さいですか…
お久しぶりでございます。
…え?遅れた理由ですか?
…5回ほど…データを間違って消してしまい…心が…折れてました…
近藤は出ていった。
ドアは大きな音をたてたが、当然のように誰も気がつかない。
彼女がここにいた痕跡は、俺の記憶というひどく曖昧なもの以外には残らないのだ。
「どした、ボーッとして。珍しいな」
そういって俺に話しかけてきたのは(非常に残念なことに)数少ない俺の友人の一人、岡崎雄太だ。
「やー、ちょっと考え事を」
「なんだよ、好きな子でもできたか?」
「んなわけないだろ」
「いや言っとくけど高校2年生で好きな子が一人もできないってそうとう珍しいからな?」
こいつはよく俺に好きな子ができたかどうかを聞いてくる。余計なお世話だ。
「じゃあなに考えてたんだよ」
記憶に残らない少女と喋ってたなんて信じないだろうが、一応聞いてみようか。
「なあ、透明人間になりたいっておもったことある?」
「はあ?そんなの男なら誰でもだろ」
「一時的じゃなくて、ずっと透明」
「あー、それは勘弁。だってさ、人にぶつかんじゃん。あれって目に見えてる人を無意識に避けてるんだってよ。透明だったらぶつかりまくんじゃん」
なんでそんなの知ってんだ。
「テレビで見た」
「さいですか…」
「てかそんなん考えてたの?」
「あぁ」
「かーっ、いいねえ天才様はよう。ボーッとしててもテストの点とれるんだからよう!」
「その話はこれで7回目だ」
「ダマレそんなのきいてねぇ」
クラスの連中は俺の体質を知っている。普通だったら気持ち悪いと思うはずだが、優しく接してくれている。
「…いつもありがとな」
「え、なに、きも、どした、頭打った?」
「確かに今のは俺もキモいとは思ったがさすがに言い過ぎだ!」
「まさかお前毒キノコでも食ったか?だからあれほど山で採ったキノコを食べる時はきちんとネットで調べてから一旦すりつぶして肌に塗ってかぶれるがどうかを確認してから食えって言ったのに…」
「そろそろ殴っていいよな。な?」
てかなんでそんなの知ってんだ。
「テレビで見た」
「さいですか…」
いったいこいつは普段どんなテレビを見ていると言うのた…。
テーマ・趣味
連「今回は趣味についての雑談をします」
美記「雑談ってテーマを決めるものだっけ?」
連「気にしてはいけない」
連「という訳で、それぞれ趣味を発表してください」
雄太「噂の収集」
美記「人間観察」
美里「読書」
連「いやいやいや、あんたらちょっと花がなくない?」
美記「そうゆうまっちは?」
連「まっち!?え、俺?えっと…ね、寝ること…?」
「「「花がねぇ〜」」」
連「うるせえ!」
美記「なんで雄太君は噂の収集が趣味なの?」
雄太「ん〜。いろんな話知ってたほうがおもしろくね?」
美里「確かにな、話のネタになるっていうのは大きい」
雄太「そうゆう美記ちゃんはなんで?」
美記「いや〜私さ、人に認識されないわけじゃん。すると人間観察がまあはかどるはかどる!」
美里「俺らにはわからん面白さだな」
雄太「美里は?」
美里「本は何回読んでも面白い」
雄太「まあ、ゲームとかしなさそうだしなあ」
美記「じゃあ今回はこれでお開きかな?」
連「え?俺は?」
「「「睡眠になにを求めろと」」」
連「あるよお!なにもないわけじゃないよお!」
美記「じゃあなにがあんの?」
連「え、あ、えっと…最長睡眠時間13時間!」
雄太「でも寝過ぎると体に悪いらしいね、動いてないってゆうのもあるし、脳が休み過ぎてまわらなくなるって言うし」
雄太「テレビで見た」
「「「さいですか…」」」