始まりのNumbers
お読み下さりありがとうございます!
ちょむ。です
完全処女作ですので何卒よろしくお願いします!
「お主の希望通り、若返らせ、力はそのまま引き継いどいたぞ」
「ありがとう、じいさん」
「いいのじゃよ、ワシも強者の記憶は好物じゃからの。ではさらばじゃ」
そう聞こえると視界が暗転し、また一気に開ける。
「まさか2回もするとは」
思わず声に出してしまった
辺りを見渡すと、そこは森だった
残っている記憶通りであれば、俺こと「ゼロ」は1度、否、2度死んでいる。
何やら2回ともまともに生きることが出来なかったため、記憶を引き換えに転生することを決めたらしい。
そう思いながら自分の手足を見ると細く、また頑丈な感じがする。多少若返って力も戻っている。年齢的には12歳くらいだろうか。
そんなことを考えながら森を少し歩いていると近くには大きな魔物の反応があった。これは期待ができる、そう思い、反応源の方に向かう。
そしてそこに現れたのは黒いオーラを纏ったドラゴン。見た目からするに上位種だろう。
「GRUAAAAAAAAAA!!!!!」
ドラゴンは俺を認識すると大きな咆哮で威嚇し、ブレスを吐いてきた。いきなりブレスとはなったものじゃないなと思いながらドラゴンの背後に回り、首元を一閃。しかしなんの手応えもなかった。
「まずい…攻撃を外した!?」
そう思い前を見るとそこには口を開いたままのドラゴンの顔と胴体が転がっていた。
「…ただ斬っただけだぞ?」
いくらなんでも脆すぎだ。前世でも龍種となると手こずらされたものなのにこんなに簡単に倒せてしまった。
(この世界の魔物はレベルが低いのか)
ならば好都合、と魔物をひたすら狩る。お腹がすいたならば狩った魔物の肉を食べる。眠くなったら寝る。転生したはいいものの今回は魔王討伐などの目的がないため、やることがなくこうした生活を続けてる。住居は自分で作ったので充分なので、人里を探す気にもならず、ここは死の森と呼ばれてる森らしく、人が来ることも無い。
(もうしたら人里を探せばいいだろう)
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そう思い続けてはや5年。
「さすがに人肌が恋しくなってきたなぁ」
そう呟きながらいつものように森の中を歩いていると何者かの気配がした。
「人だ!」
そう思ったが同時におかしなことに気がついた。神様の説明で少しだけこの地について聞いていたが、ここは一般的に死の森と呼ばれているらしく、人が通過することはない。
周囲を警戒しながら反応のある方に足を運ぶと魔物に襲われた馬車があった。近くには逃げようとして殺された商人とその護衛だったであろう肉塊、そしてそれに群がる魔物がいた。
「嫌なものを見てしまったな」
遅かったか、と思いながらも気を晴らすように食事中で無防備の魔物を後ろからまとめて倒す。
(まてよ、まだ1つ気配がある)
幸い魔物の標的にならなかったのか、怪我をしている様子すら無さそうだ。そう思い馬車の中を覗くと檻の中に入った1人の女が居た。その女は絶世の美女の顔立ちと体つきをしていた。だが首輪をつけている。
「しかしなんだ、この馬車は奴隷商人の馬車だったのか。」
こんな所を通る奴隷商人など、愚の骨頂と言っても過言ではないだろう。
「だ、誰でしょうか?」
そんな変なことを考えていると向こうから声が聞こえた。
「あ、ああ、すまない。俺はゼロ。ここら辺に住んでいる者だ。こんな辺鄙な地に人の反応があったらから不思議に思って来たんだが少し遅かったか。まぁだが周りの魔物は倒したしもう安全だ、君だけでも逃げるといいよ」
「あ、貴方様が助けてくださったのですね、ありがとうございました。ですが私、物心着いた頃には奴隷で見世物として生きてきたので帰る場所なんてなくて…」
「そうか、それは辛いことを言ってしまったなすまなかった。」
「いえ、慣れていますので。あ、あの!もし宜しければ、私を貴方様のお側に置いていただけませんか?助けていただいて勝手なことを言って申し訳ありませんが、私には生きる道がないんです。」
「…君を側に置くのは俺だって構わないさ。だけどここは死の森と呼ばれる場所、そのことの意味が君には分かっているかい?」
「死の森…!?」
その名を聞いた瞬間彼女の顔が青ざめた。どうやらここが死の森だと知らずに俺が近隣住民だと思い頼み込んできたらしい。
彼女が言った俺の側にいるということはこの生きては帰れないと言われている場所で暮らすということになる。奴隷だった子でも知っているほどやはりここは悪い意味で有名なのか。
「君が望むならば、戦い方、生活に必要な知識、その他生きるために必要な事を教えると約束しよう。だがここは死の森だ。君には耐えられるかい?覚悟があるならば来たければ着いてこい、来たくなければ、そのまま自由にするがいい。幸い、このまま真っ直ぐ行けば隣町にすぐ着く」
「私には、そんな覚悟…」
そう言いかけた瞬間、彼女の背後から魔物が飛び出してきた。どうやら血の匂いに引かれてやってきたらしい。話に夢中で気がつくのが遅れてしまった。
「BUOOOOOOOOOO!!!!」
「あ、あぁ…」
彼女は恐怖からか腰が抜けて魔物の前にへたりこんでしまった。そのまま魔物は彼女に向かって走っていく。
このままでは格好の的になってしまうが、さすがの俺もここで見捨てることはしない。
「…"一閃"」
「GROUUUU……」
魔物を斬り、安全を確認すると彼女の方を見てもう一度言う。
「君が望むなら、だ。今のように怯えることはさせない。俺が君を強くする。しかしそれは楽なことだけじゃない。君にはその覚悟があるかい?」
「…わ、私は強くなりたいです!今までのように他人に見世物にされ、底辺で生きる生活はもう嫌です!」
そう言い彼女は決意の瞳で俺のを見る。
「ならば来るがいい。」
「ま、待ってください!」
そう言って歩き出すと、彼女は慌てて着いてきた。
だがこの時まだ彼らは知らなかった。これがこの後に正体不明の最強ギルドとなるNumbersの始まりとなることは。
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