど、アンタのことを考え……てるわけでもないし、アンタが……ああもうなんでもいいわ。

ともかく全部アンタのせいなのにっ。


「いいご身分ねっ、ワタシのキモチも知らないでっ」

「えぇ。ひどい言われよう……私、けっこうアイのこと分かってるつもりなんだけどなぁ」


……ふんっ。


「だったらそんな顔しないはずねっ。そのなんでも分かってるみたいな顔ワタシ大っ嫌いだからっ!」


そんな顔してるくせに全然分かってくれないもの。

ワタシがこんなにアンタとクリスマスパーティしたい……してやってもいいって思ってるんだから、分かるっていうならそっちから誘いなさいよね。


「……そっかぁ。ごめんね。じゃあ、やっぱりちゃんと言ってもらわないと分からないや」


なによしょぼくれて。

そうよ、アンタにワタシのキモチなんて分からないのよ。

……っていうことはけっきょくワタシが誘ってやらなきゃダメじゃないッ!


ああもう、むかつくわっ!

いいわっ、やってやろうじゃないのもうッ!


「ユミッ! あ、あんた今夜ヒマかしら!?」

「まあ、ヒマだねえ」

「じゃじゃじゃじゃあきょきょきょ―――きょ、今日ウチでクリスマスパーティしてやってもいいわよっ!ふたりっきりでッ!」

「ヤダかな」

「―――は」


え。


なんて言ったの、コイツ。


ヤダ?


でも、だって、予定ないのよね……?


だったらなん、なんで、だってそんな、そんなのって、ま、まるでワタシと一緒にクリスマスパーティしたくないみたいじゃない―――


「―――クリスマスデートなら、いいよ?」

「はぇ?」


って、近いわね!?

な、なによ急に顔なんて寄せて。

っていうかいつの間に壁に追い詰められてるのよ!


―――じゃなくて!


「ク、クリスマスデート? あ、アンタとワタシ、が?」

「うん」

「ふ、ふつーに遊びに行くとかじゃなくて?」

「いちおう、そういう意味でいってるつもりだけどな」


そういう……?

ど、どどどどどういう意味よ?


えっ。


うそ。


コイツって、ワタシのこと好き……なの!?


―――なの!?


「それで、どうかな。デート……してくれる?」

「ひ、ひはははいはへ」


そ、そうよ、これはしかたなくなんだから。

あんたがそんな捨てられた子犬みたいな目で見るから仕方なく受け入れてやるだけで―――


あ、あら?


なんでせかいがくるるる~?


「アイ!? ちょっ、アイ! だ、だれか保健室の―――

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