転生者である俺のヒロイン達が寝取られた件について
初投稿です。
俺は八神 龍介 十八歳。
学校にいたら突然、その場にいた女友達3人と一緒にとある国に勇者として召喚された。
召喚されてからは可愛い王女様や綺麗な騎士団長、そして一緒に召喚されてきた可愛い女友達三人などに囲まれて、過ごしてきた。
女友達三人と魔物を倒していったが、魔物も弱く、これだったら魔王も簡単に倒せると思った。
いや思ってしまった、そう錯覚してしまった。
意気揚々と魔王城に行ったがその途中で魔王軍四天王の一人と名乗る魔物にボコボコにされ命からがら逃げた。
王都に帰ると恥ずかしさや不甲斐なさのために部屋に引きこもってしまった。
そして十日後あの出来事が起こった。
「は?」
第一声がその言葉だった。
王様に呼ばれて玉座の間に来てみれば大勢の人が集まっていた。
その中には女友達や聖女様、騎士団長などもいた。
状況がすぐには掴めなかったが、なんと王様の目の前に立っている俺と同じぐらいの歳の男が魔王を倒したのだというのだ。
俺が呆然としていると王様が喋った。
「ソティスよ。よく魔王を倒してくれた。」
「いえ、国の民を守る為に当たり前のことをしただけです。」
ソティスという魔王を倒したらしい男が凛々しい声でそう言った。
するとそこでいきなり王女様が前に出た。
「お父様少しよろしいでしょうか。」
「どうしたのだ、リリーよ。」
そう王様が言うと少し言葉を詰まらせながらも、やがて決意したように言った。
「ソティス様と結婚させて欲しいのです!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
ついそう叫んでしまった。
そりゃそうだろう。
いきなり出てきた男に王女を取られるだなんて、納得できるわけがない。
俺のハーレム計画が崩れてしまう。
ソティスは少し困ったように言った。
「王女様、いきなりそんなことを言われましても。」
そうだそうだ!もっと言えソティス。
さすがに初対面で結婚申し込むのはおかしいと思うぞと!
「あなたのことを魔物から一回助けた時にあっただけですし。」
いや、初対面じゃないのかよ。
というかいつそんなラノベの主人公みたいな出会い方をしたんだ。
「あの時貴方様に助けてもらった時から貴方のことを好きになっていました。」
いやいや、一回助けてもらっただけだろ。
なんでそれだけで好きになるんだ?!
「そうは言われましても.....」
頑張れソティス!
見事断ることができたら、今度いい風俗店紹介してやるぞ!
そう俺が思考していると今度は聖女様が前に出た。
「待ってください!私もソティス様をお慕いしています。ドラゴンに殺されそうになった時に正に勇者のようにドラゴンを倒し私を助けてくれたんです。」
またまた今度はそれを遮るように騎士団長が前に出て.....
「私もでだ!私は魔物軍勢に襲われている時に助けてもらった。貴方のその強さに惚れた。」
と言った。
はぁぁぁぁぁぁぁ⁈
いい加減にしてくれ!
というかここまできたら嫌な予感しかない。
いやいやまさか長年一緒にいた女友達に裏切られるわけが.....
「うちもソティスのことが好きや!」
「私もソティスさんのことが好きです!」
もうやめてくれ…‥
いやもうやめてください…‥
俺のライフはゼロだ…‥
どこで知り合ったんや、二人とも‥…。
「ソティス様をことを呼び捨てにしないでください!」
「王女様も呼び捨てで言えばいいじゃない。」
「いきなりでしゃばって来ないでください!」
「あんたもよ!」
王座の間は女達の言い争いでヒートアップし、王様でさえも呆然としていた。
俺はもちろん現実逃避に入っていた。
俺のハーレム計画が完全に崩壊した。
魔王を倒してからハーレムを作っていくつもりだったのに…‥
まぁ、魔王軍の四天王にボコボコにされたからその計画も崩れていたが、これは流石に酷すぎる仕打ちではないだろうか?
「ちくしょょょょょおおおおおお‼︎‼︎」
「あっ!待って龍介!」
誰かが俺を呼んだ気がするがもうどうでもいい。
そのまま城を飛び出してしまった。
------
「うぅぅぅぅ..…畜生…‥」
俺は城から離れた森の中でずっと泣いていた。
悪夢であって欲しい。
そう思う反面、冷静な自分が悪夢ではなく現実だと俺に語りかけている。
しばらくそうしていると……………
「やっと見つけた、龍介。」
声が聞こえて顔を上げると幼馴染である小春がいた。
「なんで来たんだ…‥」
そう俺が言うと小春が不思議そうに言った。
「なんでって、心配だから。いきなり大声上げて飛び出すから。みんなが龍介のこと変な人だと思ってたよ。」
もう今の俺にはそんなことどうでもいい。
「まぁ、龍介周りから女たらし勇者だとか、浮気勇者とか言われてるからそんなこと今更気にしないか。」
「はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎そんなこと言われてたのか俺⁉︎」
初めてそんな酷い呼ばれ方をしていることを知った。
もう死にたい……
「まぁ、みんな龍介には気づかれないように言ってたし。」
どうやら俺は自分が知らないうちにいじめに遭っていたらしい。
「まぁまぁ、そんな落ち込まないで。私は龍介のことが好きだよ。」
……ん?今好きって言ったか俺のこと?
どうやら耳がショックのあまりおかしくなってしまったらしい。
自分が今一番望んでいる言葉が聞こえた。
「おーい。聞いてるの?だから龍介のことが好きだって。」
「マジで言ってるのか?」
「マジです。」
「なんで‥‥‥いいのか俺で?」
「いいのかって………私は龍介のことが好きだから」
俺のことを見捨てず小春だけは俺を見ていてくれたのか。
俺はそのまま泣き続け、小春がそっと俺の頭を撫でてくれた。
こうして俺達は結婚して、田舎でずっと一緒に住み続けたのであった。
俺は今人生の中で一番幸せだ。
---------
「思ったよりも大変だったなぁ。龍介の悪い噂を広げたりするの。ソティスさんがあんなに人から好かれる人じゃなかったらもっと大変だったかも。美香と愛菜にわざとソティスさんを会わせて良かった。悪い噂を広めても龍介ののことが好きだった女は直接手を下したし。」
女は恍惚しながら言った。
「これからも何があっても一緒にいようね。」